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リラリオの魔王編
302.魔王レアVS魔人の幹部級
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「何だと? 聞き間違いをしたかもしれねぇ。もう一度いってくれねぇか?」
その頃ヴェルマー大陸のダイオ魔国では、レアと戦闘中であった『幹部級』のリオンが、こめかみに青筋を浮かべながらレアを睨みながらそう言った。
「あら……? 聞こえなかったのかしらぁ? 耳が遠いのねぇ。じゃあもう一度だけ分かりやすく言ってあげるわねぇ?」
レアはそう言うと、一呼吸した後再び口を開いた。
「こんな程度で龍族と戦争しようとするなんて、魔人っていう種族は存在が滑稽といったのよぉ!」
ケタケタと笑う幼女は、更に魔人を小馬鹿にするのだった。
「……」
「……」
『幹部級』のリオンだけではなくリーベもまた、レアの言葉を聞いて苛立ちの表情を浮かべて無言となった。そして『リオン』はもう何もレアに言う気はないのか、配下の魔人たちに一斉に指示を出した。
「アイツを殺せ。もう連れて帰る必要ねぇ、全力で叩き潰せ!」
どうやらリオンは堪忍袋の緒が切れたようだった。
その指示を受けた『下級兵』達魔人全員が一斉にレアに向かって突っ込んでいった。
「あらあら。堪え性がないのねぇ? 器が知れるわよ『魔人』」
そう言うとレアの目が『金色』に変わり、レアは通常形態から『真なる魔王』へと変貌を遂げる。
その瞬間――。
先程『下級兵』に殴り飛ばされたレアとは思えない光景が、幹部級の『魔人』の目に映し出された。
格下の種族である筈のたった一人の魔族を相手に『下級兵』とは言っても戦力値が4000万は越えているであろう魔人達が、次々と殴り飛ばされてそして蹴り飛ばされていく。
レアに攻撃された魔人は一撃で絶命していく。まるで今までのレアとはまるで別人であった。
「リーベ!! お前の『漏出』ではどうなってる!?」
先程まで煽っていたレアに苛立ちを見せていたリオンの姿はなく、焦りからリーベに問い質すように声を掛ける。
リーベは『漏出』の副作用に耐えているのか、突如激しい頭痛が襲い掛かってきており、頭を必死に押さえながら片目を必死にあげて、リオンに返事をするのであった。
「せ、戦力値、そ、測定不能……!」
リーベからの返答にリオンは自分の『漏出』が、間違いではなかったという事実に驚愕する。
たった一体の魔族に上位種族であるはずの魔人が、次々とレアに向かい絶命させられていく。
気が付けばあれだけ多くいた魔人は、僅か数秒で半数以下にまで減らされていた。
「す、すぐに本国に連絡しろ! 中級兵なんて悠長なこと言ってる場合じゃない。全軍だ!」
「わ、わかった!」
リーベはリオンの言葉に頷いた後、即座にこの場から離れて本国にいる仲間に『念話』を送るのであった。
そんなやり取りをしている間にも『下級兵』たち魔人は、次々とレア一体に屠られていく。
――数の上で優勢となるのは『魔王』領域未満の魔族達までだという事を明確に体現している光景であった。
レアは次々と襲い掛かる魔人の死角死角へと細かな転移を繰り返しながら、敵の隙を見つけては一撃を入れて、直ぐにその場から消えるかの如く転移を繰り返す。
戦闘能力の違いすぎるレアと『下級兵』ではまったく勝負になっていない。
接近戦では話にならない上に固まって行動をしようとすれば、遠くから瞬時に無詠唱の『極大魔法』を放たれる。
むしろレアに魔法を使わせてはいけない、何故ならレアという魔族の本髄は『魔法使い』。
そしてそれは大魔王『フルーフ』仕込みの『魔法』なのである。
――数多の大魔王が驚愕する程の『魔』の極致。
時代を何百年、何千年と先を行く『大魔王』から丁寧に数千年に渡って教え込まれた『レア』が、こんな『魔』に対して何も対策を取らずに腕っぷしだけで攻めてくる時代遅れの種族を相手に負ける筈がなかった。
まだ『真なる魔王』の領域を許しているレアだが、すでに彼女は『魔力』だけならば『大魔王』の領域に肉薄している。
そんなレアに悠々と魔法を使わせるならば『下級兵』如き魔人はただの的に過ぎなくなる。
接近戦は駄目、遠距離も駄目。まさにこの魔族の王に『下級兵』の魔人は成す術なく無様にやられていく事しか出来なかった。
「ま、間違いねぇ、こいつが魔族の王で間違いねぇっ!」
最早リオンは目の前の幼女をただの子供だと思うことは出来なくなっていた。
今向かって行っている同胞が『下級兵』だからとかそういう次元ではなく、目の前に映るあの魔族は『幹部級』階級の魔人と同等、いやそれ以上かもしれないとリオンはレアを認めるのだった。
そう決めた後の『幹部級』リオンの行動は早い。リオンの目が炎のように赤い色を発し始める。
その様子を見てリーベも仕方なく『スクアード』を発動させる。
魔族の『紅い目』に似た色だが、効力は桁違いである。
本来であればたかが魔族相手に『幹部級』の魔人が『スクアード』を使って戦う事などあり得ない。
『幹部級』の魔人が『スクアード』を使って戦う場合、神々に近い種族とされる龍族を相手にしたとしても、互角に戦う事が出来るといわれている程なのだから。
それがましてや『幹部級』二体の『スクアード』である。過剰すぎるといっても間違いではなかっただろう。
だが、リオンとリーベは目の前のこの魔族相手に、奥の手を使わなければいけない『強敵』と認めたのだった。
――そして遂に『下級兵』の魔人がレアによって全滅させられてしまうのだった。
この場に『幹部級』の二体を残すのみとなった頃、リオンとリーベは戦闘態勢に入るのだった。
その頃ヴェルマー大陸のダイオ魔国では、レアと戦闘中であった『幹部級』のリオンが、こめかみに青筋を浮かべながらレアを睨みながらそう言った。
「あら……? 聞こえなかったのかしらぁ? 耳が遠いのねぇ。じゃあもう一度だけ分かりやすく言ってあげるわねぇ?」
レアはそう言うと、一呼吸した後再び口を開いた。
「こんな程度で龍族と戦争しようとするなんて、魔人っていう種族は存在が滑稽といったのよぉ!」
ケタケタと笑う幼女は、更に魔人を小馬鹿にするのだった。
「……」
「……」
『幹部級』のリオンだけではなくリーベもまた、レアの言葉を聞いて苛立ちの表情を浮かべて無言となった。そして『リオン』はもう何もレアに言う気はないのか、配下の魔人たちに一斉に指示を出した。
「アイツを殺せ。もう連れて帰る必要ねぇ、全力で叩き潰せ!」
どうやらリオンは堪忍袋の緒が切れたようだった。
その指示を受けた『下級兵』達魔人全員が一斉にレアに向かって突っ込んでいった。
「あらあら。堪え性がないのねぇ? 器が知れるわよ『魔人』」
そう言うとレアの目が『金色』に変わり、レアは通常形態から『真なる魔王』へと変貌を遂げる。
その瞬間――。
先程『下級兵』に殴り飛ばされたレアとは思えない光景が、幹部級の『魔人』の目に映し出された。
格下の種族である筈のたった一人の魔族を相手に『下級兵』とは言っても戦力値が4000万は越えているであろう魔人達が、次々と殴り飛ばされてそして蹴り飛ばされていく。
レアに攻撃された魔人は一撃で絶命していく。まるで今までのレアとはまるで別人であった。
「リーベ!! お前の『漏出』ではどうなってる!?」
先程まで煽っていたレアに苛立ちを見せていたリオンの姿はなく、焦りからリーベに問い質すように声を掛ける。
リーベは『漏出』の副作用に耐えているのか、突如激しい頭痛が襲い掛かってきており、頭を必死に押さえながら片目を必死にあげて、リオンに返事をするのであった。
「せ、戦力値、そ、測定不能……!」
リーベからの返答にリオンは自分の『漏出』が、間違いではなかったという事実に驚愕する。
たった一体の魔族に上位種族であるはずの魔人が、次々とレアに向かい絶命させられていく。
気が付けばあれだけ多くいた魔人は、僅か数秒で半数以下にまで減らされていた。
「す、すぐに本国に連絡しろ! 中級兵なんて悠長なこと言ってる場合じゃない。全軍だ!」
「わ、わかった!」
リーベはリオンの言葉に頷いた後、即座にこの場から離れて本国にいる仲間に『念話』を送るのであった。
そんなやり取りをしている間にも『下級兵』たち魔人は、次々とレア一体に屠られていく。
――数の上で優勢となるのは『魔王』領域未満の魔族達までだという事を明確に体現している光景であった。
レアは次々と襲い掛かる魔人の死角死角へと細かな転移を繰り返しながら、敵の隙を見つけては一撃を入れて、直ぐにその場から消えるかの如く転移を繰り返す。
戦闘能力の違いすぎるレアと『下級兵』ではまったく勝負になっていない。
接近戦では話にならない上に固まって行動をしようとすれば、遠くから瞬時に無詠唱の『極大魔法』を放たれる。
むしろレアに魔法を使わせてはいけない、何故ならレアという魔族の本髄は『魔法使い』。
そしてそれは大魔王『フルーフ』仕込みの『魔法』なのである。
――数多の大魔王が驚愕する程の『魔』の極致。
時代を何百年、何千年と先を行く『大魔王』から丁寧に数千年に渡って教え込まれた『レア』が、こんな『魔』に対して何も対策を取らずに腕っぷしだけで攻めてくる時代遅れの種族を相手に負ける筈がなかった。
まだ『真なる魔王』の領域を許しているレアだが、すでに彼女は『魔力』だけならば『大魔王』の領域に肉薄している。
そんなレアに悠々と魔法を使わせるならば『下級兵』如き魔人はただの的に過ぎなくなる。
接近戦は駄目、遠距離も駄目。まさにこの魔族の王に『下級兵』の魔人は成す術なく無様にやられていく事しか出来なかった。
「ま、間違いねぇ、こいつが魔族の王で間違いねぇっ!」
最早リオンは目の前の幼女をただの子供だと思うことは出来なくなっていた。
今向かって行っている同胞が『下級兵』だからとかそういう次元ではなく、目の前に映るあの魔族は『幹部級』階級の魔人と同等、いやそれ以上かもしれないとリオンはレアを認めるのだった。
そう決めた後の『幹部級』リオンの行動は早い。リオンの目が炎のように赤い色を発し始める。
その様子を見てリーベも仕方なく『スクアード』を発動させる。
魔族の『紅い目』に似た色だが、効力は桁違いである。
本来であればたかが魔族相手に『幹部級』の魔人が『スクアード』を使って戦う事などあり得ない。
『幹部級』の魔人が『スクアード』を使って戦う場合、神々に近い種族とされる龍族を相手にしたとしても、互角に戦う事が出来るといわれている程なのだから。
それがましてや『幹部級』二体の『スクアード』である。過剰すぎるといっても間違いではなかっただろう。
だが、リオンとリーベは目の前のこの魔族相手に、奥の手を使わなければいけない『強敵』と認めたのだった。
――そして遂に『下級兵』の魔人がレアによって全滅させられてしまうのだった。
この場に『幹部級』の二体を残すのみとなった頃、リオンとリーベは戦闘態勢に入るのだった。
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