上 下
397 / 1,906
煌聖教団誕生編

387.ディアトロスによる魔王軍の全軍出撃命令

しおりを挟む
 その日アレルバレルの世界の魔界全域といい程の広範囲に爆撃音が鳴り響き続けた。攻撃側はアレルバレルの支配者である。狙われた側は『組織』の『アレルバレルの残存勢力』達や反乱分子達であった。すでに『組織』のトップ連中や幹部達は『ヌー』と一緒にこの世界を去っている。

 この世界に残っている連中は、この魔王軍の襲撃が行われた事を『組織』の幹部達に知らせるための所謂『』達である。

 大賢者やその主力勢力達はソフィと懇意にしていた『フルーフ』が姿を消した時点で『ヌー』や『反乱分子』に『レジスタンス』。これらのようなこの世界の全ての『ソフィ』反抗する勢力が疑われているだろうと判断したのである。

 そしてソフィはフルーフと相当な親密な関係を築いていた為、フルーフの最後の姿を見た以上は流石の温厚なソフィであろうと配下を使って報復行動を行うだろうと踏んだ。

 あの『化け物』が仲間と認めた者に対して動く以上は普段の温厚な姿は消える。フルーフを隠した存在を見つけるまで永遠にその暴威を奮うだろう。アレルバレルの世界で生きてきた者達であれば、その考えに容易に辿り着く。

 そして今日こそがその日なのであった――。

 ――アレルバレルの『魔界』。

 アレルバレルには人間の大陸と魔族が住む魔界とに分かれている。

 魔族の住む場所を魔界と呼んでいるのには理由があり、元々は精霊族や魔人族といった魔族種族の種族がこの世界にも生息していたが、過去のアレルバレルで行われた戦争によって、魔族が人間以外の全ての種族を滅ぼし尽くした事で、人間の大陸以外の全ての種族の大陸が『魔族』の大陸となったのである。

 それらの規模を呼ぶのに『大陸』という規模ではなく『界』と呼ぶに相応しくなり、人間達が生きる場所を『人間界』と呼び、魔族達が人間以外の全ての種族を支配したことで、それらの種族が暮らしていた全ての大陸を魔族の大陸として『魔界』と呼ぶ事に統一された。

 この『魔界』の東西南北にある数十の大陸の一つ一つが、人間の大陸より広大であるのだが、現在その全ての支配地域を持っているのが大魔王『ソフィ』である。

 しかしヌーの残存勢力や組織と呼ばれる『ヌー』とは別の大組織が、その魔界の至る所に潜伏している状態なのである。

 今まではその土地土地に暮らす魔族達を慮り、ソフィは大々的に殲滅行為には出なかったが、ユファがこの世界を去った後に魔界全土にソフィ達は出向き、被害を最小限に抑える為に怪しいと思われる場所を探りに探った。

 そしてどうやら潜伏しているだろうと思われる場所を三つ程に絞った後、ソフィの配下の大魔王達は殲滅に向かったのである。

『組織』の残存勢力は『生贄部隊』と呼ばれるような存在ではあったが『組織』の一員である以上は生半可な力ではない。

 各々が大魔王領域を踏破しており、戦力値五億以下の魔族など存在しない。その数もは潜伏しているだろう。

 あくまでソフィ達から見れば『残存勢力』ではあるが、この『生贄部隊』達だけであっても、かつてのリラリオの世界であれば、始祖龍キーリを除く龍族を含めたすべての種族をたった数日で滅ぼしてしまえるだろう。

 アレルバレルという世界は、数多ある世界でも魔族の数と力が違いすぎる世界なのであった。

 だが、そんな組織の『生贄部隊』であっても、同じアレルバレルの世界の大魔王連合とも呼べる一つの世界を競って奪おうとした、時代時代の支配者達が集っているソフィの『魔王軍』を相手どると決して戦いにはなりはしない。

 基本的にソフィの『魔王軍』に所属している魔族は、序列を持つ者を含めて全員が、普段は行動の自由を許されているが、戦争といった有事の際には、魔界全土に散らばる魔王軍所属の魔族は『ソフィ』や魔王軍の指揮権を持つ『ディアトロス』の命令に従わなくてはならない。

 そしてソフィの魔王軍の客分であった『レパート』の大魔王『フルーフ』が『組織』及び大魔王『ヌー』の軍勢に拉致されたと正式に認定されたことで『ヌーとの戦争時』と並ぶ程の有事扱いとなり、魔界の大陸全土に暮らすソフィの配下達全員が結集を行い『組織』の拠点壊滅、及び関係者の殲滅に捕縛。更にはフルーフの救出を目的とした作戦が遂行されたのであった。

 『生贄部隊』とされる組織の残存勢力や、ソフィの反乱分子である者達が多く潜伏する場所は三つ。その内の組織達が潜む拠点の一つが僅か一日で壊滅した。

 反抗する魔族も多く中には戦力値が10数億近い魔族もいて、魔王軍に所属する魔物や魔族達を返り討ちにされるような出来事も起こったが、序列一桁の中でも若い数字を持つ者が現れたことで、一つ目の拠点に居た『反乱分子』達の指揮官は壊滅。

 ディアトロスの命令を受けた『魔王軍』全軍によって、残された敵兵士を拠点ごと大陸を吹き飛ばした。

 その爆音は『人間界』の全ての大陸にまで轟いていた。

 ――そして残り二つの拠点もまた、ソフィの魔王軍達の手が伸びようとしていた。
しおりを挟む
感想 259

あなたにおすすめの小説

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

おっさんの神器はハズレではない

兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...