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煌聖教団誕生編
381.ユファの卒業祝いと金色のメダル
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再びバルド長老の家で一夜を過ごしたレアは、リーシャに起こされて目が覚める。どうやら今日からエイネの特訓にレアも混ざると知ったリーシャが、起こしに来てくれたのだろう。
いつもはエイネと二人の特訓だったため、今日からはレアも一緒に特訓が出来ると知ったリーシャは上機嫌だった。
「レア早く起きて! 私と一緒にエイネさんの特訓受けるんでしょ!」
「うーん……? ああそういえば、そうだったわねぇ?」
寝起きでボーっとしているレアは、昨日エイネから聞かされた特訓の話を思い出す。そして朝の身支度を済ませて、朝食を作ってくれたエイネにお礼を言いながら準備を整える。
「いつもであれば集落を出てすぐの森で、リーシャの特訓をするのですが、レアさんの場合は少し規模が大きくなりそうなので、もっと広い場所へと案内しますね」
「ええ、分かったわ。お手数かけて申し訳ないわね」
「気にしないでください、貴方を今より強くしてみせましょう!」
エイネはふんすっと鼻息荒く、両手でガッツポーズをとっている。どうやら昨日の私のへこみ具合を見て、気を遣ってくれているのだろう。
強くしてもらえると言うのであればレアから言う事は何もなく、言われるがままに彼女についていくのだった。
集落の入り口では、今日もビル爺がクワを持って畑を耕していた。
「ビル爺。今日もリーシャの稽古をしに行ってくるわね?」
「ああ、気を付けてな。おや、今日はその子も一緒にやるのかい?」
いつものように挨拶を交わしたビル爺は、レアの存在に気づきそう口を開く。
「ええ、そうなのよ。でもまだレアさんの場合は、体験みたいなものだけどね」
詳しい詳細等は言う必要はないかと判断したエイネは、それだけをビル爺に告げるのだった。
「そうかいそうかい、気を付けてなぁ」
笑顔でビル爺は手を振って見送ってくれた。
レアも会釈をしてその場を離れようとするが、そこでビル爺がじっと自分を見ていることに気づいた。
「?」
レアが視線を返すと、ビル爺はにこりと再び笑った。
「レアさーん、行きますよ!」
前を歩いていたリーシャとエイネに急かされたので、仕方なくレアは走って追いかけていくのだった。
…………
「彼女、別の大陸からきたとか言っていたねぇ?」
レアの後ろ姿を見ながらぽつりとそう呟いた後にビル爺は、クワを担いだまま自分の畑に向かっていった。
……
……
……
集落を出て森に出ると真っすぐ歩いていく。
そしてリーシャがボアと戦っていた場所まで辿り着くと、そこでエイネは立ち止まった。
「これくらい広い場所があればいいでしょう」
そういうとエイネは広範囲の結界を無詠唱で張る。簡易的な結界だったが、レアはその結界の精巧さに驚く。
「昨日のバルドの結界を見た時も驚いたのだけど、貴方たちは凄い結界をはるわよねぇ?」
今エイネが張って見せた『結界』は、キーリ達龍族が『ターティス』全域に張っていた結界を軽く上回っている。
レアが本気で壊そうとしても数時間はかかるだろうと予測出来る程の『結界』であった。
「うーん。そうですねぇ。しかしこれくらい強度がなければ、この世界では何の役にも立ちませんからね」
頬をかきながら困った顔を浮かべるエイネ。
どうやらレアが思っている以上に、この世界の魔族達は水準が高いらしい。
「さて、それでは始めましょうか」
エイネがそう言うとレアは、頭の中から余計な考えを捨ててエイネに集中する。
「リーシャ。貴方はいつも通り紅を常に張り続けながら、魔力が枯渇するまで纏い続けなさい」
「えー! 実戦練習じゃないのー?」
「この前の試験で合格したから、当分は魔力量を増やす事に集中しないとね」
オーラの維持練をやれと言われて、不機嫌そうに口を尖らせるリーシャだった。
確かに『最上位魔族』から『覚醒した魔王』までは、魔力と魔力量を高める修行をするのが理に適っている。
しかし五歳の子供がもうこの段階に入っているというのが、レアには信じられなかった。
リラリオの世界でこの段階に入っていた魔族は『エリス』に『ベイド』。そして『クーディ』といった元々『最上位魔族』に居たような魔族達だった。
つまり今からこの段階に入る『リーシャ』が彼ら程の年になったとき、いったいどれほどまで強くなっているかを考えると末恐ろしいことであった。
「それでは、レアさん?」
リーシャの事を考えていたレアは、エイネの言葉に我に返る。
「あ、ええ。それでは私は何をすればいいのかしらぁ?」
「前回の試合でレアさんの通常状態の魔力値は把握しましたが、まだ全体量などが分かっていませんので、それをまずは私に教えてください」
前回の試合では『通常状態』ではなく『青』を纏っていたんだけどとレアは内心でそう思ったが、エイネにとってはどっちも変わらないということだろうか。
悔しいがレアの前に居るエイネの強さは尋常ではないため、そう思われていてもおかしくはない。
「じゃあ、今私が出せる全力でいいかしら?」
「ええ、もちろん! 『結界』があるので思う存分に力を発揮してくださいね?」
ニッコリと笑うその顔には他意は一切感じられなかった。
レアはふーっと、息を吐いて精神を統一して魔力を回路に供給する準備をする。
『青』3.3 『紅』1.2 ――『二色の併用』。
【種族:魔族 名前:レア(真なる魔王、通常形態)
魔力値:4200万 戦力値:2億4500万】。
↓
【種族:魔族 名前:レア(真なる魔王、二色の併用)
魔力値:1億6632万 戦力値:9億7020万】。
ビリビリと魔力の圧が周囲を支配していき、レアの戦力値と魔力値は大きく向上する。
「う……っ!! す、すごい!」
リーシャが吹き荒れる魔力に圧し潰されそうになったのをみたエイネは、そっとリーシャの手を引いて自身が前に出て盾となるのであった。
「待たせたわねぇ。これが今の私の全力よぉ?」
目を『金色』に輝かせながらキーリと戦った時と同等。いやその時以上の力をエイネに見せつける。
「成程ね」
キーリでさえこのレアの力を目の当たりにした時、額に脂汗を浮かべていた。
しかしエイネはそんなレアを前にしても『僅かに上方修正が必要かな』と呟く程度だった。
「それで、私はどうすればいいのかしらぁ?」
何もしていなくても魔力が外へ出よう出ようとするため、レアは強引に『金色の目』で魔力の暴走を押しとどめる。
流石にこれ程の魔力を出すことは、殺し合いといった戦争以外では余り出したことのないレアであった。
「そうですね。確かに凄い力ですが、かなり無理をなされている様子ですし、まずはその状態を冷静に抑えられるように頑張りましょうか」
そういって何でもない事のように言い放つエイネだが、今のレアは『魔瞳』を用いて必死に自分の魔力をおさえている状況である。
それを『魔瞳』を使わずに楽に行えるようになれと告げているのであった。
「は、ははは……。アンタって以外にスパルタなのね?」
汗を出しながら必死に魔力を抑えるレアは、エイネにそう憎まれ口を叩くのだった。
……
……
……
その頃、同じアレルバレルの世界では、一体の魔族が多くの仲間たちに囲まれて泣き顔を浮かべていた。
「それではソフィ様。私は元の世界へ戻りますね……」
「うむ。この短期間でよくここまで強くなって見せたな? 我はお前を誇りに思うぞ?」
ローブを纏うソフィは『レア』と同じ『レパート』から来た魔族である『ユファ』の肩に手を置いて嬉しそうな顔を見せる。
「あ、ありがとうございます!」
大魔王フルーフを探してこの世界へ来たユファはその日の内に、大魔王『ヌー』の傘下の魔王に命を狙われたところをソフィによって救われた。
そしてそれから戦争が終わった後もソフィの陣営に留まり、ソフィに修行をつけてもらっていた。
更にはソフィ達と一緒にフルーフを探していたが、結局見つからないままこの日を迎えてユファの修行が終わってしまったのである。
「よし。そうだな、お主にこれをやろう」
懐から金色に光るメダルを取り出すと、ソフィはそのメダルを右手でさっと振りながら魔力を込める。
――するとメダルに鎖が施されて『ネックレス』になった。
そしてその金色のメダルをユファより背が高いソフィは、そっとユファの首にかける。
「これは卒業祝いだ。大切にしてくれるか?」
「こ、これは……!! よ、宜しいのですか!?」
目を丸くして驚いたユファは嬉しそうな声をあげる。
その金色のメダルはソフィの配下であれば誰もが羨む、ソフィに認められた者のみが受け取れるメダルであった。
ソフィの魔王軍には『ユファ』より強い『大魔王』は数多く居るが、それでもこのメダルを手にしている者は少ない。
これを手にすることが出来る者はただ『力』が強いだけではなく、このアレルバレルの王である『ソフィ』という大魔王自らが、努力と研鑽をしていると認めた者にのみ贈られる最上の褒美である。
「はっはっは! よかったなユファ!」
「うむ。お主は本当に良くやっておったからの」
「俺でも頂けるまでに千年はかかったっていうのにな。まぁユファならこの俺も文句は言わねぇよ」
同じメダルを持つ背中に大刀を背負う『大柄の男』や『長い髭を蓄えた老人』。そして『冷徹な目をする魔王』が、新たな仲間を迎えるように親しげで温かい言葉をかけるのだった。
「あ、ありがとうございます! ソフィ様!」
ユファは涙ぐみながら首にかけられたメダルを握りしめて喜ぶのであった。
後にこの金色のメダルを持つ者は、誰よりも研鑽と努力を積み重ねた『大魔王』とされて、アレルバレルの全ての生物の頂点に立つ大魔王『ソフィ』に認められし『九大魔王』と呼ばれるようになるのであった。
……
……
……
いつもはエイネと二人の特訓だったため、今日からはレアも一緒に特訓が出来ると知ったリーシャは上機嫌だった。
「レア早く起きて! 私と一緒にエイネさんの特訓受けるんでしょ!」
「うーん……? ああそういえば、そうだったわねぇ?」
寝起きでボーっとしているレアは、昨日エイネから聞かされた特訓の話を思い出す。そして朝の身支度を済ませて、朝食を作ってくれたエイネにお礼を言いながら準備を整える。
「いつもであれば集落を出てすぐの森で、リーシャの特訓をするのですが、レアさんの場合は少し規模が大きくなりそうなので、もっと広い場所へと案内しますね」
「ええ、分かったわ。お手数かけて申し訳ないわね」
「気にしないでください、貴方を今より強くしてみせましょう!」
エイネはふんすっと鼻息荒く、両手でガッツポーズをとっている。どうやら昨日の私のへこみ具合を見て、気を遣ってくれているのだろう。
強くしてもらえると言うのであればレアから言う事は何もなく、言われるがままに彼女についていくのだった。
集落の入り口では、今日もビル爺がクワを持って畑を耕していた。
「ビル爺。今日もリーシャの稽古をしに行ってくるわね?」
「ああ、気を付けてな。おや、今日はその子も一緒にやるのかい?」
いつものように挨拶を交わしたビル爺は、レアの存在に気づきそう口を開く。
「ええ、そうなのよ。でもまだレアさんの場合は、体験みたいなものだけどね」
詳しい詳細等は言う必要はないかと判断したエイネは、それだけをビル爺に告げるのだった。
「そうかいそうかい、気を付けてなぁ」
笑顔でビル爺は手を振って見送ってくれた。
レアも会釈をしてその場を離れようとするが、そこでビル爺がじっと自分を見ていることに気づいた。
「?」
レアが視線を返すと、ビル爺はにこりと再び笑った。
「レアさーん、行きますよ!」
前を歩いていたリーシャとエイネに急かされたので、仕方なくレアは走って追いかけていくのだった。
…………
「彼女、別の大陸からきたとか言っていたねぇ?」
レアの後ろ姿を見ながらぽつりとそう呟いた後にビル爺は、クワを担いだまま自分の畑に向かっていった。
……
……
……
集落を出て森に出ると真っすぐ歩いていく。
そしてリーシャがボアと戦っていた場所まで辿り着くと、そこでエイネは立ち止まった。
「これくらい広い場所があればいいでしょう」
そういうとエイネは広範囲の結界を無詠唱で張る。簡易的な結界だったが、レアはその結界の精巧さに驚く。
「昨日のバルドの結界を見た時も驚いたのだけど、貴方たちは凄い結界をはるわよねぇ?」
今エイネが張って見せた『結界』は、キーリ達龍族が『ターティス』全域に張っていた結界を軽く上回っている。
レアが本気で壊そうとしても数時間はかかるだろうと予測出来る程の『結界』であった。
「うーん。そうですねぇ。しかしこれくらい強度がなければ、この世界では何の役にも立ちませんからね」
頬をかきながら困った顔を浮かべるエイネ。
どうやらレアが思っている以上に、この世界の魔族達は水準が高いらしい。
「さて、それでは始めましょうか」
エイネがそう言うとレアは、頭の中から余計な考えを捨ててエイネに集中する。
「リーシャ。貴方はいつも通り紅を常に張り続けながら、魔力が枯渇するまで纏い続けなさい」
「えー! 実戦練習じゃないのー?」
「この前の試験で合格したから、当分は魔力量を増やす事に集中しないとね」
オーラの維持練をやれと言われて、不機嫌そうに口を尖らせるリーシャだった。
確かに『最上位魔族』から『覚醒した魔王』までは、魔力と魔力量を高める修行をするのが理に適っている。
しかし五歳の子供がもうこの段階に入っているというのが、レアには信じられなかった。
リラリオの世界でこの段階に入っていた魔族は『エリス』に『ベイド』。そして『クーディ』といった元々『最上位魔族』に居たような魔族達だった。
つまり今からこの段階に入る『リーシャ』が彼ら程の年になったとき、いったいどれほどまで強くなっているかを考えると末恐ろしいことであった。
「それでは、レアさん?」
リーシャの事を考えていたレアは、エイネの言葉に我に返る。
「あ、ええ。それでは私は何をすればいいのかしらぁ?」
「前回の試合でレアさんの通常状態の魔力値は把握しましたが、まだ全体量などが分かっていませんので、それをまずは私に教えてください」
前回の試合では『通常状態』ではなく『青』を纏っていたんだけどとレアは内心でそう思ったが、エイネにとってはどっちも変わらないということだろうか。
悔しいがレアの前に居るエイネの強さは尋常ではないため、そう思われていてもおかしくはない。
「じゃあ、今私が出せる全力でいいかしら?」
「ええ、もちろん! 『結界』があるので思う存分に力を発揮してくださいね?」
ニッコリと笑うその顔には他意は一切感じられなかった。
レアはふーっと、息を吐いて精神を統一して魔力を回路に供給する準備をする。
『青』3.3 『紅』1.2 ――『二色の併用』。
【種族:魔族 名前:レア(真なる魔王、通常形態)
魔力値:4200万 戦力値:2億4500万】。
↓
【種族:魔族 名前:レア(真なる魔王、二色の併用)
魔力値:1億6632万 戦力値:9億7020万】。
ビリビリと魔力の圧が周囲を支配していき、レアの戦力値と魔力値は大きく向上する。
「う……っ!! す、すごい!」
リーシャが吹き荒れる魔力に圧し潰されそうになったのをみたエイネは、そっとリーシャの手を引いて自身が前に出て盾となるのであった。
「待たせたわねぇ。これが今の私の全力よぉ?」
目を『金色』に輝かせながらキーリと戦った時と同等。いやその時以上の力をエイネに見せつける。
「成程ね」
キーリでさえこのレアの力を目の当たりにした時、額に脂汗を浮かべていた。
しかしエイネはそんなレアを前にしても『僅かに上方修正が必要かな』と呟く程度だった。
「それで、私はどうすればいいのかしらぁ?」
何もしていなくても魔力が外へ出よう出ようとするため、レアは強引に『金色の目』で魔力の暴走を押しとどめる。
流石にこれ程の魔力を出すことは、殺し合いといった戦争以外では余り出したことのないレアであった。
「そうですね。確かに凄い力ですが、かなり無理をなされている様子ですし、まずはその状態を冷静に抑えられるように頑張りましょうか」
そういって何でもない事のように言い放つエイネだが、今のレアは『魔瞳』を用いて必死に自分の魔力をおさえている状況である。
それを『魔瞳』を使わずに楽に行えるようになれと告げているのであった。
「は、ははは……。アンタって以外にスパルタなのね?」
汗を出しながら必死に魔力を抑えるレアは、エイネにそう憎まれ口を叩くのだった。
……
……
……
その頃、同じアレルバレルの世界では、一体の魔族が多くの仲間たちに囲まれて泣き顔を浮かべていた。
「それではソフィ様。私は元の世界へ戻りますね……」
「うむ。この短期間でよくここまで強くなって見せたな? 我はお前を誇りに思うぞ?」
ローブを纏うソフィは『レア』と同じ『レパート』から来た魔族である『ユファ』の肩に手を置いて嬉しそうな顔を見せる。
「あ、ありがとうございます!」
大魔王フルーフを探してこの世界へ来たユファはその日の内に、大魔王『ヌー』の傘下の魔王に命を狙われたところをソフィによって救われた。
そしてそれから戦争が終わった後もソフィの陣営に留まり、ソフィに修行をつけてもらっていた。
更にはソフィ達と一緒にフルーフを探していたが、結局見つからないままこの日を迎えてユファの修行が終わってしまったのである。
「よし。そうだな、お主にこれをやろう」
懐から金色に光るメダルを取り出すと、ソフィはそのメダルを右手でさっと振りながら魔力を込める。
――するとメダルに鎖が施されて『ネックレス』になった。
そしてその金色のメダルをユファより背が高いソフィは、そっとユファの首にかける。
「これは卒業祝いだ。大切にしてくれるか?」
「こ、これは……!! よ、宜しいのですか!?」
目を丸くして驚いたユファは嬉しそうな声をあげる。
その金色のメダルはソフィの配下であれば誰もが羨む、ソフィに認められた者のみが受け取れるメダルであった。
ソフィの魔王軍には『ユファ』より強い『大魔王』は数多く居るが、それでもこのメダルを手にしている者は少ない。
これを手にすることが出来る者はただ『力』が強いだけではなく、このアレルバレルの王である『ソフィ』という大魔王自らが、努力と研鑽をしていると認めた者にのみ贈られる最上の褒美である。
「はっはっは! よかったなユファ!」
「うむ。お主は本当に良くやっておったからの」
「俺でも頂けるまでに千年はかかったっていうのにな。まぁユファならこの俺も文句は言わねぇよ」
同じメダルを持つ背中に大刀を背負う『大柄の男』や『長い髭を蓄えた老人』。そして『冷徹な目をする魔王』が、新たな仲間を迎えるように親しげで温かい言葉をかけるのだった。
「あ、ありがとうございます! ソフィ様!」
ユファは涙ぐみながら首にかけられたメダルを握りしめて喜ぶのであった。
後にこの金色のメダルを持つ者は、誰よりも研鑽と努力を積み重ねた『大魔王』とされて、アレルバレルの全ての生物の頂点に立つ大魔王『ソフィ』に認められし『九大魔王』と呼ばれるようになるのであった。
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