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リラリオの魔王編
293.魔王レアのラルグ魔国襲撃
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正面から乗り込んできた来襲者の存在は、直ぐにラルグ城全域にいる魔族に知れ渡った。
何故ならレアが自ら騒ぎを大きくするように、派手な魔法を次から次に使いながら進んでいるからである。
「な、なんだお前は!?」
城を守るラルグの魔族達は圧倒的な力を持つ『魔王』にあっさりと倒されていく。
「私はこの世界の支配者になるものよぉ?」
――超越魔法、『終焉の炎』。
魔王レアの目が紅くなり、爆炎が燃え広がり敵を焦がしていく。
「ぎゃあああっっ!」
また一体レアの前に立ち塞がった魔族は消し炭にされる。城の中にいる兵士は次から次にレアを捕縛しようと襲い掛かっていくが、全て一撃で消されていく。
騒ぎを聞きつけたラルグの魔国王『ベイド』は『漏出』の魔法ですでに自らの戦力値を遥かに上回る幼女の存在に諦観の念を抱く。
ベイドは彼女の魔力や戦力値の正しい数値を算出出来る程の魔力は無いが、使った瞬間に恐ろしい程の頭痛が生じた為に、来襲者がただ者ではないと理解したのであった。
そしてベイドは逃げたくなる気持ちをおさえてこの場所を目指して進むレアを待つ。彼もまた一国の王である以上、配下たちがやられていく様を見て逃げずに果てる覚悟を決めて迎え撃とうとする。
ラルグの城にいる魔族達はすでに数体が消し炭となり、残った兵達は手を出さずレアが堂々と我が物顔で歩いていくところを見ているだけしか出来ない。
「退屈ねぇ……? 貴方たち私をいつでも攻撃してきていいのよぉ?」
そしてそんなラルグ魔国の兵士達をレアは目を細めながら煽る。
だが、悔しそうな表情を浮かべたが、誰もレアに手を出すことはできなかった。
(腰抜けばっかりねぇ。私が支配者になったら徹底的に鍛え抜いてやるしかないわねぇ)
胸中でそんなことを抱きながらレアは、無抵抗の兵士たちがいる城内を上がっていく。そしてついにラルグの魔国王『ベイド』が居る王の間に到達するのだった。
「あなたがこの国の王ねぇ? 名前を伺ってもいいかしらぁ」
玉座に座るベイドの周りには、側近たちが王を守るように立っている。しかしレアはそんな連中を無視して、この国の王『ベイド』に射抜くような視線を向ける。
「私の名はベイドだ。き、君は一体何を狙ってここにきたのだ?」
レアはニヤリと笑うとベイドが、予想もしなかった言葉を口にする。
「別にここに特別な用があって来たわけじゃないわよぉ? この世界を手中に収める為に必要な拠点と、自由に動かせる駒が欲しかっただけよぉ」
その言葉に王はおろかその場にいた全員が凍り付いた。驚いた様子を見せる魔族達に満足したのか、レアは声をあげて笑い始めた。
「この世界を手中に収める為……」
ベイドはあまりに馬鹿げた話を聞いて沈黙させられたが、何とかそう口にする事ができた。
「貴方も魔族なら野望の一つは持ってるでしょぉ? 私に協力するつもりはないかしら?」
突然現れた小さな魔族は、ベイドの心の奥底に眠らせていた野望を刺激する。
――しかし。
「それは確かに魔族であれば、誰もが一度は考える事だがね」
ベイドは世を知った大人が見せる特有の諦観を醸し出す。
確かにこの世界が魔族や人間だけが生きる世界であれば、レアの言う通り世界統一の夢を持つことはできるだろう。しかしこの世界は魔族より強き種族達が多く存在する『世界』であった。
『人間族』や『精霊族』であればヴェルマーの魔族達が、力を合わせれば問題はないだろう。
だが、力が魔族より遥かに強く『魔法』も通りづらい程の恵まれた肉体を持つ『魔人』や、神々に近い種族であり、この『リラリオ』の世界を束ねている最強種である『龍族』には『魔族』では、どう足掻いても勝てるわけがなかった。
今のこの偽りの平和が保っていられるのは『龍族』が、世界の調停の役割を担っているからに他ならない。
同種族達の争いには手を出さないが、万が一魔族達が結集して他の種族に戦争を仕掛けるような真似をすれば『龍族』が動き出して反乱を起こした者達を一掃する動きを見せるだろう。
この世界の調停者である『龍族』が居る限り、世界の統一を魔族が果たす事は無いであろう。
「私に協力するつもりはないのねぇ? わざわざ足を運んであげたと言うのにぃ」
レアはやれやれと手を挙げて溜息を吐く。
そして同時にレアは『淡く青い』オーラを纏い始める。
瞬間、ベイドは驚愕に目を丸くする。
「!?」
仮にも『最上位魔族』であるベイドは、目の前でレアが更に戦力値が増したのを見逃す筈がなかった。
――魔王。
この世界ではまだ魔族から魔王に昇華したという話は聞いた事がない。しかし目の前の目が『金色』に光り『青いオーラ』を纏っている幼女はベイドとは比べ物にならない力を見せつけてくる。
「この国の王『ペイド』。最後の通告よぉ?」
ベイドと同じく『最上位』に位置する魔族の側近達が、次々とレアの圧力に気を失っていく。
「よく考えて答えなさい。私に協力しないならば、今日を以てこの国は消えてなくなると思え」
レアはベイドに返事をさせる為に、わざと圧力が向かないようにコントロールしているようだった。
「わ、私に……。私達に何をせよと?」
何とか絞り出すように声を出して尋ねるベイドに、レアはニヤリと笑いながら答える。
「私の忠実な配下となり、共にこの世界を統一をする為の手足となって利用されなさい」
……
……
……
何故ならレアが自ら騒ぎを大きくするように、派手な魔法を次から次に使いながら進んでいるからである。
「な、なんだお前は!?」
城を守るラルグの魔族達は圧倒的な力を持つ『魔王』にあっさりと倒されていく。
「私はこの世界の支配者になるものよぉ?」
――超越魔法、『終焉の炎』。
魔王レアの目が紅くなり、爆炎が燃え広がり敵を焦がしていく。
「ぎゃあああっっ!」
また一体レアの前に立ち塞がった魔族は消し炭にされる。城の中にいる兵士は次から次にレアを捕縛しようと襲い掛かっていくが、全て一撃で消されていく。
騒ぎを聞きつけたラルグの魔国王『ベイド』は『漏出』の魔法ですでに自らの戦力値を遥かに上回る幼女の存在に諦観の念を抱く。
ベイドは彼女の魔力や戦力値の正しい数値を算出出来る程の魔力は無いが、使った瞬間に恐ろしい程の頭痛が生じた為に、来襲者がただ者ではないと理解したのであった。
そしてベイドは逃げたくなる気持ちをおさえてこの場所を目指して進むレアを待つ。彼もまた一国の王である以上、配下たちがやられていく様を見て逃げずに果てる覚悟を決めて迎え撃とうとする。
ラルグの城にいる魔族達はすでに数体が消し炭となり、残った兵達は手を出さずレアが堂々と我が物顔で歩いていくところを見ているだけしか出来ない。
「退屈ねぇ……? 貴方たち私をいつでも攻撃してきていいのよぉ?」
そしてそんなラルグ魔国の兵士達をレアは目を細めながら煽る。
だが、悔しそうな表情を浮かべたが、誰もレアに手を出すことはできなかった。
(腰抜けばっかりねぇ。私が支配者になったら徹底的に鍛え抜いてやるしかないわねぇ)
胸中でそんなことを抱きながらレアは、無抵抗の兵士たちがいる城内を上がっていく。そしてついにラルグの魔国王『ベイド』が居る王の間に到達するのだった。
「あなたがこの国の王ねぇ? 名前を伺ってもいいかしらぁ」
玉座に座るベイドの周りには、側近たちが王を守るように立っている。しかしレアはそんな連中を無視して、この国の王『ベイド』に射抜くような視線を向ける。
「私の名はベイドだ。き、君は一体何を狙ってここにきたのだ?」
レアはニヤリと笑うとベイドが、予想もしなかった言葉を口にする。
「別にここに特別な用があって来たわけじゃないわよぉ? この世界を手中に収める為に必要な拠点と、自由に動かせる駒が欲しかっただけよぉ」
その言葉に王はおろかその場にいた全員が凍り付いた。驚いた様子を見せる魔族達に満足したのか、レアは声をあげて笑い始めた。
「この世界を手中に収める為……」
ベイドはあまりに馬鹿げた話を聞いて沈黙させられたが、何とかそう口にする事ができた。
「貴方も魔族なら野望の一つは持ってるでしょぉ? 私に協力するつもりはないかしら?」
突然現れた小さな魔族は、ベイドの心の奥底に眠らせていた野望を刺激する。
――しかし。
「それは確かに魔族であれば、誰もが一度は考える事だがね」
ベイドは世を知った大人が見せる特有の諦観を醸し出す。
確かにこの世界が魔族や人間だけが生きる世界であれば、レアの言う通り世界統一の夢を持つことはできるだろう。しかしこの世界は魔族より強き種族達が多く存在する『世界』であった。
『人間族』や『精霊族』であればヴェルマーの魔族達が、力を合わせれば問題はないだろう。
だが、力が魔族より遥かに強く『魔法』も通りづらい程の恵まれた肉体を持つ『魔人』や、神々に近い種族であり、この『リラリオ』の世界を束ねている最強種である『龍族』には『魔族』では、どう足掻いても勝てるわけがなかった。
今のこの偽りの平和が保っていられるのは『龍族』が、世界の調停の役割を担っているからに他ならない。
同種族達の争いには手を出さないが、万が一魔族達が結集して他の種族に戦争を仕掛けるような真似をすれば『龍族』が動き出して反乱を起こした者達を一掃する動きを見せるだろう。
この世界の調停者である『龍族』が居る限り、世界の統一を魔族が果たす事は無いであろう。
「私に協力するつもりはないのねぇ? わざわざ足を運んであげたと言うのにぃ」
レアはやれやれと手を挙げて溜息を吐く。
そして同時にレアは『淡く青い』オーラを纏い始める。
瞬間、ベイドは驚愕に目を丸くする。
「!?」
仮にも『最上位魔族』であるベイドは、目の前でレアが更に戦力値が増したのを見逃す筈がなかった。
――魔王。
この世界ではまだ魔族から魔王に昇華したという話は聞いた事がない。しかし目の前の目が『金色』に光り『青いオーラ』を纏っている幼女はベイドとは比べ物にならない力を見せつけてくる。
「この国の王『ペイド』。最後の通告よぉ?」
ベイドと同じく『最上位』に位置する魔族の側近達が、次々とレアの圧力に気を失っていく。
「よく考えて答えなさい。私に協力しないならば、今日を以てこの国は消えてなくなると思え」
レアはベイドに返事をさせる為に、わざと圧力が向かないようにコントロールしているようだった。
「わ、私に……。私達に何をせよと?」
何とか絞り出すように声を出して尋ねるベイドに、レアはニヤリと笑いながら答える。
「私の忠実な配下となり、共にこの世界を統一をする為の手足となって利用されなさい」
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