265 / 1,966
世界間戦争編
258.動き始めた魔術師
しおりを挟む
魔術師レインドリヒの部隊は『レパート』の世界特有の魔法を扱う者達が多く、まさにこの世界の魔導士から見れば『魔術師』と呼べる部隊達であろう。
魔法を創り出す天才フルーフの影響を色濃く継いだ魔法使い達は、レアの訓練の甲斐もあって驚異的な程の強さを持つ。
元々レインドリヒの部隊はこの世界の魔族達と変わらない程の強さだったが、レアがフルーフの居なくなった魔王軍の主となってから、一気に改革が行われたといっても過言ではない。
この世界で引き合いを出す者がいるとすれば『ユファ』だろうか。レイズ魔国を魔法大国に一気に押し上げた『ユファ』の上位互換と呼べるものが『魔王』レアなのであった。
皮肉にもヴェルトマーとして三千年『レイズ』魔国を鍛え上げたユファと、ほぼ同じ年月を費やされて力をつけた『レパート』の世界の魔族達であるが『代替身体』の身体のユファと生粋の魔王の身体のレアでは、教える側に差が生まれるのも仕方がなかった。
『魔王』レア専属の部隊だけではなく、この世界に転移してきたレパートの魔族達は、ヴェルマー大陸の『シーマ』前ラルグ魔国王が率いていたリラリオの魔族達とは、比べ物にならない強さである。
そもそもこのリラリオの世界は魔族よりも龍族の方が遥かに強く、魔族は過去の『魔王』レアによって種族の地位向上をはかれたのだから『レパート』の世界より魔族としての差は仕方のない事ではあった。
魔術師レインドリヒは部隊を率いてレイズ魔国へ向かっている最中だが、この先の『レイズ』魔国で彼は一つの賭けをしようと考えていた。
レインドリヒはレアを何とかして助けたいと考えているが、ヴァルテンが居る限りはそれも難しいだろう。
更に言えば『呪縛の血』の所為で、言葉で伝える事も遮られている。
彼の本心では組織の事情を全てレアに話して本当の敵がだれであるかを伝えて戦争を止めたいと思っている。その先に待ち受けているのがたとえ、彼の死であったとしても。
その為には今から向かっているレイズ魔国に攻める箇所を割り当てられた事が、不幸中の幸いなのであった。
何故ならレイズ魔国には、同じ世界出身の馴染みの魔王が居る為である。
そのユファは『災厄の大魔法使い』として、レパートの世界では恐れられていた魔王であり、魔術師レインドリヒとは、何度も殺し合いをした仲でもある。
互いにどちらが上かを何度も競い合った敵ではあるが、怨恨などはなく『敵』として信頼している。
レインドリヒの賭けが上手くいくかどうかは、ユファに掛かっているという事であった。
どうやってユファとコンタクトを取ろうかと考えながらレインドリヒは、部隊を引き連れて『リラリオ』の空を飛んでいく。
その速度は龍族程には速くはないが、かなりの速度で飛んでいる為に『ヴェルマー』大陸まではもう目と鼻の先であった。
「さてお前達! 『隠幕』を使え! 『レイズ』魔国の国境辺りまで姿を隠す事が出来ればそれでいい」
レインドリヒがそう告げると配下達は、頷きながら言われた魔法を行使していく。
『隠幕』とは、ここ数百年の間に『魔王』レアによって伝えられた魔法で、元々は彼女の親代わりである大魔王『フルーフ』が編み出した魔法であった。
その魔法の効力とは、自分の本来の魔力や戦力値を完全に隠して姿や気配を消す魔法である。
この魔法が一度発動されてしまえば敵側が『魔力感知』や『漏出』といった魔法で、こちらを探ってきたとしても、術者が膨大な魔力を使用したりして余りに不自然な魔力の奔流を相手に悟られない限りは、その存在の位置がバレる事はない。
戦力値や魔力コントロールが出来ない魔族であっても使える魔法である為に、現在のレパートの世界では最初に覚える事を推奨される程の重要視される『魔法』となっていた。
もちろん大魔王の領域にいる者達には、長い時間誤魔化せはしないだろうが、ここからレイズ魔国までの距離の間であれば、十分に役立つ魔法である為に『レインドリヒ』は配下達に使用を促したのである。
レインドリヒの部隊は約百体の魔族。その全ての魔族の魔力と戦力値は『偽りの幕』に包まれて姿をも隠し通すのであった。
魔法を創り出す天才フルーフの影響を色濃く継いだ魔法使い達は、レアの訓練の甲斐もあって驚異的な程の強さを持つ。
元々レインドリヒの部隊はこの世界の魔族達と変わらない程の強さだったが、レアがフルーフの居なくなった魔王軍の主となってから、一気に改革が行われたといっても過言ではない。
この世界で引き合いを出す者がいるとすれば『ユファ』だろうか。レイズ魔国を魔法大国に一気に押し上げた『ユファ』の上位互換と呼べるものが『魔王』レアなのであった。
皮肉にもヴェルトマーとして三千年『レイズ』魔国を鍛え上げたユファと、ほぼ同じ年月を費やされて力をつけた『レパート』の世界の魔族達であるが『代替身体』の身体のユファと生粋の魔王の身体のレアでは、教える側に差が生まれるのも仕方がなかった。
『魔王』レア専属の部隊だけではなく、この世界に転移してきたレパートの魔族達は、ヴェルマー大陸の『シーマ』前ラルグ魔国王が率いていたリラリオの魔族達とは、比べ物にならない強さである。
そもそもこのリラリオの世界は魔族よりも龍族の方が遥かに強く、魔族は過去の『魔王』レアによって種族の地位向上をはかれたのだから『レパート』の世界より魔族としての差は仕方のない事ではあった。
魔術師レインドリヒは部隊を率いてレイズ魔国へ向かっている最中だが、この先の『レイズ』魔国で彼は一つの賭けをしようと考えていた。
レインドリヒはレアを何とかして助けたいと考えているが、ヴァルテンが居る限りはそれも難しいだろう。
更に言えば『呪縛の血』の所為で、言葉で伝える事も遮られている。
彼の本心では組織の事情を全てレアに話して本当の敵がだれであるかを伝えて戦争を止めたいと思っている。その先に待ち受けているのがたとえ、彼の死であったとしても。
その為には今から向かっているレイズ魔国に攻める箇所を割り当てられた事が、不幸中の幸いなのであった。
何故ならレイズ魔国には、同じ世界出身の馴染みの魔王が居る為である。
そのユファは『災厄の大魔法使い』として、レパートの世界では恐れられていた魔王であり、魔術師レインドリヒとは、何度も殺し合いをした仲でもある。
互いにどちらが上かを何度も競い合った敵ではあるが、怨恨などはなく『敵』として信頼している。
レインドリヒの賭けが上手くいくかどうかは、ユファに掛かっているという事であった。
どうやってユファとコンタクトを取ろうかと考えながらレインドリヒは、部隊を引き連れて『リラリオ』の空を飛んでいく。
その速度は龍族程には速くはないが、かなりの速度で飛んでいる為に『ヴェルマー』大陸まではもう目と鼻の先であった。
「さてお前達! 『隠幕』を使え! 『レイズ』魔国の国境辺りまで姿を隠す事が出来ればそれでいい」
レインドリヒがそう告げると配下達は、頷きながら言われた魔法を行使していく。
『隠幕』とは、ここ数百年の間に『魔王』レアによって伝えられた魔法で、元々は彼女の親代わりである大魔王『フルーフ』が編み出した魔法であった。
その魔法の効力とは、自分の本来の魔力や戦力値を完全に隠して姿や気配を消す魔法である。
この魔法が一度発動されてしまえば敵側が『魔力感知』や『漏出』といった魔法で、こちらを探ってきたとしても、術者が膨大な魔力を使用したりして余りに不自然な魔力の奔流を相手に悟られない限りは、その存在の位置がバレる事はない。
戦力値や魔力コントロールが出来ない魔族であっても使える魔法である為に、現在のレパートの世界では最初に覚える事を推奨される程の重要視される『魔法』となっていた。
もちろん大魔王の領域にいる者達には、長い時間誤魔化せはしないだろうが、ここからレイズ魔国までの距離の間であれば、十分に役立つ魔法である為に『レインドリヒ』は配下達に使用を促したのである。
レインドリヒの部隊は約百体の魔族。その全ての魔族の魔力と戦力値は『偽りの幕』に包まれて姿をも隠し通すのであった。
0
お気に入りに追加
437
あなたにおすすめの小説
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています
少年神官系勇者―異世界から帰還する―
mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる?
別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨
この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行)
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。
この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。
この作品は「pixiv」にも掲載しています。

【完結】追放された実は最強道士だった俺、異国の元勇者の美剣女と出会ったことで、皇帝すらも認めるほどまで成り上がる
岡崎 剛柔
ファンタジー
【あらすじ】
「龍信、貴様は今日限りで解雇だ。この屋敷から出ていけ」
孫龍信(そん・りゅうしん)にそう告げたのは、先代当主の弟の孫笑山(そん・しょうざん)だった。
数年前に先代当主とその息子を盗賊団たちの魔の手から救った龍信は、自分の名前と道士であること以外の記憶を無くしていたにもかかわらず、大富豪の孫家の屋敷に食客として迎え入れられていた。
それは人柄だけでなく、常人をはるかに超える武術の腕前ゆえにであった。
ところが先代当主とその息子が事故で亡くなったことにより、龍信はこの屋敷に置いておく理由は無いと新たに当主となった笑山に追放されてしまう。
その後、野良道士となった龍信は異国からきた金毛剣女ことアリシアと出会うことで人生が一変する。
とある目的のためにこの華秦国へとやってきたアリシア。
そんなアリシアの道士としての試験に付き添ったりすることで、龍信はアリシアの正体やこの国に来た理由を知って感銘を受け、その目的を達成させるために龍信はアリシアと一緒に旅をすることを決意する。
またアリシアと出会ったことで龍信も自分の記憶を取り戻し、自分の長剣が普通の剣ではないことと、自分自身もまた普通の人間ではないことを思い出す。
そして龍信とアリシアは旅先で薬士の春花も仲間に加え、様々な人間に感謝されるような行動をする反面、悪意ある人間からの妨害なども受けるが、それらの人物はすべて相応の報いを受けることとなる。
笑山もまた同じだった。
それどころか自分の欲望のために龍信を屋敷から追放した笑山は、落ちぶれるどころか人間として最悪の末路を辿ることとなる。
一方の龍信はアリシアのこの国に来た目的に心から協力することで、巡り巡って皇帝にすらも認められるほど成り上がっていく。

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~
みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】
事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。
神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。
作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。
「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。
※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです
わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。
対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。
剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。
よろしくお願いします!
(7/15追記
一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!
(9/9追記
三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン
(11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。
追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる