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ルードリヒ国王の指名依頼編
424.恐怖の屋敷
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「あ、あの……。こ、ここはどこでしょうか?」
リマルカは『破壊神』の屋敷として案内されたため、てっきり『破壊神』が屋敷の中から出てくると思っていたために、突然屋敷から出て来た大男を前にして、頭の中が真っ白になってしまい、そんなことを口走ってしまうのであった。
「ああ? ここがどこだか分からずに来たのか? お前怪しい奴だな、とりあえず壊しとくか」
そう言ってその大男は『リマルカ』の首を掴み上げるのだった。
リマルカも大男と呼べるほどに身長は高く190センチを越える程であったが、屋敷から出てきた男は更に背が高く、100キロ以上あるリマルカを軽々と首を持って掴み上げるのであった。
「ぐ……! が……っ!!」
リマルカは何故自分がこんな目にあっているのか分からず、この大陸に来て二度目の死を覚悟するのだった。
「ちょ、ちょっと何をしているんですかっ! ブラストさん! その人から手を離してください!」
「分かりました。リーネさん」
ブラストと呼ばれた細い身体つきの背の高い男は、同じ屋敷から出てきた女性の言葉に頷いて、ブラストはその場で手を離した。
どさりと音を立てて地面に落ちたリマルカは、意識を失いかけていた目をうっすらと開ける。
「だ、大丈夫ですか! ちょ、ちょっとキーリさんきて!」
「何だ? そんな大声をあげてどうしたんだよリーネ。誰かきたんじゃないのか?」
リーネという女性に呼ばれて出てきたのは、これまたブラストと呼ばれた男とは対照的な小柄で小さな子供だった。
「わ、分からないけど、多分この屋敷にきたってことはソフィのお客さんだと思う。ちょっと料理を作っていて離せなかったから、ブラストさんに出てもらうように頼んだら、いきなり大きな悲鳴と呻き声が聞こえてきて、慌てて出てきたらブラストさんが、この人の首を締めあげていたのよ! とりあえず意識が朦朧としているみたいだから、中へ運んでちょうだい!」
「あちゃー。そりゃ大変だったな? よし、任せろ」
キーリと呼ばれた10歳程の子供は腕まくりをしたかと思えば、倒れている『リマルカ』を軽々と持ち上げてみせたかと思えば、100キロを越える『リマルカ』をお姫様抱っこで中へ運んでいくキーリであった。
意識が朦朧とするリマルカはキーリに運ばれながら、これは夢だと思う事にして、目を閉じながらそのまま気絶するのだった。
……
……
……
――そして今に至る。
先程首を絞めてきた男に睨まれながら『リマルカ』は、屋敷内の一室にある煌びやかな椅子に座らされていた。
リーネと呼ばれていた女性が何か喋っているが、リマルカは緊張して頭に全く入ってこない。
「おい! てめぇ、さっきからリーネさんが貴様に質問してるだろうが! 返事はどうした! コラァ!」
「ひ、ひぃ!! ご、ごめんなさい!!」
「ブラストさん! 怯えさせないで下さいよ!」
「す、すみませんリーネさん。クソガァッ!! てめぇのせいで怒られただろうが、どうしてくれんだ? ぶっ壊されてぇのか? ああ!?」
「ヒィェッ!!」
「ブラストさん!」
リーネをソフィの妃だと思い込んでいるブラストは、リーネに説教をされてひたすら謝罪をしているのだった。
声を掛ける事も出来ずに客である筈のリマルカは、そのまま何も言えずに震えながら頭を押さえていた。
「だめだこりゃ」
先程から全く話が進まない様子に壁にもたれ掛かって、この様子を眺めていたキーリは、そう呟くのだった。
「これは一体?」
「む? こやつはどこかで……」
そこへラルフがソフィを連れて屋敷へ戻ってきた。
「「ソフィ様!」」
「ソフィ!」
「た、助けてください! 破壊神さまー!」
部屋に入ってきたソフィに一同は、一斉に声を掛けるのだった。
……
……
……
ソフィが戻ってきた後に『リマルカ』は、過去にギルド対抗戦で会っていた事などを話して、ようやくソフィはリマルカが誰なのかを思い出すのだった。
「リマルカと言ったか? すまなかったな」
何があったかをリーネに説明されたソフィはリマルカに謝るのだった。慌ててリマルカは首を振る。
「き、気にしないで下さい。それより久しぶりですね『破壊神』!」
ずっとリマルカに威圧感を放ち続けていたブラストは、リーネとラルフに連れていかれて、今この部屋にはソフィとリマルカ。そしてキーリだけだった。
「うむ。というかリマルカよ。我の事はソフィと呼んでくれぬか? それに敬語は必要ないぞ」
「分かりっ……。わ、分かった!」
「それで? 『ミールガルド』大陸から我を訪ねてきたくらいだ。余程の事なのだろう?」
「あ、ああ……。実は私は『ルードリヒ』王国の国王様から指名依頼を受けてここにきたのだ。何やら国王はソフィに話があるようでな。すまないが一度『ルードリヒ』王国へ来てもらえないだろうか」
リマルカはようやく本題に入れた事で、少しは落ちついたようだった。
「ルードリヒの国王が? そういえばヴェルマー大陸のギルドを作ることになった時に『ギルド助成金』を出してもらったとディラックが言っていたが、その事だろうか?」
「いや、どうなのだろうか? すまないが依頼を受けただけの私には何も分からない。出来れば直接会ってもらえると助かるのだが……」
「それもそうだな。分かった、構わぬよ」
ソフィは目の前のリマルカがここまで苦労して、その一言を伝えに来てくれた事に申し訳なさを感じて頷くのだった。
「今日はこの屋敷に泊まるといいぞ。何かあればすぐに横に居るキーリに言ってくれ」
ソフィがそう言うと、慌ててリマルカは首を振る。
「い、いやいや! ソフィに迷惑をかけるつもりはないぞ!」
必死の様子でリマルカは、この恐怖の屋敷に泊まる事を拒否するのだった。
「遠慮をする必要はないぞ。お主はあとは『ミールガルド』大陸へと帰るだけなのだろう? 我が『ルードリヒ』王国へ向かうついでにお主も『ミールガルド』へ送ってやるから、今日は泊っていくがよい」
そう言われたリマルカは、確かにその通りだと思いなおす。それにここで断ってしまえば、帰りはまたあの魔物達が蔓延る道を通って『ダイオ』魔国の領土内の港町まで帰らなければならないのである。
それならば今日はこの屋敷に泊めてもらった方がまだマシだと、リマルカはそう思い直すのであった。
……
……
……
リマルカは『破壊神』の屋敷として案内されたため、てっきり『破壊神』が屋敷の中から出てくると思っていたために、突然屋敷から出て来た大男を前にして、頭の中が真っ白になってしまい、そんなことを口走ってしまうのであった。
「ああ? ここがどこだか分からずに来たのか? お前怪しい奴だな、とりあえず壊しとくか」
そう言ってその大男は『リマルカ』の首を掴み上げるのだった。
リマルカも大男と呼べるほどに身長は高く190センチを越える程であったが、屋敷から出てきた男は更に背が高く、100キロ以上あるリマルカを軽々と首を持って掴み上げるのであった。
「ぐ……! が……っ!!」
リマルカは何故自分がこんな目にあっているのか分からず、この大陸に来て二度目の死を覚悟するのだった。
「ちょ、ちょっと何をしているんですかっ! ブラストさん! その人から手を離してください!」
「分かりました。リーネさん」
ブラストと呼ばれた細い身体つきの背の高い男は、同じ屋敷から出てきた女性の言葉に頷いて、ブラストはその場で手を離した。
どさりと音を立てて地面に落ちたリマルカは、意識を失いかけていた目をうっすらと開ける。
「だ、大丈夫ですか! ちょ、ちょっとキーリさんきて!」
「何だ? そんな大声をあげてどうしたんだよリーネ。誰かきたんじゃないのか?」
リーネという女性に呼ばれて出てきたのは、これまたブラストと呼ばれた男とは対照的な小柄で小さな子供だった。
「わ、分からないけど、多分この屋敷にきたってことはソフィのお客さんだと思う。ちょっと料理を作っていて離せなかったから、ブラストさんに出てもらうように頼んだら、いきなり大きな悲鳴と呻き声が聞こえてきて、慌てて出てきたらブラストさんが、この人の首を締めあげていたのよ! とりあえず意識が朦朧としているみたいだから、中へ運んでちょうだい!」
「あちゃー。そりゃ大変だったな? よし、任せろ」
キーリと呼ばれた10歳程の子供は腕まくりをしたかと思えば、倒れている『リマルカ』を軽々と持ち上げてみせたかと思えば、100キロを越える『リマルカ』をお姫様抱っこで中へ運んでいくキーリであった。
意識が朦朧とするリマルカはキーリに運ばれながら、これは夢だと思う事にして、目を閉じながらそのまま気絶するのだった。
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――そして今に至る。
先程首を絞めてきた男に睨まれながら『リマルカ』は、屋敷内の一室にある煌びやかな椅子に座らされていた。
リーネと呼ばれていた女性が何か喋っているが、リマルカは緊張して頭に全く入ってこない。
「おい! てめぇ、さっきからリーネさんが貴様に質問してるだろうが! 返事はどうした! コラァ!」
「ひ、ひぃ!! ご、ごめんなさい!!」
「ブラストさん! 怯えさせないで下さいよ!」
「す、すみませんリーネさん。クソガァッ!! てめぇのせいで怒られただろうが、どうしてくれんだ? ぶっ壊されてぇのか? ああ!?」
「ヒィェッ!!」
「ブラストさん!」
リーネをソフィの妃だと思い込んでいるブラストは、リーネに説教をされてひたすら謝罪をしているのだった。
声を掛ける事も出来ずに客である筈のリマルカは、そのまま何も言えずに震えながら頭を押さえていた。
「だめだこりゃ」
先程から全く話が進まない様子に壁にもたれ掛かって、この様子を眺めていたキーリは、そう呟くのだった。
「これは一体?」
「む? こやつはどこかで……」
そこへラルフがソフィを連れて屋敷へ戻ってきた。
「「ソフィ様!」」
「ソフィ!」
「た、助けてください! 破壊神さまー!」
部屋に入ってきたソフィに一同は、一斉に声を掛けるのだった。
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ソフィが戻ってきた後に『リマルカ』は、過去にギルド対抗戦で会っていた事などを話して、ようやくソフィはリマルカが誰なのかを思い出すのだった。
「リマルカと言ったか? すまなかったな」
何があったかをリーネに説明されたソフィはリマルカに謝るのだった。慌ててリマルカは首を振る。
「き、気にしないで下さい。それより久しぶりですね『破壊神』!」
ずっとリマルカに威圧感を放ち続けていたブラストは、リーネとラルフに連れていかれて、今この部屋にはソフィとリマルカ。そしてキーリだけだった。
「うむ。というかリマルカよ。我の事はソフィと呼んでくれぬか? それに敬語は必要ないぞ」
「分かりっ……。わ、分かった!」
「それで? 『ミールガルド』大陸から我を訪ねてきたくらいだ。余程の事なのだろう?」
「あ、ああ……。実は私は『ルードリヒ』王国の国王様から指名依頼を受けてここにきたのだ。何やら国王はソフィに話があるようでな。すまないが一度『ルードリヒ』王国へ来てもらえないだろうか」
リマルカはようやく本題に入れた事で、少しは落ちついたようだった。
「ルードリヒの国王が? そういえばヴェルマー大陸のギルドを作ることになった時に『ギルド助成金』を出してもらったとディラックが言っていたが、その事だろうか?」
「いや、どうなのだろうか? すまないが依頼を受けただけの私には何も分からない。出来れば直接会ってもらえると助かるのだが……」
「それもそうだな。分かった、構わぬよ」
ソフィは目の前のリマルカがここまで苦労して、その一言を伝えに来てくれた事に申し訳なさを感じて頷くのだった。
「今日はこの屋敷に泊まるといいぞ。何かあればすぐに横に居るキーリに言ってくれ」
ソフィがそう言うと、慌ててリマルカは首を振る。
「い、いやいや! ソフィに迷惑をかけるつもりはないぞ!」
必死の様子でリマルカは、この恐怖の屋敷に泊まる事を拒否するのだった。
「遠慮をする必要はないぞ。お主はあとは『ミールガルド』大陸へと帰るだけなのだろう? 我が『ルードリヒ』王国へ向かうついでにお主も『ミールガルド』へ送ってやるから、今日は泊っていくがよい」
そう言われたリマルカは、確かにその通りだと思いなおす。それにここで断ってしまえば、帰りはまたあの魔物達が蔓延る道を通って『ダイオ』魔国の領土内の港町まで帰らなければならないのである。
それならば今日はこの屋敷に泊めてもらった方がまだマシだと、リマルカはそう思い直すのであった。
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