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リラリオの魔王編
325.ラクスの子孫
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ジウの目論見通りに魔人と揉めたその魔族達は、魔族の王であるレアに呼び出されて結界の内側まで魔族を通して視る事が可能となった。
ここまで来ればもう今操っている魔族に用はない。レアという魔族が如何に魔力が優れていたとして、この魔族を調べようとも俺が操った痕跡など見つけられないだろう。
この魔族がレアに情報を漏らすことはない。そもそも操られている事すら、本人は気づいていないのだから。
どうやらこの部屋は応接室のようだが、レア以外には誰もいなかった。ジウは今操っていた魔族の視界を水晶玉を通して共有出来ているのだが、他に操る者が見当たらなければ、結局乗り換えは出来ない結果に終わってしまう。
ここまで来れば結界の内側にいる者であれば誰でもよかったのだが、ジウは考えていた通りにいかずにアテが外れてしまうのだった。
結局誰も操る事が出来ないまま時間が過ぎて、その三体の魔族達はレアに謝罪して、結局そのまま退室してしまうのだった。
(これは予想外だったな。側近の一体か二体くらいはいると思ったのだが……)
そうこうしている内に、レアのいる場所の結界の外側へと魔族達は出て行ってしまった。
ジウは水晶玉に魔力を通すのをやめて、ぽつりと言葉を漏らした。
「まぁいい。こうなるかもしれないと、予め保険をかけておいて正解だった……」
ジウは勝ち誇った顔を浮かべながら、次の機会をゆっくりと待とうと宿のベッドに寝転がるのだった。
しかしここで水晶玉から目を逸らした事や、魔力探知を行う事をやめて寝てしまった事が、ジウにとって最大の失敗となることを、今の彼には知る由もなかった。
……
……
……
その頃魔人ラクスはレアに言われた通りに自己研鑽に励んでいた。レアの教え方は一定以上の力を持っているモノであれば、目から鱗というような感じで理解がより深まるような物であった。
知識として知っている事を身近に感じられるモノへと変えてくれるような、そんなモノの教え方なのである。
ラクスに関して言えば『スクアード』がいい例になるだろう。魔人の先達に『スクアード』は頭の中で自分より強い者と戦った時のことを想像して、相手と戦う自分をイメージを行いそのイメージした自分を留める事を発起しろと言われた。
――つまりスクアードは自分より強い者と戦った事のない魔人では、決して覚える事が出来ない。
自分より強い者と戦う事自体が珍しい魔人族では、矛盾をしているように思えるが、一定以上の強さの者と戦えればいい為に『下級兵』であっても『上級兵』や『幹部級』と戦う事で研鑽を続けていけば『スクアード』は覚えられるようになっている。
しかし慢心しがちな魔人族は、すでに『下級兵』であっても魔族で言えば『魔王』級の強さを持っている為、無理にスクワードを覚えようとはしない。
何故なら『下級兵』や『中級兵』は上を目指して『スクアード』の技法を覚えたところで、すでにその上に立つ者たちはさらに強さを求めている為に、いくら頑張ったところで差は埋まらないことから、それ程意味がないだろうという考えの者が多いからである。
そして他の種族に魔人は『下級兵』でも強いという事実が、魔人の『下級兵』達の自己顕示欲を満たしてしまっている為、すでにその地位に満足しがちになっているのも原因の一つであった。
ラクスもその『下級兵』と同等の力を持つ者の一人であった為、無理にスクアードを覚えようとはしなかったが、レアと初めて出会ったあの時に『スクアード』を開花させてみせた。
たった一度の強敵との闘い。それだけでラクスはスクアードを覚えた。
――彼の持つ潜在的な資質というべき、才能の高さというモノが窺い知れるというものだろう。
レアはすでにラクスの才能に気づいて強くなる為の教えを教授した。
魔人の先達が『スクアード』を頭の中で自らが戦う事を想像して、その上手くいっている理想のイメージを留めてトレースせよという教えに対して、レアの教えは全くといい程に異なった。
種族も違う魔族のレアだが、魔人達のスクアードを何度か見ただけですでにそのカラクリを見抜き、アッサリとその仕組みを見抜いた上で、更なる効率性を押し上げて見せたのである。
これは魔族の『紅い目』や『金色の目』などの技があったことも大きい要因ではあったが、レアはあのフルーフの教えを小さい頃から延々と学んできている。
――それはつまりレア自身もまた、開発のスペシャリストであるということである。
そんなレアから見れば魔人達の歴史の長さなど関係なく、戦いにおいてのスキルである『スクアード』。その真髄をあっさりと掌握して見せたのであった。
そしてその真髄を惜しみなくラクスに教えた。
――曰く、過去の強敵と戦う自分をイメージするところまでは同じだったが、単に敵と戦う自分をイメージするのではなく、過去の強敵と戦った自分がどうやって戦ったかを想像して、何がダメで何がよかったかを具体的に連想しろとの事だった。
言葉にしてみれば何て事のないように思えるが、スクアードを覚えている者にとっては、これ程分かりやすい言葉はなかった。
つまりこの教えは『スクアード』を一から覚える為のものではなく、すでにスクアードを覚えている者が、その上を目指す為のものだったのである。
スクアードは練度など関係なく使ったものは、全員が同じ効力を持つとされている。そしてこれは魔人の常識であるとされている。
しかしレアはこの『スクアード』にも練度のようなものは、確実に存在していると確信していた。
ただ、それがどれ程の研鑽が必要でどれ程の効力の上昇があるか等は、魔人ではないレアには分からない。
この教えを聞いたラクスが、効力の上昇が見込めないならやる意味がないとスクアードの研鑽をしないのであれば、それはそれでこの話は終わりであったが、ラクスはレアを信じる事にして研鑽を始めるのであった。
そしてこの時のラクスの決断は数百年後に実を結び、新たな力に目覚める事となった。
――ラクスのその目覚めた力をレアは目にすることは無く、レパートの世界に戻ってしまったが、
その力は子孫に受け継がれていき、やがて運命のいたずらかその魔人の子孫とソフィが戦う事になるのであった。
その魔人の子孫は代々伝わる技法を自らの得物へと用いて戦う戦士へと変貌をして、今代の魔人の子孫の握る両手には――。
――『光輝く柄のない二刀』が握られていた――。
ここまで来ればもう今操っている魔族に用はない。レアという魔族が如何に魔力が優れていたとして、この魔族を調べようとも俺が操った痕跡など見つけられないだろう。
この魔族がレアに情報を漏らすことはない。そもそも操られている事すら、本人は気づいていないのだから。
どうやらこの部屋は応接室のようだが、レア以外には誰もいなかった。ジウは今操っていた魔族の視界を水晶玉を通して共有出来ているのだが、他に操る者が見当たらなければ、結局乗り換えは出来ない結果に終わってしまう。
ここまで来れば結界の内側にいる者であれば誰でもよかったのだが、ジウは考えていた通りにいかずにアテが外れてしまうのだった。
結局誰も操る事が出来ないまま時間が過ぎて、その三体の魔族達はレアに謝罪して、結局そのまま退室してしまうのだった。
(これは予想外だったな。側近の一体か二体くらいはいると思ったのだが……)
そうこうしている内に、レアのいる場所の結界の外側へと魔族達は出て行ってしまった。
ジウは水晶玉に魔力を通すのをやめて、ぽつりと言葉を漏らした。
「まぁいい。こうなるかもしれないと、予め保険をかけておいて正解だった……」
ジウは勝ち誇った顔を浮かべながら、次の機会をゆっくりと待とうと宿のベッドに寝転がるのだった。
しかしここで水晶玉から目を逸らした事や、魔力探知を行う事をやめて寝てしまった事が、ジウにとって最大の失敗となることを、今の彼には知る由もなかった。
……
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……
その頃魔人ラクスはレアに言われた通りに自己研鑽に励んでいた。レアの教え方は一定以上の力を持っているモノであれば、目から鱗というような感じで理解がより深まるような物であった。
知識として知っている事を身近に感じられるモノへと変えてくれるような、そんなモノの教え方なのである。
ラクスに関して言えば『スクアード』がいい例になるだろう。魔人の先達に『スクアード』は頭の中で自分より強い者と戦った時のことを想像して、相手と戦う自分をイメージを行いそのイメージした自分を留める事を発起しろと言われた。
――つまりスクアードは自分より強い者と戦った事のない魔人では、決して覚える事が出来ない。
自分より強い者と戦う事自体が珍しい魔人族では、矛盾をしているように思えるが、一定以上の強さの者と戦えればいい為に『下級兵』であっても『上級兵』や『幹部級』と戦う事で研鑽を続けていけば『スクアード』は覚えられるようになっている。
しかし慢心しがちな魔人族は、すでに『下級兵』であっても魔族で言えば『魔王』級の強さを持っている為、無理にスクワードを覚えようとはしない。
何故なら『下級兵』や『中級兵』は上を目指して『スクアード』の技法を覚えたところで、すでにその上に立つ者たちはさらに強さを求めている為に、いくら頑張ったところで差は埋まらないことから、それ程意味がないだろうという考えの者が多いからである。
そして他の種族に魔人は『下級兵』でも強いという事実が、魔人の『下級兵』達の自己顕示欲を満たしてしまっている為、すでにその地位に満足しがちになっているのも原因の一つであった。
ラクスもその『下級兵』と同等の力を持つ者の一人であった為、無理にスクアードを覚えようとはしなかったが、レアと初めて出会ったあの時に『スクアード』を開花させてみせた。
たった一度の強敵との闘い。それだけでラクスはスクアードを覚えた。
――彼の持つ潜在的な資質というべき、才能の高さというモノが窺い知れるというものだろう。
レアはすでにラクスの才能に気づいて強くなる為の教えを教授した。
魔人の先達が『スクアード』を頭の中で自らが戦う事を想像して、その上手くいっている理想のイメージを留めてトレースせよという教えに対して、レアの教えは全くといい程に異なった。
種族も違う魔族のレアだが、魔人達のスクアードを何度か見ただけですでにそのカラクリを見抜き、アッサリとその仕組みを見抜いた上で、更なる効率性を押し上げて見せたのである。
これは魔族の『紅い目』や『金色の目』などの技があったことも大きい要因ではあったが、レアはあのフルーフの教えを小さい頃から延々と学んできている。
――それはつまりレア自身もまた、開発のスペシャリストであるということである。
そんなレアから見れば魔人達の歴史の長さなど関係なく、戦いにおいてのスキルである『スクアード』。その真髄をあっさりと掌握して見せたのであった。
そしてその真髄を惜しみなくラクスに教えた。
――曰く、過去の強敵と戦う自分をイメージするところまでは同じだったが、単に敵と戦う自分をイメージするのではなく、過去の強敵と戦った自分がどうやって戦ったかを想像して、何がダメで何がよかったかを具体的に連想しろとの事だった。
言葉にしてみれば何て事のないように思えるが、スクアードを覚えている者にとっては、これ程分かりやすい言葉はなかった。
つまりこの教えは『スクアード』を一から覚える為のものではなく、すでにスクアードを覚えている者が、その上を目指す為のものだったのである。
スクアードは練度など関係なく使ったものは、全員が同じ効力を持つとされている。そしてこれは魔人の常識であるとされている。
しかしレアはこの『スクアード』にも練度のようなものは、確実に存在していると確信していた。
ただ、それがどれ程の研鑽が必要でどれ程の効力の上昇があるか等は、魔人ではないレアには分からない。
この教えを聞いたラクスが、効力の上昇が見込めないならやる意味がないとスクアードの研鑽をしないのであれば、それはそれでこの話は終わりであったが、ラクスはレアを信じる事にして研鑽を始めるのであった。
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――ラクスのその目覚めた力をレアは目にすることは無く、レパートの世界に戻ってしまったが、
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その魔人の子孫は代々伝わる技法を自らの得物へと用いて戦う戦士へと変貌をして、今代の魔人の子孫の握る両手には――。
――『光輝く柄のない二刀』が握られていた――。
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