287 / 1,906
世界間戦争編
280.九大魔王ブラストの異世界転移
しおりを挟む
イリーガルの魔力のせいで発動した根源の玉の効力により、遠く離れた世界『リラリオ』の世界にとばされた大魔王『ブラスト』は、ヴェルマー大陸にあるラルグ周辺の森に転移させられていた。
「む……。ここはどこだ?」
ブラストは見た事の無い景色に辺りを見回し呆然と立ち尽くす。
「ディアトロス殿にイリーガル……? いないのか?」
先程まで同じ場所にいた筈の魔王達の姿が見えず、ブラストは自分の身に何かが起きたとようやく理解した。
「まずいな。イリーガルの魔力に反応したあのマジックアイテムが原因か?」
そう言うとブラストは『ダイス城』から持ってきた玉を探す。しかし掠めてきた筈の例のマジックアイテムは一つもなかった。
「どうやらあのアイテムが原因で間違いないらしいな」
そこで自動で展開していた『魔力感知』で、近くに居る大きな魔力を感じ取るブラストだった。
「戦力値が百億を越えている者が近くに居るな。面白い」
そういうと九大魔王『ブラスト』は、その者が居る場所へと転移するのだった。
……
……
……
「……」
ヌーに精神消失の魔法を使われたソフィは、精神が戻らずに上空に浮いたままであった。
そこにヴァルテンが連れていた部隊の魔族達が近づいていた。彼らは始祖龍キーリや、その配下の龍族達からここまで逃げてきた者達だった。
「流石のヴァルテン様でも、あの化け龍たちには勝てないだろう。俺達はほとぼりが冷めるまで、この世界のどこかの国で隠れていよう」
「そうだな。出来るだけここから離れた国がいい」
数体の魔族がそんな話をしていた頃、目の前に意識を失ったソフィが空に浮いていた。
「お、オイ待て! 前方に誰かがいるぞ……?」
「あれはターゲットの『ソフィ』とかいう大魔王じゃないか?」
「ああ。だが意識があるようには見えないが……」
数体の『真なる魔王』階級の魔族達がソフィの近くまで近づいた。
「本当に意識がないな……」
「眠らされているのか? それとも激しい戦闘の後で、意識を失っているんじゃないか?」
「レア様の姿が見えないのも気になるな」
そこでこの中で一際高い戦力値を持つ魔王が口を開いた。
「レア様と戦って相討ちになったとは考えられぬか?」
その言葉に他の魔王達もはっとした顔を浮かべる。
「確かにそうかもしれないな……。相討ちの末にここで意識を失ったという事が十分にあり得る」
見当違いな考察だが、口々に皆がそういうのであれば、確かにそんな気もしてくるのだった。
「これは好機じゃないか? 俺達が大魔王ソフィを仕留めたと『ヴァルテン』様に伝えれば、もしかしたら俺達を幹部にしてもらえるかもしれないぞ」
その言葉と場の雰囲気に流されてしまい、その場にいる魔王達はだんだんとその気にしていくのであった。
「……よし! 俺達の手柄にしちまうか?」
その場にいる者達の中で一番発言力がある魔王がそう言うと、他の者達もコクリと頷くのだった。
…………
『真なる魔王』階級の魔族達は、次々と青のオーラを纏い始める。
彼らとて練度は低いが『青』を纏える程の強さであり、自分達が選ばれし魔族だという自負がある。
次々と魔王達の戦力値が上昇していき、あっさりと1億を越えていく。
――しかし一見無防備に見えるが、この状態のソフィには決して触れてはいけなかった。
単に意識がないだけで戦闘能力そのものは変わらず、むしろ普段よりも意識がない分、ソフィに話は通じない。
先程まで戦っていた『ヌー』が『金色のオーラ』に、到達しているほどの強者だからこそ、戦いになっていたのだ。
今でもソフィの中に眠る『大魔王』がいつでも出て来れるような状態なのだ。本能というべきソフィの深淵に眠る意識。常に自分を越える者との闘争を望んでいるこのソフィの本能に対して、敵意を向けることがどういう事になるのか――。
――それは彼らが身を以て体験する事となるのであった。
「よし! 全員で魔力を合わせて『天空の雷』を使うぞ」
「了解」
「おう!」
一体では使えない神域魔法でも、互いの魔力を合わせれば彼らでも神域魔法を扱える。
そして口々に神域魔法『天空の雷』を放つ詠唱を開始するのだった。
次の瞬間――。
意識を失いふらふらと浮いていたソフィは、敵意を感知する。
『大魔王』ソフィの目が『金色』に変わり、次にそのソフィの周りを『金色』のオーラが纏わり始めていく。
――死ね。
瞬間――。
『青』のオーラを纏って神域魔法を放とうとしていた数体の魔王は、何の前触れもなく全員が、一斉に体が膨れ上がったかと思うと、風船が割れるように同時に体が爆発するのだった。
爆音が鳴り響いたかと思うと、その場にいた戦力値が1億を越える『真なる魔王』階級の者達が、一斉に絶命するのだった。
ソフィは自分の周囲で感知した敵意に対して、その敵意を放った全ての存在を完全に排除すると同時に、静かになった『ヴェルマー』大陸上空で再びソフィは眠りにつくのだった。
……
……
……
「む……。ここはどこだ?」
ブラストは見た事の無い景色に辺りを見回し呆然と立ち尽くす。
「ディアトロス殿にイリーガル……? いないのか?」
先程まで同じ場所にいた筈の魔王達の姿が見えず、ブラストは自分の身に何かが起きたとようやく理解した。
「まずいな。イリーガルの魔力に反応したあのマジックアイテムが原因か?」
そう言うとブラストは『ダイス城』から持ってきた玉を探す。しかし掠めてきた筈の例のマジックアイテムは一つもなかった。
「どうやらあのアイテムが原因で間違いないらしいな」
そこで自動で展開していた『魔力感知』で、近くに居る大きな魔力を感じ取るブラストだった。
「戦力値が百億を越えている者が近くに居るな。面白い」
そういうと九大魔王『ブラスト』は、その者が居る場所へと転移するのだった。
……
……
……
「……」
ヌーに精神消失の魔法を使われたソフィは、精神が戻らずに上空に浮いたままであった。
そこにヴァルテンが連れていた部隊の魔族達が近づいていた。彼らは始祖龍キーリや、その配下の龍族達からここまで逃げてきた者達だった。
「流石のヴァルテン様でも、あの化け龍たちには勝てないだろう。俺達はほとぼりが冷めるまで、この世界のどこかの国で隠れていよう」
「そうだな。出来るだけここから離れた国がいい」
数体の魔族がそんな話をしていた頃、目の前に意識を失ったソフィが空に浮いていた。
「お、オイ待て! 前方に誰かがいるぞ……?」
「あれはターゲットの『ソフィ』とかいう大魔王じゃないか?」
「ああ。だが意識があるようには見えないが……」
数体の『真なる魔王』階級の魔族達がソフィの近くまで近づいた。
「本当に意識がないな……」
「眠らされているのか? それとも激しい戦闘の後で、意識を失っているんじゃないか?」
「レア様の姿が見えないのも気になるな」
そこでこの中で一際高い戦力値を持つ魔王が口を開いた。
「レア様と戦って相討ちになったとは考えられぬか?」
その言葉に他の魔王達もはっとした顔を浮かべる。
「確かにそうかもしれないな……。相討ちの末にここで意識を失ったという事が十分にあり得る」
見当違いな考察だが、口々に皆がそういうのであれば、確かにそんな気もしてくるのだった。
「これは好機じゃないか? 俺達が大魔王ソフィを仕留めたと『ヴァルテン』様に伝えれば、もしかしたら俺達を幹部にしてもらえるかもしれないぞ」
その言葉と場の雰囲気に流されてしまい、その場にいる魔王達はだんだんとその気にしていくのであった。
「……よし! 俺達の手柄にしちまうか?」
その場にいる者達の中で一番発言力がある魔王がそう言うと、他の者達もコクリと頷くのだった。
…………
『真なる魔王』階級の魔族達は、次々と青のオーラを纏い始める。
彼らとて練度は低いが『青』を纏える程の強さであり、自分達が選ばれし魔族だという自負がある。
次々と魔王達の戦力値が上昇していき、あっさりと1億を越えていく。
――しかし一見無防備に見えるが、この状態のソフィには決して触れてはいけなかった。
単に意識がないだけで戦闘能力そのものは変わらず、むしろ普段よりも意識がない分、ソフィに話は通じない。
先程まで戦っていた『ヌー』が『金色のオーラ』に、到達しているほどの強者だからこそ、戦いになっていたのだ。
今でもソフィの中に眠る『大魔王』がいつでも出て来れるような状態なのだ。本能というべきソフィの深淵に眠る意識。常に自分を越える者との闘争を望んでいるこのソフィの本能に対して、敵意を向けることがどういう事になるのか――。
――それは彼らが身を以て体験する事となるのであった。
「よし! 全員で魔力を合わせて『天空の雷』を使うぞ」
「了解」
「おう!」
一体では使えない神域魔法でも、互いの魔力を合わせれば彼らでも神域魔法を扱える。
そして口々に神域魔法『天空の雷』を放つ詠唱を開始するのだった。
次の瞬間――。
意識を失いふらふらと浮いていたソフィは、敵意を感知する。
『大魔王』ソフィの目が『金色』に変わり、次にそのソフィの周りを『金色』のオーラが纏わり始めていく。
――死ね。
瞬間――。
『青』のオーラを纏って神域魔法を放とうとしていた数体の魔王は、何の前触れもなく全員が、一斉に体が膨れ上がったかと思うと、風船が割れるように同時に体が爆発するのだった。
爆音が鳴り響いたかと思うと、その場にいた戦力値が1億を越える『真なる魔王』階級の者達が、一斉に絶命するのだった。
ソフィは自分の周囲で感知した敵意に対して、その敵意を放った全ての存在を完全に排除すると同時に、静かになった『ヴェルマー』大陸上空で再びソフィは眠りにつくのだった。
……
……
……
0
お気に入りに追加
421
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
おっさんの神器はハズレではない
兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる