400 / 1,985
煌聖教団誕生編
390.大魔王ロンダギルア
しおりを挟む
『ロンダギルア』が『魔界』の南方にある大陸をその手中に収めた後、ついに残り半分程で完全に魔界の制圧が完成するというところで、中央の大陸の侵略に乗り出した。
ロンダギルアは南方の大陸の出身であり、魔界中央から上の情報など皆無に等しかった。
アレルバレルの『魔界』は想像を絶する程に広い。過去に多くの種族が暮らしていた領土も現在はその全てが『魔族』が支配しているために、同じアレルバレルの世界であっても『人間界』とは雲泥の差といえる程の広大な大陸がいくつも存在しているのである。
だからこそ魔族である『ロンダギルア』でさえ、手を出してはいけない魔族の存在を知らず、決して侵略してはならない大陸に手を出して、その大陸で静かに暮らしていた魔族の怒りを買ってしまった。
――それまで好調に支配領域を増やしていたロンダルギアだったが、この件を境に全てを失うのだった。
その中央の大陸の中心人物だった魔族の名は『ソフィ』といった。
争いの絶えない『魔界』だが『ソフィ』という存在を知る者が多い中央周囲の大陸では、住む魔族達も争いを好む性格ではない事が功を奏して、この大陸の周りは平穏そのものでまさに『砂漠のオアシス』のような場所だった。
しかしそんな中央の大陸にロンダギルアの配下の軍勢たちが乗り込み、好き勝手に暴れてしまう。剰えソフィが面倒を見ていた魔物たちが、このロンダギルアの配下によって重症を負わされてしまうという事件が起きた。
普段温厚なソフィではあったが、決してそれはソフィの性格の全てではないのだ。当然魔族らしく戦闘を好む一面もあるし、仲間のために何か出来ないかと考える優しい一面もある。
――そして仲間をやられた時、普段眠っている彼の本来の大魔王の部分が目覚めてしまったのである。
そしてこのソフィの持つ一面こそが、周りの大陸に住む魔族達が決してソフィとその大陸を襲わない最大の理由であった。
仲間を襲撃された事を知ったソフィは、一夜にして大陸に乗り込んできたロンダギルアの魔族を消滅させた。それも二度と蘇ることをさせないように『魂』ごと消滅させる徹底ぶりであった。
更にそれだけに留まらず『ソフィ』の怒りは、自分の暮らす大陸を攻めるように指示を出した『ロンダギルア』に向かった。
そして中央大陸の大魔王『ソフィ』が動いた事を知った周りの大陸の大魔王の領域にいる魔族達もまた、ソフィに付き従うように足並を揃えて『ロンダギルア』の軍勢に敵対し始める。
――彼らの目的は一つ。
ソフィの怒りを早く抑えてもらう為であった。
ソフィの狙いはあくまで『ロンダギルア』とその一味だけだったが、他の『魔界』に生きる大魔王達にしてみれば、ここで戦争に参加してソフィと行動を共にしなければ、自分達もロンダギルア側にみられるかもしれないと傍から見れば心配をしすぎるだろうとそう思われる程の懸念を抱いたのである。
この時のソフィは『アレルバレル』の魔界の支配など一切行っていない。あくまで中央大陸で仲間達と静かに暮らしていただけである。
しかしそれでも『ソフィ』を怒らせるとまずいと考えている魔族は、この『アレルバレル』にはあまりにも多かった。
そしてその理由は過去のアレルバレルの歴史が証明している。
何千年経ってもその時の出来事は風化する事は無く、争いが次から次に起きる『アレルバレル』の『魔界』であっても、必ずソフィの居る中央大陸付近には波風を起こすことだけは避けられていた程であった。
それが今回『ロンダギルア』という勘違いをしているたった一体の魔族の手によって、静かにしてくれていた『最強の大魔王』を怒らせて表舞台に引きずり出してしまったのである。
数千年という決して短くはない期間を使ってようやく、過去の過ちを風化出来るかもしれないと考えた『魔界』の魔族達は、この勘違い野郎一体のせいで全てが水の泡となったのである。
そんな中北方側で一番最初にソフィに同盟の表明の意を示した大魔王の名は『ディアトロス』。
かつてこの魔族もまた『ソフィ』と手を合わせたこともある魔族だった。結果はソフィが勝利を手にすることになったが、悔恨を残さずにいずれ再戦をソフィに約束して力をつけている途中だったところに、今回の事件が起きたのだった。
ディアトロスにとってはソフィは大事な再戦を約束を交わした間柄であり、自らの矜持をかけた大切なライバルだと思っている。そんなソフィに手を出そうというその考えに苛立ち、ソフィ側に加担したというわけであった。
ソフィとディアトロスという魔界の中央大陸から、北方側にかけての支配者が手を組んだことにより、北方側の大陸は次々とソフィ達の同盟に参加表明していく。
過去の歴史を何も知らない若い者達も膨れ上がっていく『ソフィ』の軍勢に恐れをなして、気が付けば北方にある大陸全ての魔族達が『ソフィの軍勢』となっていた。
対して『魔界』の南方に存在する大陸を支配圏に置いているロンダギルアは、次々と中央大陸と北方大陸に同盟がなされていく『ソフィの軍勢』に対抗するべく『人間界』の『皇帝』にも参戦要請を出した。
そして『皇帝』は『ロンダギルア』に魔界の領土の一部を要求することでこの要請に応じた。
人間界の皇帝が要請に応じたことで、帝国の軍隊は次々と魔界に向かっていく。皇帝の懐刀である大賢者とその魔法部隊も勿論参戦した。
ロンダギルアにとっては人間界の帝国軍というよりも、大賢者の力を欲した上での要請だった。
大魔王の領域にいるロンダギルアであっても、人間の大賢者ミラは欲しくて仕方が無い程の戦力なのであった。
これで全ての準備が整ったロンダギルアたちは、ソフィと魔界の北方側大陸連合との戦争に乗り出した。
そしてこの戦争は『第一次魔界全土戦争』と呼ばれており、後に『アレルバレル』の世界の歴史を大きく変えた一大事件となるのだった。
……
……
……
ロンダギルアの戦力は、ロンダギルアが率いる南方勢力と、皇帝が擁する帝国軍の大賢者。そしてその魔法部隊。
対するはソフィと北方大陸連合。幾万を超える魔族達と人間たちを巻き込んだ戦争が始まり、至る所で戦いが始まった。
――『アレルバレル』という世界の長い歴史の中でさえ、多くの魔族が参加したこの戦争は壮絶を極めた。
北方側も南方側も魔族達の戦力値は数百億を超える者たちばかりであり、戦闘経験も豊富な魔界の大魔王たちの戦争は実に壮観だった。
青の練度が4.5を越える者たちが幾万と居る場所で互いに敵を殺そうと本気で戦うのである。それは地獄と呼んでもおかしくはないだろう。
しかし『人間界』の人間側も負けてはおらず、大賢者ミラは仲間の能力を向上させながら自身もまた億を超える魔族と戦い勝利していく。
『エルシス』の『大賢者』という称号を継ぐような真似をしているだけあり、この『ミラ』という当代の大賢者が使う魔法の多くは『神域の領域』であった。
魔族達の『金色の目』を相殺して「二色の併用」を使って戦うミラは、名のある大魔王達をも屠っていく。
この『第一次魔界全土戦争』は、後にヌーがソフィに対して仕掛けた戦争より苛烈だったかもしれない。
北方大陸側の魔族達も大賢者ミラの戦いぶりに驚き、人間の強さを初めて目の当たりにするのだった。このままでは戦争は長引くだろうと、戦争に参加した者たちの多くは思ったことだろう。
しかし『ソフィ』や『ディアトロス』が戦場に顔を見せ始めた頃。急激に局面は北方側に傾いていくのだった。
『ディアトロス』の『神域魔法』である『移ろい往く欠落』は、対象領域全てに居る生物の体の一部分を強制的に欠落させて使えなくする。
つまりディアトロスの魔法影響下に晒された魔族や人間は、手や足、耳や目、魔力に至るまでの一部分を削り取られてしまった。それもディアトロスの魔法の範囲内、数千人規模である。
突然欠損させられた者たちはパニックに陥り、普段の戦力の半分以上を刈り取られてしまう。それは大魔王といった領域同士での戦い中であれば致命的である。
更にそこに『真なる大魔王』の領域まで、戦力値や魔力値を上昇させた『ソフィ』が『魔神域の魔法』である『転覆』などを使い敵の行動力を大幅に削いでいく。
『ソフィ』や『ディアトロス』の真に恐ろしいところは、魔法の影響が単体ではなく全体に行われることである。
南方側の魔族は局地的での戦いでは、とてつもなく強い力を持つ大魔王達が揃っていたが『ソフィ』や『ディアトロス』のような全土全てを対象にするような『場の全体』を支配するような戦い方に徐々に後退させられていった。
局所的な部分ではまだまだロンダギルアの軍勢が勝ち越しているようなところも多く見られたが、このままのペースで戦争が続けばソフィ達が勝利するだろうと思われた。それ程までにソフィやディアトロスが居る戦場では勢いが違っていた。
だが、ここでそんなソフィ達のいる戦場で一人の人間が姿を見せる。
『二色の併用』のオーラを纏うその若者を見て、怒りの形相を見せていた『ソフィ』の表情が素に戻る。
「ソフィよ。あれの相手はワシにやらせろ。お前が本当に倒さねばならない相手は他にいるじゃろう?」
いい玩具を見つけたといった表情を見せたディアトロスの言葉にソフィは頷く。
「あの人間とは我もやりたかったが仕方が無いな。お主に譲ろう。確かに我はあの『魔族』を葬らねばならぬ」
ソフィがディアトロスにそう告げた後『高速転移』で一気にこの戦争の総大将である『ロンダギルア』の元へ向かっていった。
ミラは遠ざかっていくソフィの後姿を目で追ったが、追いかける素振りは見せなかった。
「さあ選ばれた人間よ、その力をワシに見せてみよ」
「仕方ないな。俺はまだ死ぬわけにはいかない。俺の野望の為に」
後に『智謀』と呼ばれて、九大魔王筆頭となる『ディアトロス』と、一つの組織の長となる人間の大賢者『ミラ』との一戦の幕がこうして切って落とされるのだった。
ロンダギルアは南方の大陸の出身であり、魔界中央から上の情報など皆無に等しかった。
アレルバレルの『魔界』は想像を絶する程に広い。過去に多くの種族が暮らしていた領土も現在はその全てが『魔族』が支配しているために、同じアレルバレルの世界であっても『人間界』とは雲泥の差といえる程の広大な大陸がいくつも存在しているのである。
だからこそ魔族である『ロンダギルア』でさえ、手を出してはいけない魔族の存在を知らず、決して侵略してはならない大陸に手を出して、その大陸で静かに暮らしていた魔族の怒りを買ってしまった。
――それまで好調に支配領域を増やしていたロンダルギアだったが、この件を境に全てを失うのだった。
その中央の大陸の中心人物だった魔族の名は『ソフィ』といった。
争いの絶えない『魔界』だが『ソフィ』という存在を知る者が多い中央周囲の大陸では、住む魔族達も争いを好む性格ではない事が功を奏して、この大陸の周りは平穏そのものでまさに『砂漠のオアシス』のような場所だった。
しかしそんな中央の大陸にロンダギルアの配下の軍勢たちが乗り込み、好き勝手に暴れてしまう。剰えソフィが面倒を見ていた魔物たちが、このロンダギルアの配下によって重症を負わされてしまうという事件が起きた。
普段温厚なソフィではあったが、決してそれはソフィの性格の全てではないのだ。当然魔族らしく戦闘を好む一面もあるし、仲間のために何か出来ないかと考える優しい一面もある。
――そして仲間をやられた時、普段眠っている彼の本来の大魔王の部分が目覚めてしまったのである。
そしてこのソフィの持つ一面こそが、周りの大陸に住む魔族達が決してソフィとその大陸を襲わない最大の理由であった。
仲間を襲撃された事を知ったソフィは、一夜にして大陸に乗り込んできたロンダギルアの魔族を消滅させた。それも二度と蘇ることをさせないように『魂』ごと消滅させる徹底ぶりであった。
更にそれだけに留まらず『ソフィ』の怒りは、自分の暮らす大陸を攻めるように指示を出した『ロンダギルア』に向かった。
そして中央大陸の大魔王『ソフィ』が動いた事を知った周りの大陸の大魔王の領域にいる魔族達もまた、ソフィに付き従うように足並を揃えて『ロンダギルア』の軍勢に敵対し始める。
――彼らの目的は一つ。
ソフィの怒りを早く抑えてもらう為であった。
ソフィの狙いはあくまで『ロンダギルア』とその一味だけだったが、他の『魔界』に生きる大魔王達にしてみれば、ここで戦争に参加してソフィと行動を共にしなければ、自分達もロンダギルア側にみられるかもしれないと傍から見れば心配をしすぎるだろうとそう思われる程の懸念を抱いたのである。
この時のソフィは『アレルバレル』の魔界の支配など一切行っていない。あくまで中央大陸で仲間達と静かに暮らしていただけである。
しかしそれでも『ソフィ』を怒らせるとまずいと考えている魔族は、この『アレルバレル』にはあまりにも多かった。
そしてその理由は過去のアレルバレルの歴史が証明している。
何千年経ってもその時の出来事は風化する事は無く、争いが次から次に起きる『アレルバレル』の『魔界』であっても、必ずソフィの居る中央大陸付近には波風を起こすことだけは避けられていた程であった。
それが今回『ロンダギルア』という勘違いをしているたった一体の魔族の手によって、静かにしてくれていた『最強の大魔王』を怒らせて表舞台に引きずり出してしまったのである。
数千年という決して短くはない期間を使ってようやく、過去の過ちを風化出来るかもしれないと考えた『魔界』の魔族達は、この勘違い野郎一体のせいで全てが水の泡となったのである。
そんな中北方側で一番最初にソフィに同盟の表明の意を示した大魔王の名は『ディアトロス』。
かつてこの魔族もまた『ソフィ』と手を合わせたこともある魔族だった。結果はソフィが勝利を手にすることになったが、悔恨を残さずにいずれ再戦をソフィに約束して力をつけている途中だったところに、今回の事件が起きたのだった。
ディアトロスにとってはソフィは大事な再戦を約束を交わした間柄であり、自らの矜持をかけた大切なライバルだと思っている。そんなソフィに手を出そうというその考えに苛立ち、ソフィ側に加担したというわけであった。
ソフィとディアトロスという魔界の中央大陸から、北方側にかけての支配者が手を組んだことにより、北方側の大陸は次々とソフィ達の同盟に参加表明していく。
過去の歴史を何も知らない若い者達も膨れ上がっていく『ソフィ』の軍勢に恐れをなして、気が付けば北方にある大陸全ての魔族達が『ソフィの軍勢』となっていた。
対して『魔界』の南方に存在する大陸を支配圏に置いているロンダギルアは、次々と中央大陸と北方大陸に同盟がなされていく『ソフィの軍勢』に対抗するべく『人間界』の『皇帝』にも参戦要請を出した。
そして『皇帝』は『ロンダギルア』に魔界の領土の一部を要求することでこの要請に応じた。
人間界の皇帝が要請に応じたことで、帝国の軍隊は次々と魔界に向かっていく。皇帝の懐刀である大賢者とその魔法部隊も勿論参戦した。
ロンダギルアにとっては人間界の帝国軍というよりも、大賢者の力を欲した上での要請だった。
大魔王の領域にいるロンダギルアであっても、人間の大賢者ミラは欲しくて仕方が無い程の戦力なのであった。
これで全ての準備が整ったロンダギルアたちは、ソフィと魔界の北方側大陸連合との戦争に乗り出した。
そしてこの戦争は『第一次魔界全土戦争』と呼ばれており、後に『アレルバレル』の世界の歴史を大きく変えた一大事件となるのだった。
……
……
……
ロンダギルアの戦力は、ロンダギルアが率いる南方勢力と、皇帝が擁する帝国軍の大賢者。そしてその魔法部隊。
対するはソフィと北方大陸連合。幾万を超える魔族達と人間たちを巻き込んだ戦争が始まり、至る所で戦いが始まった。
――『アレルバレル』という世界の長い歴史の中でさえ、多くの魔族が参加したこの戦争は壮絶を極めた。
北方側も南方側も魔族達の戦力値は数百億を超える者たちばかりであり、戦闘経験も豊富な魔界の大魔王たちの戦争は実に壮観だった。
青の練度が4.5を越える者たちが幾万と居る場所で互いに敵を殺そうと本気で戦うのである。それは地獄と呼んでもおかしくはないだろう。
しかし『人間界』の人間側も負けてはおらず、大賢者ミラは仲間の能力を向上させながら自身もまた億を超える魔族と戦い勝利していく。
『エルシス』の『大賢者』という称号を継ぐような真似をしているだけあり、この『ミラ』という当代の大賢者が使う魔法の多くは『神域の領域』であった。
魔族達の『金色の目』を相殺して「二色の併用」を使って戦うミラは、名のある大魔王達をも屠っていく。
この『第一次魔界全土戦争』は、後にヌーがソフィに対して仕掛けた戦争より苛烈だったかもしれない。
北方大陸側の魔族達も大賢者ミラの戦いぶりに驚き、人間の強さを初めて目の当たりにするのだった。このままでは戦争は長引くだろうと、戦争に参加した者たちの多くは思ったことだろう。
しかし『ソフィ』や『ディアトロス』が戦場に顔を見せ始めた頃。急激に局面は北方側に傾いていくのだった。
『ディアトロス』の『神域魔法』である『移ろい往く欠落』は、対象領域全てに居る生物の体の一部分を強制的に欠落させて使えなくする。
つまりディアトロスの魔法影響下に晒された魔族や人間は、手や足、耳や目、魔力に至るまでの一部分を削り取られてしまった。それもディアトロスの魔法の範囲内、数千人規模である。
突然欠損させられた者たちはパニックに陥り、普段の戦力の半分以上を刈り取られてしまう。それは大魔王といった領域同士での戦い中であれば致命的である。
更にそこに『真なる大魔王』の領域まで、戦力値や魔力値を上昇させた『ソフィ』が『魔神域の魔法』である『転覆』などを使い敵の行動力を大幅に削いでいく。
『ソフィ』や『ディアトロス』の真に恐ろしいところは、魔法の影響が単体ではなく全体に行われることである。
南方側の魔族は局地的での戦いでは、とてつもなく強い力を持つ大魔王達が揃っていたが『ソフィ』や『ディアトロス』のような全土全てを対象にするような『場の全体』を支配するような戦い方に徐々に後退させられていった。
局所的な部分ではまだまだロンダギルアの軍勢が勝ち越しているようなところも多く見られたが、このままのペースで戦争が続けばソフィ達が勝利するだろうと思われた。それ程までにソフィやディアトロスが居る戦場では勢いが違っていた。
だが、ここでそんなソフィ達のいる戦場で一人の人間が姿を見せる。
『二色の併用』のオーラを纏うその若者を見て、怒りの形相を見せていた『ソフィ』の表情が素に戻る。
「ソフィよ。あれの相手はワシにやらせろ。お前が本当に倒さねばならない相手は他にいるじゃろう?」
いい玩具を見つけたといった表情を見せたディアトロスの言葉にソフィは頷く。
「あの人間とは我もやりたかったが仕方が無いな。お主に譲ろう。確かに我はあの『魔族』を葬らねばならぬ」
ソフィがディアトロスにそう告げた後『高速転移』で一気にこの戦争の総大将である『ロンダギルア』の元へ向かっていった。
ミラは遠ざかっていくソフィの後姿を目で追ったが、追いかける素振りは見せなかった。
「さあ選ばれた人間よ、その力をワシに見せてみよ」
「仕方ないな。俺はまだ死ぬわけにはいかない。俺の野望の為に」
後に『智謀』と呼ばれて、九大魔王筆頭となる『ディアトロス』と、一つの組織の長となる人間の大賢者『ミラ』との一戦の幕がこうして切って落とされるのだった。
0
お気に入りに追加
440
あなたにおすすめの小説
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

家族で突然異世界転移!?パパは家族を守るのに必死です。
3匹の子猫
ファンタジー
社智也とその家族はある日気がつけば家ごと見知らぬ場所に転移されていた。
そこは俺の持ちうる知識からおそらく異世界だ!確かに若い頃は異世界転移や転生を願ったことはあったけど、それは守るべき家族を持った今ではない!!
こんな世界でまだ幼い子供たちを守りながら生き残るのは酷だろ…だが、俺は家族を必ず守り抜いてみせる!!
感想やご意見楽しみにしております!
尚、作中の登場人物、国名はあくまでもフィクションです。実在する国とは一切関係ありません。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
最初から最強ぼっちの俺は英雄になります
総長ヒューガ
ファンタジー
いつも通りに一人ぼっちでゲームをしていた、そして疲れて寝ていたら、人々の驚きの声が聞こえた、目を開けてみるとそこにはゲームの世界だった、これから待ち受ける敵にも勝たないといけない、予想外の敵にも勝たないといけないぼっちはゲーム内の英雄になれるのか!

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!
珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。
3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。
高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。
これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!!
転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる