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友を想う大魔王編
411.魔王レアとエイネの決着の行方
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エイネに『二色の併用』を使わせた事で、目的であったエイネを本気にさせる事に成功したレアだったが、予想以上に膨れ上がるエイネの魔力に、徐々に真顔に戻っていくレアであった。
(分かってはいた事だけど、実際に目の当たりにすると本当にとんでもないわねぇ……!)
レアは今の『金色のオーラ』を纏ってからは、感じる事がなかったエイネの恐ろしさを再び味わう事となった。
そしてレアと同じ感想を抱く魔族がもう一体いた。それはエイネの張った『結界』で守られた場所から見ているリーシャであった。
「す、すごい! 私エイネさんがあんなに力を出すところを初めてみた……!」
改めて自分を鍛えてくれている師匠が、とんでもなく化け物染みているということを再認識出来た『リーシャ』であった。
…………
「さて。何故レアさんが私の『転移』しようとした先を予見出来たのか。そのカラクリを教えてもらいましょうか!」
エイネはそう言って『高速転移』を使い始めたかと思うと、一気に距離のあるレアの元まで追いつこうとする。
しかしレアもエイネの『高速転移』で自分の場所まで来ることを予測していて、すでにその場所から更に自身も『転移』で別の場所へ移動するのだった。
先程よりも更に速度が増している筈のエイネの一撃を躱して見せたレアに、エイネは眉を寄せて少しばかり機嫌を悪くし始めるのだった。
「ど、どうして!? 何で分かるんですか? レアさん!」
「そんなことを教えるわけないでしょぉ! そんなおっそろしい力で殴られたら、痛いじゃすまないんだから!」
レアは今のエイネの速度と力を分析して、当たれば今の自分の耐久性でも骨が折れると判断して逃げながら戦う事にシフトチェンジするのだった。
しかしそれでも今のレアよりも戦力値が高い『エイネ』の攻撃を避ける事が出来ているのは、レアが『金色のオーラ』を身につけたからだけではなく、レアの戦闘センスの要というべき、類稀なる戦況を把握する『目』でエイネの癖を捉えているからであった。
何度もエイネと戦い演習を積み重ねてきた事によって、レアはエイネが攻撃をする瞬間や、どこへ移動するかの場所を把握することを可能としていた。
『エイネは攻撃を加える瞬間や、移動をしようとする場所を僅かに見る』のである。
――これこそが『エイネ』の癖である。
今までの金色を纏う前のレアでは、その癖を把握していても『エイネ』の出す速度にはついていけず、見ることは出来ても躱す事は出来なかった。
しかし今のレアは金色の体現によって、戦力値自体が30億を上回る事になった。その結果、エイネの動きを見るレアの目に、自身の身体がついていく事を可能としたのである。
現在のエイネとの一対一の戦闘においては、レアは現存の戦力値からエイネの癖を見抜いて先読みといった予見行動を可能としたことで『数億程度のアドバンテージ』をもたらす事と同義となっていた。
相手が自分の攻撃を避けられないところに、こちらの攻撃は相手に一方的に当てられるのだからそれは当然といえる。
もしこれが『真なる魔王』階級の対決であったならば、レアは圧勝をモノにしていただろう。
だがこれは互いに『真なる大魔王』階級の模擬戦であり、エイネは戦闘の場数が並大抵ではなかった。
――当たらないなら、当たるようにすればいい。
――避けられないなら、避けられるようにすればいい。
それを可能と出来る魔族だからこそ、エイネは『アレルバレル』でも生き延びてこられた『大魔王』なのである。
レアはエイネの攻撃を躱し続けて、離れる瞬間に少しずつダメージを与えていた。そしてエイネが苦しそうな表情に変わってきたのを、その稀有な『目』を用いて観察し続けて、そろそろボロが出るだろうという『アタリ』をつけて、相手の隙を逃さないように更に観察する。
――そして、その時はやってきた。
エイネが一気に『力』を開放して速度を捨てながら、一発狙いの攻撃主体に変えたのである。
「エイネ! 勝負を焦ったわねぇ!」
金色のオーラを纏っているとはいっても『エイネ』の防御力は非常に高く、レアの攻撃力では少量のダメージしか与えられていなかった。
しかし相手が一撃必殺のような攻撃手段に変えたことによって、レアは今まで以上に攻撃に手数を増やすことを可能と出来た。
つまり勝負を焦ったエイネの狙いの逆をつけばレアに敗北はない。更にいえばレアはエイネの攻撃する瞬間の『癖』を知っている。
――負ける要素は、皆無の筈であった。
そしてレアはここぞとばかりに『極大魔法』の詠唱を始める。相手は一撃にかけているために、それ以外の事は疎かになっていた。それはつまり今であればレアの魔法は『確実』に通る。
『金色のオーラ』を纏った状態のレアは、更に自身の最大最高魔法『凶炎』の詠唱を始める。
膨大な魔力がレアの魔力回路に注ぎ込まれていく。そして鮮やかな『レパート』の世界の刻印が、魔法陣に刻み込まれながら出現していく。
『真なる大魔王』の領域に居るレアが金色を纏って、神域魔法の詠唱を始めるのを確認したエイネは、自身もまた『狙いの一撃』を用意する。
「待たせたわねぇ! これで終わりよ!!」
――神域魔法、『凶炎』。
魔力回路に貯まった膨大な魔力が一気に放出されてそれに伴い、紅い文字で描かれた鮮やかな『レパート』の世界の刻印が輝き、神域魔法を宿した魔法陣が回転を始める。
そしてその魔法陣からどす黒い炎が出現して対象者である『エイネ』に向かって放出されるのだった。
「待っていましたよ! 勝負を決めるのは……、いま!」
真っすぐに向かっていく対象者『エイネ』が『高速転移』を使って『凶炎』を掻い潜りながらディレイ硬直となっているとみる『レア』に猛接近していく。
「甘いわねぇエイネ! 貴方の移動する場所はすでに見極めているわよぉっ!」
レアがそう言うと魔瞳である『金色の目』が発動して、エイネが現れた場所に先程の『凶炎』出現させるのだった。
レアは自分の神域魔法を操り『エイネ』が現れるであろう場所に向けて、先に自分の魔法の『炎』を転移させたのである。
――次の瞬間。エイネの『高速転移』によって出現した場所の周りには、レアの放った『凶炎』が『エイネ』を襲うのであった。
「これで私の勝ちよぉっ! エイネ!」
どす黒い炎。その恐ろしい熱量が対象者エイネを焼き尽くさんとばかりに、業火がエイネの身体を包みこんだ。
この魔法を放ったレアは勝利を確信して、遠目からこちらを見ていたリーシャもまた、唖然としながらレア達を眺める。
この場に居る誰もが、レアの勝利を疑わなかっただろう。
――しかし。
「いいえ勝敗が決するのは、これからです!!」
両手を突き出して魔法を放っているレアの前から、炎に包まれたエイネが恐ろしい目をしながら、手を伸ばして来る。
「なっ!?」
驚きで目を丸くする『レア』を決して逃しはしないという覚悟を秘めた目で睨みつけたエイネは、自身の右手でレアの肩を強引に掴む。そして具現化した鎖を『レア』の身体に巻き付けるのであった。
「えっ!? な、ななっ!」
――捕まえましたよレアさん。絶対に逃さない――
――絶技『武魔殺鎖』。
レアに巻き付けられた鎖が黒色に変わっていき、やがてレアの魔力は『金色』で増幅された全ての魔力ごと消し去られた。
エイネの身体を焼いていた『凶炎』もその効力を失くして、そして同時に『金色』を纏っていたレアは、強制的に『通常の状態』に戻された。
「あ……、ああ……っっ!」
修羅のような目をした目の前の女性が、次に行うであろう攻撃を予測したレアは、カチカチと歯を鳴らしながら怯える。
そんなレアの肩を右手で掴んだまま、空いている左手でレアの腹を思いっきり殴る。
「うっ……! ぐぇ……、うげぇっ……!!」
戦力値を通常である『三億程度』まで戻されたレアに、三十億近いエイネの左拳が思いっきり突き刺さった。
――という風に思われたが、実際にはレアの魔力を消し去った瞬間にエイネも『二色の併用』をすでに解除しており、今は互いに通常の状態である。
しかし咄嗟の出来事でレアはそれに気づかずに殴られたため、死んだと勘違いしてそのまま気を失った。
「ごめんなさいね、レアさん。それでも私の勝ちです」
――こうしてこの時代の『アレルバレル』の世界で行われた『魔王』レアの最後の戦いは幕を閉じたのだった。
(分かってはいた事だけど、実際に目の当たりにすると本当にとんでもないわねぇ……!)
レアは今の『金色のオーラ』を纏ってからは、感じる事がなかったエイネの恐ろしさを再び味わう事となった。
そしてレアと同じ感想を抱く魔族がもう一体いた。それはエイネの張った『結界』で守られた場所から見ているリーシャであった。
「す、すごい! 私エイネさんがあんなに力を出すところを初めてみた……!」
改めて自分を鍛えてくれている師匠が、とんでもなく化け物染みているということを再認識出来た『リーシャ』であった。
…………
「さて。何故レアさんが私の『転移』しようとした先を予見出来たのか。そのカラクリを教えてもらいましょうか!」
エイネはそう言って『高速転移』を使い始めたかと思うと、一気に距離のあるレアの元まで追いつこうとする。
しかしレアもエイネの『高速転移』で自分の場所まで来ることを予測していて、すでにその場所から更に自身も『転移』で別の場所へ移動するのだった。
先程よりも更に速度が増している筈のエイネの一撃を躱して見せたレアに、エイネは眉を寄せて少しばかり機嫌を悪くし始めるのだった。
「ど、どうして!? 何で分かるんですか? レアさん!」
「そんなことを教えるわけないでしょぉ! そんなおっそろしい力で殴られたら、痛いじゃすまないんだから!」
レアは今のエイネの速度と力を分析して、当たれば今の自分の耐久性でも骨が折れると判断して逃げながら戦う事にシフトチェンジするのだった。
しかしそれでも今のレアよりも戦力値が高い『エイネ』の攻撃を避ける事が出来ているのは、レアが『金色のオーラ』を身につけたからだけではなく、レアの戦闘センスの要というべき、類稀なる戦況を把握する『目』でエイネの癖を捉えているからであった。
何度もエイネと戦い演習を積み重ねてきた事によって、レアはエイネが攻撃をする瞬間や、どこへ移動するかの場所を把握することを可能としていた。
『エイネは攻撃を加える瞬間や、移動をしようとする場所を僅かに見る』のである。
――これこそが『エイネ』の癖である。
今までの金色を纏う前のレアでは、その癖を把握していても『エイネ』の出す速度にはついていけず、見ることは出来ても躱す事は出来なかった。
しかし今のレアは金色の体現によって、戦力値自体が30億を上回る事になった。その結果、エイネの動きを見るレアの目に、自身の身体がついていく事を可能としたのである。
現在のエイネとの一対一の戦闘においては、レアは現存の戦力値からエイネの癖を見抜いて先読みといった予見行動を可能としたことで『数億程度のアドバンテージ』をもたらす事と同義となっていた。
相手が自分の攻撃を避けられないところに、こちらの攻撃は相手に一方的に当てられるのだからそれは当然といえる。
もしこれが『真なる魔王』階級の対決であったならば、レアは圧勝をモノにしていただろう。
だがこれは互いに『真なる大魔王』階級の模擬戦であり、エイネは戦闘の場数が並大抵ではなかった。
――当たらないなら、当たるようにすればいい。
――避けられないなら、避けられるようにすればいい。
それを可能と出来る魔族だからこそ、エイネは『アレルバレル』でも生き延びてこられた『大魔王』なのである。
レアはエイネの攻撃を躱し続けて、離れる瞬間に少しずつダメージを与えていた。そしてエイネが苦しそうな表情に変わってきたのを、その稀有な『目』を用いて観察し続けて、そろそろボロが出るだろうという『アタリ』をつけて、相手の隙を逃さないように更に観察する。
――そして、その時はやってきた。
エイネが一気に『力』を開放して速度を捨てながら、一発狙いの攻撃主体に変えたのである。
「エイネ! 勝負を焦ったわねぇ!」
金色のオーラを纏っているとはいっても『エイネ』の防御力は非常に高く、レアの攻撃力では少量のダメージしか与えられていなかった。
しかし相手が一撃必殺のような攻撃手段に変えたことによって、レアは今まで以上に攻撃に手数を増やすことを可能と出来た。
つまり勝負を焦ったエイネの狙いの逆をつけばレアに敗北はない。更にいえばレアはエイネの攻撃する瞬間の『癖』を知っている。
――負ける要素は、皆無の筈であった。
そしてレアはここぞとばかりに『極大魔法』の詠唱を始める。相手は一撃にかけているために、それ以外の事は疎かになっていた。それはつまり今であればレアの魔法は『確実』に通る。
『金色のオーラ』を纏った状態のレアは、更に自身の最大最高魔法『凶炎』の詠唱を始める。
膨大な魔力がレアの魔力回路に注ぎ込まれていく。そして鮮やかな『レパート』の世界の刻印が、魔法陣に刻み込まれながら出現していく。
『真なる大魔王』の領域に居るレアが金色を纏って、神域魔法の詠唱を始めるのを確認したエイネは、自身もまた『狙いの一撃』を用意する。
「待たせたわねぇ! これで終わりよ!!」
――神域魔法、『凶炎』。
魔力回路に貯まった膨大な魔力が一気に放出されてそれに伴い、紅い文字で描かれた鮮やかな『レパート』の世界の刻印が輝き、神域魔法を宿した魔法陣が回転を始める。
そしてその魔法陣からどす黒い炎が出現して対象者である『エイネ』に向かって放出されるのだった。
「待っていましたよ! 勝負を決めるのは……、いま!」
真っすぐに向かっていく対象者『エイネ』が『高速転移』を使って『凶炎』を掻い潜りながらディレイ硬直となっているとみる『レア』に猛接近していく。
「甘いわねぇエイネ! 貴方の移動する場所はすでに見極めているわよぉっ!」
レアがそう言うと魔瞳である『金色の目』が発動して、エイネが現れた場所に先程の『凶炎』出現させるのだった。
レアは自分の神域魔法を操り『エイネ』が現れるであろう場所に向けて、先に自分の魔法の『炎』を転移させたのである。
――次の瞬間。エイネの『高速転移』によって出現した場所の周りには、レアの放った『凶炎』が『エイネ』を襲うのであった。
「これで私の勝ちよぉっ! エイネ!」
どす黒い炎。その恐ろしい熱量が対象者エイネを焼き尽くさんとばかりに、業火がエイネの身体を包みこんだ。
この魔法を放ったレアは勝利を確信して、遠目からこちらを見ていたリーシャもまた、唖然としながらレア達を眺める。
この場に居る誰もが、レアの勝利を疑わなかっただろう。
――しかし。
「いいえ勝敗が決するのは、これからです!!」
両手を突き出して魔法を放っているレアの前から、炎に包まれたエイネが恐ろしい目をしながら、手を伸ばして来る。
「なっ!?」
驚きで目を丸くする『レア』を決して逃しはしないという覚悟を秘めた目で睨みつけたエイネは、自身の右手でレアの肩を強引に掴む。そして具現化した鎖を『レア』の身体に巻き付けるのであった。
「えっ!? な、ななっ!」
――捕まえましたよレアさん。絶対に逃さない――
――絶技『武魔殺鎖』。
レアに巻き付けられた鎖が黒色に変わっていき、やがてレアの魔力は『金色』で増幅された全ての魔力ごと消し去られた。
エイネの身体を焼いていた『凶炎』もその効力を失くして、そして同時に『金色』を纏っていたレアは、強制的に『通常の状態』に戻された。
「あ……、ああ……っっ!」
修羅のような目をした目の前の女性が、次に行うであろう攻撃を予測したレアは、カチカチと歯を鳴らしながら怯える。
そんなレアの肩を右手で掴んだまま、空いている左手でレアの腹を思いっきり殴る。
「うっ……! ぐぇ……、うげぇっ……!!」
戦力値を通常である『三億程度』まで戻されたレアに、三十億近いエイネの左拳が思いっきり突き刺さった。
――という風に思われたが、実際にはレアの魔力を消し去った瞬間にエイネも『二色の併用』をすでに解除しており、今は互いに通常の状態である。
しかし咄嗟の出来事でレアはそれに気づかずに殴られたため、死んだと勘違いしてそのまま気を失った。
「ごめんなさいね、レアさん。それでも私の勝ちです」
――こうしてこの時代の『アレルバレル』の世界で行われた『魔王』レアの最後の戦いは幕を閉じたのだった。
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