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リラリオの魔王編
310.魔族の王は世界にその名を轟かす
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「な、何だ? 急に空が……!」
突如空の色が変わったかと思えば、誰かが誰かと戦っている姿が映し出された。
「ち、小さな子供が襲われているわよぉ!」
人間達の大陸『ミールガルド』では、魔人達に襲われているのが人間の子供に見えたらしく、その映像を見た女性は、あの子を助けてあげてと言わんばかりに悲鳴をあげる。
……
……
……
そして精霊族の者達が住む『トーリエ』大陸では、映像の中のことよりこの『魔法』そのものに対して、深く興味を示していたのだった。
「族長! あれは我ら精霊たちの力を宿していない、魔法ではありませんか?」
「うむ。ワシも見たこともない魔法だ……。四元素を使わない魔法? そんなモノは聞いた事がない」
精霊たちが驚くのも無理はなかった。
――この世界では、火、水、風、土の『四元素』に魔力を灯す事で魔法は使われる。
つまりこのリラリオの世界では、精霊が司る四元素以外の魔法は存在し得なかった。
レアの使う『理』は、魔法を究め開発の超がつくほどの『天才』である古の『大魔王』である『フルーフ』が編み出したものである。
違う世界の『理』である以上、この世界では見たことも聞いたこともない『魔法』なのは当然であった。
更にレアはそのフルーフの寵愛を一身に受けて育っており、あらゆる魔法を使いこなし成長させている。フルーフから教わったのは魔法だけではなかった。
もっと重要である『自己を高め、更なる探求を』。という教えを享受しているのだ。
――変化を恐れず、失敗を恐れず、自己研鑽を怠らず。
レアは親愛なるフルーフという教師の教えを、この世の全ての真理として受け止めている。
そんなレアはまさにフルーフの見聞きした物を同じように追跡しながら少しでもフルーフに近づけるように、そして更なる高みへと登り詰める為に毎日研鑽し続けているのだった。
――つまりそんなレアが自信をもって使う魔法は、全てが一級品と呼べる魔法ばかりであった。
……
……
……
この世界の何処からでも空を見上げれば見れる映像は、当然のことながら『ターティス』大陸に居る神々の使徒と呼ばれている『龍族』達も見ていた。
「ああ、これまでの視線の正体はコイツだな」
そう口にするのは龍族の始祖である『キーリ』であった。
ここ最近誰かに見られているという自覚はあったが、どこの誰がどこから見ているかまでは分からなかったが、この映像を映し出す魔法を見て、直ぐにピンときた始祖龍『キーリ』であった。
「しかしコイツ魔人相手にたった一体で立ち向かってるのか? 魔族なんだよな?」
この世界で一番強い『龍族』から見ても、魔人族に魔族が敵うとは到底思えなかった。
更にその魔族は映像を見る限りでは一体しか映っていないにも拘らず、魔人の方は膨大な数にのぼっている。誰がどう見ても無謀としか言いようがなかった。
しかしキーリは何か予感めいた物を感じ取り、その映像から目を離さず見続けるのだった。
……
……
……
空に映像を映し出す魔法を使ったレアに、シュケインの命令に従って多くの魔人達が襲い掛かる。
対するレアは薄く笑みを浮かべたまま、仁王立ちをするようにその場から動かない。
やがて魔人の一体がレアの元に辿り着き、思いっきり拳をレアの頭上に振り下ろした。避ける事も受けることもせずに、レアはギリギリまで魔人たちを自分に引き付けると、当たる直前にレアの姿が消えた。
レアを殴り飛ばせると確信していた魔人はその感触の無さに驚き、そして消えたレアの場所を慌てて探し始める。
――そしてレアの居た場所から広範囲に渡り魔法陣が浮かび上がった。その魔法陣は明滅し始めると、次の瞬間甲高い音が辺りに響き渡る。
――神域魔法、『凶炎』。
周囲一帯をどす黒い炎が突如燃え盛り、その中心にいた魔人は『下級兵』や『中級兵』、更には『上級兵』と区別なく一瞬で溶かされていくのだった。
焦げる匂いなど感じる間もなくレアの近くにいた者から、次から次に炎に巻き込まれて魔人達は絶命していく。
気が付けばレアの居た場所周辺にいた魔人。およそ十万体は今のレアの魔法一発によって、消滅させられたのであった。
「「う、うわあああ!!」」
魔人達は同胞が一瞬で燃え尽きて絶命した姿を見て、慌てふためきながらその場から一気に離れようとする。
――もうお前達は、どこへも逃げることは出来ないわよぉ。
姿は見えないがレアの声だけがその場に居る全ての魔人の耳に入ってくる。
そしてその声を聴いた魔人の腕が、足が、首が、数多くいる魔人の身体の部位が吹き飛んでいく。
「!!」
何が起きているか分からないが、姿が見えないレアが攻撃を次々と行っているようだった。しかしどういう攻撃をされているのか、全く魔人達は分からない。
自分の周りで爆音が鳴り響いたかと思うと、同胞の身体の一部が吹き飛んでは爆発していく。
――再び数万、数十万という大軍の魔人達が一斉に悲鳴を上げる。
自分の悲鳴なのか仲間の悲鳴なのかすら分からないまま、身体が焼ける匂いが鼻孔を擽り、とんでもない爆音で鼓膜が倒れたり破れてしまったりしていく。
そして最後には聴覚が感じ取れなくなり、何も聞こえなくなるのだった。
魔人達はもう戦う意識がなくなるとかそういう状況ですらない。
前方にいた『下級兵』はすでに最初の一撃で全滅。そしてその背後に列をなしていた『中級兵』や『上級兵』もその大半が燃え尽きてすでにこの世を去っている。
――戦いになど全くなっていなかった。
単にレアが暴れている様が空に映像として映し出されている。
あらゆる種族は空を見上げながら息を呑んだ。しかし決してその映像から目を離せず、いずれは世界をも脅かすと言われていた圧倒的な力を誇る『魔人族』がたった一体の小さな子供に蹂躙されていく様を見続けていた。
――この日の出来事は『リラリオ』の世界にある全ての大陸全土に生きる者達に映像として伝わり、直接見た者から後世に渡って語り継がれていくこととなった――。
突如空の色が変わったかと思えば、誰かが誰かと戦っている姿が映し出された。
「ち、小さな子供が襲われているわよぉ!」
人間達の大陸『ミールガルド』では、魔人達に襲われているのが人間の子供に見えたらしく、その映像を見た女性は、あの子を助けてあげてと言わんばかりに悲鳴をあげる。
……
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……
そして精霊族の者達が住む『トーリエ』大陸では、映像の中のことよりこの『魔法』そのものに対して、深く興味を示していたのだった。
「族長! あれは我ら精霊たちの力を宿していない、魔法ではありませんか?」
「うむ。ワシも見たこともない魔法だ……。四元素を使わない魔法? そんなモノは聞いた事がない」
精霊たちが驚くのも無理はなかった。
――この世界では、火、水、風、土の『四元素』に魔力を灯す事で魔法は使われる。
つまりこのリラリオの世界では、精霊が司る四元素以外の魔法は存在し得なかった。
レアの使う『理』は、魔法を究め開発の超がつくほどの『天才』である古の『大魔王』である『フルーフ』が編み出したものである。
違う世界の『理』である以上、この世界では見たことも聞いたこともない『魔法』なのは当然であった。
更にレアはそのフルーフの寵愛を一身に受けて育っており、あらゆる魔法を使いこなし成長させている。フルーフから教わったのは魔法だけではなかった。
もっと重要である『自己を高め、更なる探求を』。という教えを享受しているのだ。
――変化を恐れず、失敗を恐れず、自己研鑽を怠らず。
レアは親愛なるフルーフという教師の教えを、この世の全ての真理として受け止めている。
そんなレアはまさにフルーフの見聞きした物を同じように追跡しながら少しでもフルーフに近づけるように、そして更なる高みへと登り詰める為に毎日研鑽し続けているのだった。
――つまりそんなレアが自信をもって使う魔法は、全てが一級品と呼べる魔法ばかりであった。
……
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……
この世界の何処からでも空を見上げれば見れる映像は、当然のことながら『ターティス』大陸に居る神々の使徒と呼ばれている『龍族』達も見ていた。
「ああ、これまでの視線の正体はコイツだな」
そう口にするのは龍族の始祖である『キーリ』であった。
ここ最近誰かに見られているという自覚はあったが、どこの誰がどこから見ているかまでは分からなかったが、この映像を映し出す魔法を見て、直ぐにピンときた始祖龍『キーリ』であった。
「しかしコイツ魔人相手にたった一体で立ち向かってるのか? 魔族なんだよな?」
この世界で一番強い『龍族』から見ても、魔人族に魔族が敵うとは到底思えなかった。
更にその魔族は映像を見る限りでは一体しか映っていないにも拘らず、魔人の方は膨大な数にのぼっている。誰がどう見ても無謀としか言いようがなかった。
しかしキーリは何か予感めいた物を感じ取り、その映像から目を離さず見続けるのだった。
……
……
……
空に映像を映し出す魔法を使ったレアに、シュケインの命令に従って多くの魔人達が襲い掛かる。
対するレアは薄く笑みを浮かべたまま、仁王立ちをするようにその場から動かない。
やがて魔人の一体がレアの元に辿り着き、思いっきり拳をレアの頭上に振り下ろした。避ける事も受けることもせずに、レアはギリギリまで魔人たちを自分に引き付けると、当たる直前にレアの姿が消えた。
レアを殴り飛ばせると確信していた魔人はその感触の無さに驚き、そして消えたレアの場所を慌てて探し始める。
――そしてレアの居た場所から広範囲に渡り魔法陣が浮かび上がった。その魔法陣は明滅し始めると、次の瞬間甲高い音が辺りに響き渡る。
――神域魔法、『凶炎』。
周囲一帯をどす黒い炎が突如燃え盛り、その中心にいた魔人は『下級兵』や『中級兵』、更には『上級兵』と区別なく一瞬で溶かされていくのだった。
焦げる匂いなど感じる間もなくレアの近くにいた者から、次から次に炎に巻き込まれて魔人達は絶命していく。
気が付けばレアの居た場所周辺にいた魔人。およそ十万体は今のレアの魔法一発によって、消滅させられたのであった。
「「う、うわあああ!!」」
魔人達は同胞が一瞬で燃え尽きて絶命した姿を見て、慌てふためきながらその場から一気に離れようとする。
――もうお前達は、どこへも逃げることは出来ないわよぉ。
姿は見えないがレアの声だけがその場に居る全ての魔人の耳に入ってくる。
そしてその声を聴いた魔人の腕が、足が、首が、数多くいる魔人の身体の部位が吹き飛んでいく。
「!!」
何が起きているか分からないが、姿が見えないレアが攻撃を次々と行っているようだった。しかしどういう攻撃をされているのか、全く魔人達は分からない。
自分の周りで爆音が鳴り響いたかと思うと、同胞の身体の一部が吹き飛んでは爆発していく。
――再び数万、数十万という大軍の魔人達が一斉に悲鳴を上げる。
自分の悲鳴なのか仲間の悲鳴なのかすら分からないまま、身体が焼ける匂いが鼻孔を擽り、とんでもない爆音で鼓膜が倒れたり破れてしまったりしていく。
そして最後には聴覚が感じ取れなくなり、何も聞こえなくなるのだった。
魔人達はもう戦う意識がなくなるとかそういう状況ですらない。
前方にいた『下級兵』はすでに最初の一撃で全滅。そしてその背後に列をなしていた『中級兵』や『上級兵』もその大半が燃え尽きてすでにこの世を去っている。
――戦いになど全くなっていなかった。
単にレアが暴れている様が空に映像として映し出されている。
あらゆる種族は空を見上げながら息を呑んだ。しかし決してその映像から目を離せず、いずれは世界をも脅かすと言われていた圧倒的な力を誇る『魔人族』がたった一体の小さな子供に蹂躙されていく様を見続けていた。
――この日の出来事は『リラリオ』の世界にある全ての大陸全土に生きる者達に映像として伝わり、直接見た者から後世に渡って語り継がれていくこととなった――。
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