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始祖龍キーリ編
226.大陸同盟
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レアがソフィ達の前から消えた数時間後、キーリ達龍族の大陸『ターティス』大陸は確かに三千年前の元の状態に戻されていた。
そしてもう戦闘の意思が完全になくなったキーリは、ソフィに言われるがまま『ユファ』達の元へ案内するのだった。
「こっちだ。この先にあいつらを閉じ込めている」
ターティス大陸の中央にある宮殿の一室に案内されたソフィは、黙ってキーリの後についていく。
そして長い廊下の先にある『結界』が施された部屋の中をソフィが注意深く探ると、確かにユファ達の魔力を感じられたのだった。
ユファ達の部屋のドアを開けると、ベッドの上で寝かされていたユファとシスの姿があった。
どうやら無事だったようでソフィはほっと胸を撫でおろす。そしてソフィはユファ達に近づいて声を掛ける。
「ユファよ。これ、起きぬか」
ソフィがそう言ってユファの肩を揺らし始める。
「うっん……、んぅっ?」
焦点が徐々にあっていきソフィの姿を捉えると『あ、ソフィ様』だとばかりに嬉しそうに笑みを浮かべたユファだったが、そのコンマ数秒後に意識がしっかりし始めたようで、へにゃりと笑っていた表情をピシっと戻し始めると、慌てて態勢を起こすユファであった。
「そ、ソフィ様!?」
そして彼女の主であるソフィの横にキーリが立っていたのを見て、慌ててベッドから降りて構える。
「ユファよ、もう心配は要らぬから落ち着くのだ。そうであろう?」
そう言ってソフィがキーリの顔を見ると、びくりと身体を震わせながらキーリは小さく頷いた。
「あ、ああ……、悪かったなユファとやら。俺はもうお前らと戦うつもりはないから、だからもう勘弁してくれ……」
ユファはキーリの態度の変わり様を訝しむ。
そしてそう言われたところで、襲われた本人であるユファは納得がいかずソフィの顔を見る。
「お主の言いたい事は分かるがこやつも同胞の為に仕方なくヴェルマー大陸を攻めてきたようだ。個人的な喧嘩は構わぬが、まずはこやつと話をしてからにしろ」
ソフィがそう言うと、ユファは渋々とだが頷くのだった。
そしてまだシスは意識を失っているのか、眠ったままなのでユファが起こしていた。
シスが起きた後、四人は宮殿の応接室のような場所へ案内された。
煌びやかな装飾が施された部屋で、椅子や机それに柱に至るまでがクリスタルで出来ていた。
流石はこの世界で最も神に近い種族と呼ばれていた龍族の宮殿である。ソフィの『魔法』によって死にかけていた龍族の側近たちも魔法が解かれると全員が無事であった。
今はキーリに付き従いながらも、チラリチラリとソフィを窺うように覗いていた。
どうやら彼らもソフィに殺されかけた事で、自分達が如何に束になって襲い掛かっても勝てる相手ではないと理解した上で、ソフィが気になっている様子であった。
現在応接室の構図は龍族側が『キーリ』が椅子に座り、その後ろにレキオンとミルフェンを含めた側近たちが並び立っている。
そして『ソフィ』『ユファ』『シス』が、反対側の席に座っているといった構図である。
「さて、それでは今回の件の話をしようか? 龍族の王よ」
ソフィが静かに口を開いてそう言うと、キーリはゆっくりと頷く。
「お主らが『魔王』レアに命令されて、仕方なくレイズ魔国を襲ったとはいっても実行して攻めたのはお主達である事には変わらぬ。その点は決して我は許すつもりはない」
ソフィがそう言うと、龍族達はびくりと身体を震わせる。
ソフィの魔神域魔法『転覆』を直接味わった者達である。この大魔王の恐ろしさは彼らにも十二分に伝わっている。
「わ、分かっている。お前に刃向かったところで勝ち目はないという事もな。だが、頼む! 約束してくれ!」
そう言うとキーリは立ち上がって後ろに並んでいる側近たちに視線を送る。
「俺がこいつらに襲わせたんだ、全責任は俺にある。今すぐに自害しろというのならば言う通りにする! だからこいつらだけは、許してやってくれ!」
そう言ってキーリはソフィに対して深々と頭を下げた。
この『リラリオ』の世界で最強の種族であった龍族。
その始祖であるキーリが、いち魔族に頭を下げている。それは長い歴史の中でも今回が初めての事であった。
キーリの側近達が見るに見兼ねて慌てて口を開こうとするが、その前にソフィが口を開いた。
「良かろう、それでは始祖龍キーリよ。お前の身柄は我が預かる。我がいいと言うまでの間、ここにいるシスとそのシスが治めるレイズ魔国をお前が中心となって支え助けてやれ」
…………
レイズ魔国の女王シスは、驚愕の表情を浮かべながらソフィを見るのだった。
「あ、ああ。分かった、約束しよう。この大陸と同胞たちを助けてくれるなら安い願いだ。責任を持って俺がそこに居る女とその国を支えてやる」
「お主を信用しないわけではないが、一応契約はしてもらうが構わぬな?」
「えっと? ど、どうすればいい?」
「我の言葉に素直に答えなかったり、虚偽発言をした瞬間に、契約によりお前たちは死ぬ」
「あ、ああ……! さっきも言ったがお前に忠誠を尽くす! 嘘じゃない!」
「ではお主はこの時よりシス達の国『レイズ』魔国と同盟を結べ」
「分かった、承諾する」
――呪文、『呪縛の血』。
――こうして契約が結ばれた。
これよりソフィがいいというまでの間、始祖龍キーリを含めた『ターティス大陸』の者達は『ヴェルマー』大陸の中の『レイズ』魔国と同盟関係になった。
そして龍族の王であるキーリは、ソフィの配下となる事を承諾するのだった。
そしてもう戦闘の意思が完全になくなったキーリは、ソフィに言われるがまま『ユファ』達の元へ案内するのだった。
「こっちだ。この先にあいつらを閉じ込めている」
ターティス大陸の中央にある宮殿の一室に案内されたソフィは、黙ってキーリの後についていく。
そして長い廊下の先にある『結界』が施された部屋の中をソフィが注意深く探ると、確かにユファ達の魔力を感じられたのだった。
ユファ達の部屋のドアを開けると、ベッドの上で寝かされていたユファとシスの姿があった。
どうやら無事だったようでソフィはほっと胸を撫でおろす。そしてソフィはユファ達に近づいて声を掛ける。
「ユファよ。これ、起きぬか」
ソフィがそう言ってユファの肩を揺らし始める。
「うっん……、んぅっ?」
焦点が徐々にあっていきソフィの姿を捉えると『あ、ソフィ様』だとばかりに嬉しそうに笑みを浮かべたユファだったが、そのコンマ数秒後に意識がしっかりし始めたようで、へにゃりと笑っていた表情をピシっと戻し始めると、慌てて態勢を起こすユファであった。
「そ、ソフィ様!?」
そして彼女の主であるソフィの横にキーリが立っていたのを見て、慌ててベッドから降りて構える。
「ユファよ、もう心配は要らぬから落ち着くのだ。そうであろう?」
そう言ってソフィがキーリの顔を見ると、びくりと身体を震わせながらキーリは小さく頷いた。
「あ、ああ……、悪かったなユファとやら。俺はもうお前らと戦うつもりはないから、だからもう勘弁してくれ……」
ユファはキーリの態度の変わり様を訝しむ。
そしてそう言われたところで、襲われた本人であるユファは納得がいかずソフィの顔を見る。
「お主の言いたい事は分かるがこやつも同胞の為に仕方なくヴェルマー大陸を攻めてきたようだ。個人的な喧嘩は構わぬが、まずはこやつと話をしてからにしろ」
ソフィがそう言うと、ユファは渋々とだが頷くのだった。
そしてまだシスは意識を失っているのか、眠ったままなのでユファが起こしていた。
シスが起きた後、四人は宮殿の応接室のような場所へ案内された。
煌びやかな装飾が施された部屋で、椅子や机それに柱に至るまでがクリスタルで出来ていた。
流石はこの世界で最も神に近い種族と呼ばれていた龍族の宮殿である。ソフィの『魔法』によって死にかけていた龍族の側近たちも魔法が解かれると全員が無事であった。
今はキーリに付き従いながらも、チラリチラリとソフィを窺うように覗いていた。
どうやら彼らもソフィに殺されかけた事で、自分達が如何に束になって襲い掛かっても勝てる相手ではないと理解した上で、ソフィが気になっている様子であった。
現在応接室の構図は龍族側が『キーリ』が椅子に座り、その後ろにレキオンとミルフェンを含めた側近たちが並び立っている。
そして『ソフィ』『ユファ』『シス』が、反対側の席に座っているといった構図である。
「さて、それでは今回の件の話をしようか? 龍族の王よ」
ソフィが静かに口を開いてそう言うと、キーリはゆっくりと頷く。
「お主らが『魔王』レアに命令されて、仕方なくレイズ魔国を襲ったとはいっても実行して攻めたのはお主達である事には変わらぬ。その点は決して我は許すつもりはない」
ソフィがそう言うと、龍族達はびくりと身体を震わせる。
ソフィの魔神域魔法『転覆』を直接味わった者達である。この大魔王の恐ろしさは彼らにも十二分に伝わっている。
「わ、分かっている。お前に刃向かったところで勝ち目はないという事もな。だが、頼む! 約束してくれ!」
そう言うとキーリは立ち上がって後ろに並んでいる側近たちに視線を送る。
「俺がこいつらに襲わせたんだ、全責任は俺にある。今すぐに自害しろというのならば言う通りにする! だからこいつらだけは、許してやってくれ!」
そう言ってキーリはソフィに対して深々と頭を下げた。
この『リラリオ』の世界で最強の種族であった龍族。
その始祖であるキーリが、いち魔族に頭を下げている。それは長い歴史の中でも今回が初めての事であった。
キーリの側近達が見るに見兼ねて慌てて口を開こうとするが、その前にソフィが口を開いた。
「良かろう、それでは始祖龍キーリよ。お前の身柄は我が預かる。我がいいと言うまでの間、ここにいるシスとそのシスが治めるレイズ魔国をお前が中心となって支え助けてやれ」
…………
レイズ魔国の女王シスは、驚愕の表情を浮かべながらソフィを見るのだった。
「あ、ああ。分かった、約束しよう。この大陸と同胞たちを助けてくれるなら安い願いだ。責任を持って俺がそこに居る女とその国を支えてやる」
「お主を信用しないわけではないが、一応契約はしてもらうが構わぬな?」
「えっと? ど、どうすればいい?」
「我の言葉に素直に答えなかったり、虚偽発言をした瞬間に、契約によりお前たちは死ぬ」
「あ、ああ……! さっきも言ったがお前に忠誠を尽くす! 嘘じゃない!」
「ではお主はこの時よりシス達の国『レイズ』魔国と同盟を結べ」
「分かった、承諾する」
――呪文、『呪縛の血』。
――こうして契約が結ばれた。
これよりソフィがいいというまでの間、始祖龍キーリを含めた『ターティス大陸』の者達は『ヴェルマー』大陸の中の『レイズ』魔国と同盟関係になった。
そして龍族の王であるキーリは、ソフィの配下となる事を承諾するのだった。
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