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煌聖教団誕生編

375.フルーフに繋がる大事な手掛かり

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 屋敷の一階でレアの探索が終わるまで待っていたバルドとエイネは、同時に高い魔力を感知して顔を見合わせながら、すぐに魔力の出所へ向かうのだった。

 ……
 ……
 ……

 レアは突如現れた魔導書の悪魔の戦力値を『漏出サーチ』で測る。

「へぇ? 魔王に匹敵する悪魔は珍しいわねぇ」

 単なる力だけであれば、リラリオの世界の『覚醒した魔王』のエリスを上回り『精霊王』のヴィヌやそれに『魔人の王』シュケインに匹敵する程であった。

「――!」

 魔導書の悪魔『ガーラ』はどうやらこの本を開いた者を処罰するように命令されていたのだろう。突如として魔導書を開いたレアに敵意を剥き出しにして、咆哮をあげながら襲い掛かってくる。

 だがそんなガーラが攻撃しようと伸ばした腕をレアは片手で掴んでみせる。

「――!?」

 ガーラはあっさりと捻り殺せると考えていたのだろうが、見た目が子供の魔族レアは、曲がりなりにも『リラリオ』の調停者であった龍族。その始祖龍『キーリ』を封印出来る程の力に目覚めている。

』と契約を交わした『悪魔王』が相手であろうが、その契約相手と同じ『居るレアを前にすれば霞んでしまうのだった。

「レアさん! 無事ですか!」

 慌てた様子で書斎に入り込んできたバルドとエイネに一瞬だけ視線を移すレアだったが、ガーラはその瞬間が好機と踏んだのか、掴まれていた手をもう片方の手で自ら切り落として自由に動けるようになった瞬間に、そのまま一気にレアの体を乗っ取ろうと魔力で体を包みながら、レアの内部へ入り込もうとするのだった。

「あ、危ない!」

 そしてエイネが叫びバルドが戦闘態勢に入ろうとした瞬間――。

 ――「」。

 ――神域魔法、『凶炎エビル・フレイム』。

 レアは自身ごと乗り移ろうとしていた『ガーラ』に向けて極大魔法を放った。

 突如レパートの世界の『ことわり』が刻印された魔法陣が出現したかと思うと、そこにレアの『魔力』が吸い込まれていき、その魔法陣は高速回転をしなが光が放たれるのだった。

 そしてその魔法陣は明滅を始めた瞬間、辺り一帯にどす黒い炎が出現する。炎は書斎ごと焼き尽くそうとその熱量を増していくが、中心にいるレアの目が『金色』に輝いたかと思うと、その黒き炎は、全てされて『凶炎エビル・フレイム』の火はレアに乗り移ろうとしていた悪魔に全て向かっていく。

「っっ……!」

 悪魔王ガーラは苦しそうにレアの体から出ていく。

 ――

 逃げようとするガーラを魔瞳『金色の目ゴールド・アイ』で縛り、身動きをとれなくしたあとにレアの『黒い炎』が再びガーラを包み込む。

「―――っっ」

「アハハハ!」

 ガーラは顔を歪めながらもレアを睨もうと視線を向けるが、そのレアの顔を見た瞬間に苦しみは怯えに変わった。

 ――

 実際に口に出したわけではないが、はレアがそう言っているように感じられたのだった。

 そしてレアの目にさらに力が籠められると、そのままガーラは出てきた時と同じように煙に包まれながら、そのまま現界から静かに消えていった。

 ――レアにそのを消されてしまったのであった。

「成程」

 大魔王の領域に居るレアが、あっさりと悪魔王を滅ぼしたのを見た『バルド』は、レアが単なる魔族では無い事に確信を持つのだった。

「騒がしくてごめんねぇ。もう用事は済んだから帰りましょう?」

 レアがそう言うとエイネは神妙に頷きを見せた。

「え、ええ。それにしても先程の『ことわり』も『魔法』も見た事がないモノでした。そして凄い威力ですね!」

 エイネが感心したようにそう言うと、レアは自信満々に言い放つ。

「当たり前でしょう? 私はだからねぇ!」

 そう言ってにっこりと笑う『魔王』レアだった。

 ……
 ……
 ……

 屋敷を出たレア達は集落へと向かい始める。ここに来た時と同じように空を飛んで集落へ戻る途中、レアは魔導書に挟まっていたメモを再び見る。

(あの屋敷にはもうこれ以上、フルーフ様の手掛かりはないでしょうね。でもあの悪魔が守ろうとしていた魔導書にこれがあっただけでも収穫だわぁ!)

 彼女の主であるフルーフは確かにこの世界へ来て、誰かに『概念跳躍アルム・ノーティア』の『魔』を伝え残した。

 そしてその誰かがフルーフ様を手にかけたのは間違いない。レアはメモをくしゃりと握りつぶしながら怒りを燻ぶらせる。

(まずはこの世界を支配しているという『』という奴を探ってみようかしらぁ)

 こうしてフルーフを探しに『アレルバレル』の世界へ辿り着いたレアは、真実を探るために動き始めるのだった。
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