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シス覚醒編
454.一つの可能性
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ソフィとユファは直ぐに自分達の国に戻り、自国の主だった者達をそれぞれに集めて、レアとシスが何者かに襲撃されて連れ去られたことを伝えるのだった。もちろん国民に知られる事はないように、側近までにこの話を留める。
直ぐソフィの屋敷では緊急会議が開かれて、レアとシスの探索を行う部隊と組織の者達の次の襲撃に備えた部隊が編成された。
探索部隊の編制については恐らくは『概念跳躍』によって別世界へと連れ去られたと思われるが、万が一戻ってくる可能性を考慮した結果である。
探索部隊にはソフィの直属の配下達である『ロード』と『ベア』を含めた『名付け部隊』と、新しくソフィの『名付け』によって直属の配下となった『ベイル』と『その同胞たち』が加わった。
そして組織の襲撃があった場合に備えた部隊として、ソフィ、ブラスト、ラルフ、キーリがいつでも動く準備を進める。
そしてレイズ魔国でも同様の理由から、シスの拉致事件を国民達には知らせず、レイズ魔国参謀長である『リーゼ』と同参謀『レドリア』のみに知らされた。
荒事には慣れている『リーゼ』と『レドリア』であっても、シス女王が攫われたという現実に混乱と動揺が生じたが、一番正常では居られない筈の『ユファ・フィクス』の毅然とした態度を見て、何とか落ち着きを取り戻したようだった。
内心ではユファもシスを探すために、直接『アレルバレル』の世界へと行きたいところであったが、現在の自分は国のNo.2という立場を任されており、レイズ魔国の国民の命を預かる立場である事を自覚して、何とか堪えて国の統治に努めようとする。
そしてそんな『レイズ』魔国の防衛は、組織の襲撃があった場合、ユファ達だけでは守る事は難しいというソフィの判断から『ターティス』大陸全域の代表である『キーリ』龍王と十体の守護龍。そして四千の龍族達が『レイズ』近辺を守護する契約となっている。
大魔王ブラストが『レイズ』魔国領を中心とした一部に結界の集約を行い、レイズ魔国の相談役も務めている『ソフィ』が『ヴェルマー』大陸全土に『ブラスト』と『同等の結界』を張る事となった。
二重の強固な『結界』に守られた上で、更に上空には元リラリオを支配した『龍族』達が防衛につく事になり、前回のように『レパート』軍規模の襲撃があったとしても、今回は何も問題はないだろう。
……
……
……
一通りの報告を済ませて会議が終わった後、ソフィは屋敷の自室でシスの暴走後に感じた魔力を思い出していた。
「確かにあの時感じた魔力は大賢者エルシスと同等のモノだったが、何故お主の魔力をシスから感じたのだろうか?」
シスが暴走して本来の彼女に宿る力が発揮された時でさえ、確かにソフィを驚かせる程の魔力の上昇だったが、最後に感じたシスの魔力はそんな次元を遥かに越えていた。
そしてその魔力は久しく感じていなかった存在。
――ソフィの友人である大賢者『エルシス』と同規模だったのである。
「待てよ? 『シス』と『エルシス』? これは偶然か……?」
ソフィは一つの可能性に気づいた。何故その可能性に気づいたのか――。
それはあの山伏である『サイヨウ・サガラ』が、説法してくれた内容を思い出したからであった。
人間の寿命は短く魔族である自分たちとは比べ物にならない。しかし人間の一部の中には死んだ者が『新しい命』として、再び『生』を受けると信じられているという。
――『輪廻転生』。
善い行いをして徳を積み続けると次世は幸せな人生を歩む事が出来ると、サイヨウは言っていた。
因果の証明などが出来ないために、その考えを否定するつもりも肯定するつもりもなかったソフィだが、そういう考え方もあるのだなと納得はしていた。
そしていま実際に寿命でなくなった『エルシス』が、数千年後に『シス』として生を受けたという可能性がソフィの頭に浮かんだのである。
まだシスがエルシスと決まったわけではないが、あのよく知る魔力はソフィには間違えようがなかった。
エルシスはアレルバレルの世界で多くの者達を助けて見返りを求めず人間の国に尽くした。それにエルシスはソフィとの約束を守るために寿命を全うするまで、友人のソフィの願いを叶えるために生涯を尽くしていたのである。
シスとして今世に『生』を受けたとしたら、こうして再びソフィに出会った事も徳を積んだ結果ではないだろうか。
そして再び『生』を受けたエルシスは、無意識に友人のソフィの願いを叶えるために現世に戻ってきた。
――ソフィはそこまで考えて首を横に振る。
「ひとまず確認することが増えたのは確かだ。もしエルシスの生まれ変わりがシスなのだとしたら、どうあってももう一度会わねばならぬ。必ず救い出すぞ『シス』に『レア』よ!」
そこで思考を区切ったソフィは、自室で『レパート』の世界の『理』の研鑽を始めるのだった。
直ぐソフィの屋敷では緊急会議が開かれて、レアとシスの探索を行う部隊と組織の者達の次の襲撃に備えた部隊が編成された。
探索部隊の編制については恐らくは『概念跳躍』によって別世界へと連れ去られたと思われるが、万が一戻ってくる可能性を考慮した結果である。
探索部隊にはソフィの直属の配下達である『ロード』と『ベア』を含めた『名付け部隊』と、新しくソフィの『名付け』によって直属の配下となった『ベイル』と『その同胞たち』が加わった。
そして組織の襲撃があった場合に備えた部隊として、ソフィ、ブラスト、ラルフ、キーリがいつでも動く準備を進める。
そしてレイズ魔国でも同様の理由から、シスの拉致事件を国民達には知らせず、レイズ魔国参謀長である『リーゼ』と同参謀『レドリア』のみに知らされた。
荒事には慣れている『リーゼ』と『レドリア』であっても、シス女王が攫われたという現実に混乱と動揺が生じたが、一番正常では居られない筈の『ユファ・フィクス』の毅然とした態度を見て、何とか落ち着きを取り戻したようだった。
内心ではユファもシスを探すために、直接『アレルバレル』の世界へと行きたいところであったが、現在の自分は国のNo.2という立場を任されており、レイズ魔国の国民の命を預かる立場である事を自覚して、何とか堪えて国の統治に努めようとする。
そしてそんな『レイズ』魔国の防衛は、組織の襲撃があった場合、ユファ達だけでは守る事は難しいというソフィの判断から『ターティス』大陸全域の代表である『キーリ』龍王と十体の守護龍。そして四千の龍族達が『レイズ』近辺を守護する契約となっている。
大魔王ブラストが『レイズ』魔国領を中心とした一部に結界の集約を行い、レイズ魔国の相談役も務めている『ソフィ』が『ヴェルマー』大陸全土に『ブラスト』と『同等の結界』を張る事となった。
二重の強固な『結界』に守られた上で、更に上空には元リラリオを支配した『龍族』達が防衛につく事になり、前回のように『レパート』軍規模の襲撃があったとしても、今回は何も問題はないだろう。
……
……
……
一通りの報告を済ませて会議が終わった後、ソフィは屋敷の自室でシスの暴走後に感じた魔力を思い出していた。
「確かにあの時感じた魔力は大賢者エルシスと同等のモノだったが、何故お主の魔力をシスから感じたのだろうか?」
シスが暴走して本来の彼女に宿る力が発揮された時でさえ、確かにソフィを驚かせる程の魔力の上昇だったが、最後に感じたシスの魔力はそんな次元を遥かに越えていた。
そしてその魔力は久しく感じていなかった存在。
――ソフィの友人である大賢者『エルシス』と同規模だったのである。
「待てよ? 『シス』と『エルシス』? これは偶然か……?」
ソフィは一つの可能性に気づいた。何故その可能性に気づいたのか――。
それはあの山伏である『サイヨウ・サガラ』が、説法してくれた内容を思い出したからであった。
人間の寿命は短く魔族である自分たちとは比べ物にならない。しかし人間の一部の中には死んだ者が『新しい命』として、再び『生』を受けると信じられているという。
――『輪廻転生』。
善い行いをして徳を積み続けると次世は幸せな人生を歩む事が出来ると、サイヨウは言っていた。
因果の証明などが出来ないために、その考えを否定するつもりも肯定するつもりもなかったソフィだが、そういう考え方もあるのだなと納得はしていた。
そしていま実際に寿命でなくなった『エルシス』が、数千年後に『シス』として生を受けたという可能性がソフィの頭に浮かんだのである。
まだシスがエルシスと決まったわけではないが、あのよく知る魔力はソフィには間違えようがなかった。
エルシスはアレルバレルの世界で多くの者達を助けて見返りを求めず人間の国に尽くした。それにエルシスはソフィとの約束を守るために寿命を全うするまで、友人のソフィの願いを叶えるために生涯を尽くしていたのである。
シスとして今世に『生』を受けたとしたら、こうして再びソフィに出会った事も徳を積んだ結果ではないだろうか。
そして再び『生』を受けたエルシスは、無意識に友人のソフィの願いを叶えるために現世に戻ってきた。
――ソフィはそこまで考えて首を横に振る。
「ひとまず確認することが増えたのは確かだ。もしエルシスの生まれ変わりがシスなのだとしたら、どうあってももう一度会わねばならぬ。必ず救い出すぞ『シス』に『レア』よ!」
そこで思考を区切ったソフィは、自室で『レパート』の世界の『理』の研鑽を始めるのだった。
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