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リラリオの魔王編
291.レアの壮絶な過去
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――ソフィの屋敷の中。
キーリの後をゆっくりとついていくレアを気にしたキーリは、振り返らずに前を向いたままで口を開いた。
「お前、よっぽど辛い事があったんだろ? ここにはソフィ様は居ないから俺くらいには話をしてみろよ」
どうやら本当に謝罪の為にここに来たのだという事を理解したキーリがそう口にする。
「そうねぇ。私は本当にバカだったわぁ……」
部屋へと向かう廊下で足を止めて、代わりにレアは口を開く。
「私はねぇ? 小さい頃に親に捨てられて、一人で生きてきた孤児だったのよぉ……」
キーリはその場で振り返り、腕を組みながら続きを待つ。
「そんな私を拾ってくれたのが、私の世界の魔王だったフルーフ様だったのねぇ」
しみじみと昔を思い出しながら、少しずつレアは過去を語り始める。
「フルーフ様にとってはただの気紛れで手を伸ばしてくれたのかもしれないけど、私にとっては生涯を左右する起点ともいえる出来事だったから、一生懸命恩を返そうとフルーフ様に尽くしたわぁ」
元々魔族であるレアは、人間より強くて当然だったが、フルーフという恩人の為にと努力をすることで戦闘の才能を開花させていった。
そしてフルーフはそんなレアのズバ抜けた魔力の成長に喜び、彼女をこれまでより一層可愛がるようになった。
レアが望むのならば欲しい物は何でも与えようとフルーフは、稀有なマジックアイテムなども贈りレアを甘やかす。
しかしレアはフルーフから贈られたものは喜んで受け取ったが、自分からはあまりねだるようなことはしなかった。
誰にも優しくしてもらえなかったレアを拾ってくれたあの瞬間に、一番欲しい物は既に手に入れていたからだ。
フルーフは少し寂しい気持ちを抱いていたが、自分の為に何でも言うことを聞くレアに、誰にも伝えた事のないとある野望を語る。
――レアよ、知っているか? 世界は一つではなく、我々が住む世界とは別の世界があるのだ。
すでに『レパート』という一つの世界を手中に収めたフルーフは、別の世界をも手に入れたいとレアに言って聞かせた。
レアは別の世界になど興味はなかったが、フルーフ様が興味があるのならば何でも手伝おうと思っていた。
そして野望を語って聞かせてくれた日から、フルーフは『概念跳躍』の魔法の研究を始めた。
この頃には『魔王』の領域にいるユファや、レインドリヒが魔王軍に加わっており、古の大魔王フルーフの魔王軍は雷鳴の如く、レパートの世界中にその存在感を示していた。
レアもまたそんなフルーフの為に力をつけていき魔力値を高めていく。元々魔力適正が合ったレアは、フルーフから色々と『魔』について叩き込まれた。
大魔王フルーフは戦力値も魔力値も当時のレパートの世界では桁外れに高かったが、それでも自らが戦うよりは、新魔法の開発や現存の魔法の改造といった研究者のほうが向いていたといえる。
それはアレルバレルの世界へ行った後、ヌーや大賢者といった力ある者が目をつける程なのだから、決して間違いはないだろう。
そんな大魔王フルーフが丹精込めて大事な娘、レアに小さい頃からずっと『魔』を教え続けてきたのだから、レアが強くならないわけがなかった。
そしてフルーフが『概念跳躍』の魔法を七割方完成させた頃、レアは既に最上位魔族にして『紅』の練度は1.2に達しており、すでに青のオーラの会得を行う為の『理』を覚え始めていた。
『紅い目』や『金色の目』。それに『淡く紅いオーラ』に『淡く青いオーラ』。
『終焉の炎』『終焉の雷』『終焉の呪』『万物の爆発』。
『炎帝の爆炎』『絶対防御』『次元防壁』。
どれもこれも幼少の頃からフルーフに教わり続けた魔法や技法であり、レアは少しずつ少しずつではあるが全てをその身に覚えていった。
レアに『魔』の適正があり、成長速度と学ぶ為に必要な素質と熱心な努力。
これらを兼ね揃えていると判断したフルーフは、レアに神域の中でもさらに神域と呼べるほどの新魔法『概念跳躍』を教えることを決意する。
そしてフルーフが『概念跳躍』の魔法をほぼ完成させた頃、レアは『最上位魔族』から『魔王』へとその身を昇華させた――。
だが単なる『魔王』や『真なる魔王』ではなく『魔王』の領域にしてすでに『青』の練度は2を超えていた。
レアの『魔』の知識は多くの『大魔王』より上となっていた。
――それもその筈、大魔王『フルーフ』によって何百年もかけて鍛え抜かれたのだ。
『理』は元より魔力値は『最上位魔族』の時点で基本となる『魔力』は2000万を越えており、ここに『青』を発動させれば優に4000万を越える。
戦闘ともなれば経験差がある『災厄の大魔法使い』には一歩劣るだろうが、それでも年齢を顧みれば、類を見ない程の十分な素質である。
フルーフは十分だとレアの成長を信頼して、ほぼ完成していた『概念跳躍』の魔法をレアに教え始める。
『理』を簡単に理解することは難しいが、レアは死に物狂いでこれを覚えることを決意する。
誰よりも信頼し誰よりも愛しているフルーフ様が、期待して新魔法を自分に教えてくれているのだ。この期待に応えられないようでどうすると、レアは狂気に取りつかれたように『理』を学ぶ。
この時『魔』を探求するユファが『概念跳躍』の魔法の存在を知り、レアが学んでいるところを盗み聞きしていたようだが、ユファが扱えるようになるのはレアが使えるようになってから遥か後だった。
そしてレアが『概念跳躍』の魔法を会得した後、フルーフに命令されて『リラリオ』という世界へ跳躍した。
その時にフルーフから伝えられた言葉が『跳んだ世界を支配して来なさい』という言葉であった。
世界の支配など興味が無かったが、フルーフ様がそう仰るのならばとレアは奮起するのだった。
キーリの後をゆっくりとついていくレアを気にしたキーリは、振り返らずに前を向いたままで口を開いた。
「お前、よっぽど辛い事があったんだろ? ここにはソフィ様は居ないから俺くらいには話をしてみろよ」
どうやら本当に謝罪の為にここに来たのだという事を理解したキーリがそう口にする。
「そうねぇ。私は本当にバカだったわぁ……」
部屋へと向かう廊下で足を止めて、代わりにレアは口を開く。
「私はねぇ? 小さい頃に親に捨てられて、一人で生きてきた孤児だったのよぉ……」
キーリはその場で振り返り、腕を組みながら続きを待つ。
「そんな私を拾ってくれたのが、私の世界の魔王だったフルーフ様だったのねぇ」
しみじみと昔を思い出しながら、少しずつレアは過去を語り始める。
「フルーフ様にとってはただの気紛れで手を伸ばしてくれたのかもしれないけど、私にとっては生涯を左右する起点ともいえる出来事だったから、一生懸命恩を返そうとフルーフ様に尽くしたわぁ」
元々魔族であるレアは、人間より強くて当然だったが、フルーフという恩人の為にと努力をすることで戦闘の才能を開花させていった。
そしてフルーフはそんなレアのズバ抜けた魔力の成長に喜び、彼女をこれまでより一層可愛がるようになった。
レアが望むのならば欲しい物は何でも与えようとフルーフは、稀有なマジックアイテムなども贈りレアを甘やかす。
しかしレアはフルーフから贈られたものは喜んで受け取ったが、自分からはあまりねだるようなことはしなかった。
誰にも優しくしてもらえなかったレアを拾ってくれたあの瞬間に、一番欲しい物は既に手に入れていたからだ。
フルーフは少し寂しい気持ちを抱いていたが、自分の為に何でも言うことを聞くレアに、誰にも伝えた事のないとある野望を語る。
――レアよ、知っているか? 世界は一つではなく、我々が住む世界とは別の世界があるのだ。
すでに『レパート』という一つの世界を手中に収めたフルーフは、別の世界をも手に入れたいとレアに言って聞かせた。
レアは別の世界になど興味はなかったが、フルーフ様が興味があるのならば何でも手伝おうと思っていた。
そして野望を語って聞かせてくれた日から、フルーフは『概念跳躍』の魔法の研究を始めた。
この頃には『魔王』の領域にいるユファや、レインドリヒが魔王軍に加わっており、古の大魔王フルーフの魔王軍は雷鳴の如く、レパートの世界中にその存在感を示していた。
レアもまたそんなフルーフの為に力をつけていき魔力値を高めていく。元々魔力適正が合ったレアは、フルーフから色々と『魔』について叩き込まれた。
大魔王フルーフは戦力値も魔力値も当時のレパートの世界では桁外れに高かったが、それでも自らが戦うよりは、新魔法の開発や現存の魔法の改造といった研究者のほうが向いていたといえる。
それはアレルバレルの世界へ行った後、ヌーや大賢者といった力ある者が目をつける程なのだから、決して間違いはないだろう。
そんな大魔王フルーフが丹精込めて大事な娘、レアに小さい頃からずっと『魔』を教え続けてきたのだから、レアが強くならないわけがなかった。
そしてフルーフが『概念跳躍』の魔法を七割方完成させた頃、レアは既に最上位魔族にして『紅』の練度は1.2に達しており、すでに青のオーラの会得を行う為の『理』を覚え始めていた。
『紅い目』や『金色の目』。それに『淡く紅いオーラ』に『淡く青いオーラ』。
『終焉の炎』『終焉の雷』『終焉の呪』『万物の爆発』。
『炎帝の爆炎』『絶対防御』『次元防壁』。
どれもこれも幼少の頃からフルーフに教わり続けた魔法や技法であり、レアは少しずつ少しずつではあるが全てをその身に覚えていった。
レアに『魔』の適正があり、成長速度と学ぶ為に必要な素質と熱心な努力。
これらを兼ね揃えていると判断したフルーフは、レアに神域の中でもさらに神域と呼べるほどの新魔法『概念跳躍』を教えることを決意する。
そしてフルーフが『概念跳躍』の魔法をほぼ完成させた頃、レアは『最上位魔族』から『魔王』へとその身を昇華させた――。
だが単なる『魔王』や『真なる魔王』ではなく『魔王』の領域にしてすでに『青』の練度は2を超えていた。
レアの『魔』の知識は多くの『大魔王』より上となっていた。
――それもその筈、大魔王『フルーフ』によって何百年もかけて鍛え抜かれたのだ。
『理』は元より魔力値は『最上位魔族』の時点で基本となる『魔力』は2000万を越えており、ここに『青』を発動させれば優に4000万を越える。
戦闘ともなれば経験差がある『災厄の大魔法使い』には一歩劣るだろうが、それでも年齢を顧みれば、類を見ない程の十分な素質である。
フルーフは十分だとレアの成長を信頼して、ほぼ完成していた『概念跳躍』の魔法をレアに教え始める。
『理』を簡単に理解することは難しいが、レアは死に物狂いでこれを覚えることを決意する。
誰よりも信頼し誰よりも愛しているフルーフ様が、期待して新魔法を自分に教えてくれているのだ。この期待に応えられないようでどうすると、レアは狂気に取りつかれたように『理』を学ぶ。
この時『魔』を探求するユファが『概念跳躍』の魔法の存在を知り、レアが学んでいるところを盗み聞きしていたようだが、ユファが扱えるようになるのはレアが使えるようになってから遥か後だった。
そしてレアが『概念跳躍』の魔法を会得した後、フルーフに命令されて『リラリオ』という世界へ跳躍した。
その時にフルーフから伝えられた言葉が『跳んだ世界を支配して来なさい』という言葉であった。
世界の支配など興味が無かったが、フルーフ様がそう仰るのならばとレアは奮起するのだった。
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