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始祖龍キーリ編
225.大魔王レアと大魔王ソフィ
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ソフィがキーリの頭を掴み魔力を込めようとした瞬間に『魔王』レアがソフィの前に姿を現した。
「何……?」
『魔王』レアはソフィに手を翳して魔力を放出する。
レアの魔力の圧によって、ソフィはキーリから吹き飛ばされていく。
「お久しぶりねぇ? 紛い物の王の忠告以来かしらぁ?」
レアの出現によって『力の魔神』が、ソフィを守り立つように前に出る。
「お主は確か『魔王』レアか」
「『漏出』」。
【種族:魔族 名前:レア 魔力値:6100万 戦力値:4億2200万】。
現在のソフィは前回にレアが姿を現した時に使った『漏出』とは違い、魔神から預けていた魔力を回収している為に現在のではあるが、レアの隠蔽している分を含めた全てのデータを表示出来た。
(ふむ、大魔王の領域か。ユファと同じくらいに見えるが、オーラも何も纏ってはいない以上はまだまだ上がるだろうな)
『大魔王』と呼ばれる領域に居る魔族は、力のコントロールが容易にできる為に、高精度を誇る『漏出』といっても、大魔王階級以上の能力を測るのであれば、全幅の信頼を寄せる事は危険なのであった。
「それで唐突にお主がこの場に現れたのには、また何か理由があるのだろう?」
キーリはソフィに頭を掴まれてからずっと小刻みに震えながら、虚ろな目で現れたレアを見ていた。
キーリはソフィに頭を掴まれて魔力の矛先を向けられた時、何をされるのかを理解した為に震えているのであった。
もしあのままレアがこの場に介入して来なければ、確実にキーリは壊されていただろう。
そしてキーリが知る情報だけをペラペラ喋る人形のようにされて、最後は物言わぬ骸に代えられて終わりだった。
何の躊躇もなくそんなことが出来るのが、魔族であり魔王なのであろうが、その危険に晒されたキーリはたまったものではない。
『魔王』レアとの契約を交わしたキーリではあったが、ちらりとキーリは同胞達が多く倒れている大陸を眺める。
このままこの化け物と戦闘を続けるとなると、レアとの契約の前に自分達は種族ごと皆殺しにされてしまう。
もうキーリの中では魔王レアよりも、この目の前の少年の方に恐怖を覚えていた。
――どう足掻いても俺に勝ち目はない。
それは誰よりも最強に近い位置にいた『キーリ』だからこそ理解が出来た事であった。
「そうねぇ。ここにいるキーリちゃんが何故貴方達を襲ったのか、その理由を知りたくはないかしらぁ?」
ソフィは黙り込みながらレアの言葉に耳を傾ける。
「知りたいなら教えてあげるけどぉ、その前にこちらも質問があるのよねぇ?」
「何かな?」
「確かに貴方程に強ければ、そう確かに問題はないでしょうねぇ」
そう言った後にレアは笑っていた顔を戻したかと思うと、射貫くように目を細めるながらソフィを睨みつける。
「何故フルーフ様を壊した?」
ぴりぴりと場に緊張感が立ち込める。
これは『魔王』レアが出した威圧であり『大魔王』が戦争を覚悟した時の特有の空気とも呼べる者であった。
「お主はあやつを、フルーフを知っておるのか?」
レアの目が『金色の目』に変わる。
「そういえば貴方は私が『フルーフ』様の配下だって事は知らないものねぇ?」
戦力値を上げようと思っている訳ではないのだろうが、レアはフルーフを思う気持ちでどんどんと魔力が高まっていく。
「私は貴方の世界に行った『大魔王』フルーフ様の配下なのよぉ」
「……」
「貴方がキーリちゃんに、仲間を傷つけられて怒る事と同様に私もフルーフ様を傷つけられて、心底怒っているのよねぇ?」
レアの戦力値はすでにキーリの『龍化』の時の戦力値を上回り始めた。
「確かに我はフルーフと戦ったがあやつの精神がおかしくなったのは、我のせいではないぞ? 何を見てお主がそう感じたのかは知らぬが、勝手に我の所為にされても困るぞ『魔王』レア?」
ソフィがそう言うとレアの眉がぴくりと動き、不愉快そうに顔を歪め始めるのだった。
「この期に及んで誤魔化そうというのか?」
『魔王』レアは完全にいつもの口調でなくなり、この場で即座に戦闘をしても構わないという空気を出し始めた。
「クックック、誤魔化すだと?」
ソフィも弁解するつもりがないのか、更にに煽るように言葉を紡ぐ。
「何故我がお主如きにそのような事をする必要がある? 本当にあやつの配下かどうかは知らぬが、小物が調子に乗るなよ?」
ソフィもまた『二色のオーラ』を纏いながら、戦うなら受けて立つという姿勢を保つ。
そして対する魔王レアも小物と言われた事に腹を立てたのか、眉をぴくぴくと動かしながら何とか怒りを堪える素振りを見せながら口を開いた。
「そこのキーリちゃんが何故、貴方の仲間達を襲ったのか教えてあげるわぁ」
すると唐突に話を戻し始めるレアは、口角を吊り上げたかと思うと次の瞬間、大口を開けて言葉を吐いた。
「私が『魔王』の力を測ってこいとキーリちゃんに命じたのよぉ? 勘違いして、災厄の大魔法使いを襲ったみたいだけどねぇ」
再びレアは小馬鹿にするように、ケタケタと笑いながらそう言った。
しかし言われたソフィは面白くも何もない。
そして彼はキーリよりも目の前の幼女の方に、怒りの矛先が向き始めたのだった。
「確かに実行犯も悪いが命令したのがお主だというのなら、お主も許すわけにはいかぬな」
ソフィがそう言うと『魔王』レアはソフィを睨む。
「もうキーリちゃんは用済みねぇ? 契約通り大陸は戻しておいてあげるわねぇ」
レアがそう言うとキーリは虚ろな目をしながらも、同胞達の大陸が戻るという期待感が募ったのか彼女に意識が少しだけ戻ったようで小さく頷きを見せた。
「あ! それとねぇ、一つだけ伝えておくわね?」
――レアの目が眩く光始める。
「時代は常に進んでいる。いつまでも自分が最強のままだと勘違いするなよ? 『アレルバレル』の大魔王ソフィ」
「ぐっ……!!」
キーリは残された手で頭をおさえながら苦しみ始めるが、更に『魔王』レアが魔力を高め始める。一気に戦力値が跳ね上がった影響は、龍族達の始祖である『キーリ』でさえ耐えられなかった。
「クックック! では、我も一つだけ伝えておくとしよう」
そう言うとソフィの『金色の目』もまた光輝く。
「次に我の仲間に手を出せば、お主を魂ごと消滅させてやろう」
互いの『金色の目』がバチバチと音を立ててぶつかる。両者は視線を外さず、やがて『金色の目』は相殺して消えた。
「フルーフ様に手を出した事を後悔させてやる。お前は確実に殺すから覚えておけ『大魔王』ソフィ」
そう言うと『魔王』レアは最初からこの場に居なかったかの如く、そのまま音もなく消え去った。
「我の『漏出』でも追えぬか。どうやらこの世界から完全に消えたらしいな」
『概念跳躍』は別世界の存在が生み出した魔法である。
この世界やソフィの世界で生まれた魔法ではない故に、その『理』を理解せず使う事はソフィといえども出来ない。
唐突に宣戦布告を受けたソフィは『魔王』レアの存在を強く認識するのだった。
「何……?」
『魔王』レアはソフィに手を翳して魔力を放出する。
レアの魔力の圧によって、ソフィはキーリから吹き飛ばされていく。
「お久しぶりねぇ? 紛い物の王の忠告以来かしらぁ?」
レアの出現によって『力の魔神』が、ソフィを守り立つように前に出る。
「お主は確か『魔王』レアか」
「『漏出』」。
【種族:魔族 名前:レア 魔力値:6100万 戦力値:4億2200万】。
現在のソフィは前回にレアが姿を現した時に使った『漏出』とは違い、魔神から預けていた魔力を回収している為に現在のではあるが、レアの隠蔽している分を含めた全てのデータを表示出来た。
(ふむ、大魔王の領域か。ユファと同じくらいに見えるが、オーラも何も纏ってはいない以上はまだまだ上がるだろうな)
『大魔王』と呼ばれる領域に居る魔族は、力のコントロールが容易にできる為に、高精度を誇る『漏出』といっても、大魔王階級以上の能力を測るのであれば、全幅の信頼を寄せる事は危険なのであった。
「それで唐突にお主がこの場に現れたのには、また何か理由があるのだろう?」
キーリはソフィに頭を掴まれてからずっと小刻みに震えながら、虚ろな目で現れたレアを見ていた。
キーリはソフィに頭を掴まれて魔力の矛先を向けられた時、何をされるのかを理解した為に震えているのであった。
もしあのままレアがこの場に介入して来なければ、確実にキーリは壊されていただろう。
そしてキーリが知る情報だけをペラペラ喋る人形のようにされて、最後は物言わぬ骸に代えられて終わりだった。
何の躊躇もなくそんなことが出来るのが、魔族であり魔王なのであろうが、その危険に晒されたキーリはたまったものではない。
『魔王』レアとの契約を交わしたキーリではあったが、ちらりとキーリは同胞達が多く倒れている大陸を眺める。
このままこの化け物と戦闘を続けるとなると、レアとの契約の前に自分達は種族ごと皆殺しにされてしまう。
もうキーリの中では魔王レアよりも、この目の前の少年の方に恐怖を覚えていた。
――どう足掻いても俺に勝ち目はない。
それは誰よりも最強に近い位置にいた『キーリ』だからこそ理解が出来た事であった。
「そうねぇ。ここにいるキーリちゃんが何故貴方達を襲ったのか、その理由を知りたくはないかしらぁ?」
ソフィは黙り込みながらレアの言葉に耳を傾ける。
「知りたいなら教えてあげるけどぉ、その前にこちらも質問があるのよねぇ?」
「何かな?」
「確かに貴方程に強ければ、そう確かに問題はないでしょうねぇ」
そう言った後にレアは笑っていた顔を戻したかと思うと、射貫くように目を細めるながらソフィを睨みつける。
「何故フルーフ様を壊した?」
ぴりぴりと場に緊張感が立ち込める。
これは『魔王』レアが出した威圧であり『大魔王』が戦争を覚悟した時の特有の空気とも呼べる者であった。
「お主はあやつを、フルーフを知っておるのか?」
レアの目が『金色の目』に変わる。
「そういえば貴方は私が『フルーフ』様の配下だって事は知らないものねぇ?」
戦力値を上げようと思っている訳ではないのだろうが、レアはフルーフを思う気持ちでどんどんと魔力が高まっていく。
「私は貴方の世界に行った『大魔王』フルーフ様の配下なのよぉ」
「……」
「貴方がキーリちゃんに、仲間を傷つけられて怒る事と同様に私もフルーフ様を傷つけられて、心底怒っているのよねぇ?」
レアの戦力値はすでにキーリの『龍化』の時の戦力値を上回り始めた。
「確かに我はフルーフと戦ったがあやつの精神がおかしくなったのは、我のせいではないぞ? 何を見てお主がそう感じたのかは知らぬが、勝手に我の所為にされても困るぞ『魔王』レア?」
ソフィがそう言うとレアの眉がぴくりと動き、不愉快そうに顔を歪め始めるのだった。
「この期に及んで誤魔化そうというのか?」
『魔王』レアは完全にいつもの口調でなくなり、この場で即座に戦闘をしても構わないという空気を出し始めた。
「クックック、誤魔化すだと?」
ソフィも弁解するつもりがないのか、更にに煽るように言葉を紡ぐ。
「何故我がお主如きにそのような事をする必要がある? 本当にあやつの配下かどうかは知らぬが、小物が調子に乗るなよ?」
ソフィもまた『二色のオーラ』を纏いながら、戦うなら受けて立つという姿勢を保つ。
そして対する魔王レアも小物と言われた事に腹を立てたのか、眉をぴくぴくと動かしながら何とか怒りを堪える素振りを見せながら口を開いた。
「そこのキーリちゃんが何故、貴方の仲間達を襲ったのか教えてあげるわぁ」
すると唐突に話を戻し始めるレアは、口角を吊り上げたかと思うと次の瞬間、大口を開けて言葉を吐いた。
「私が『魔王』の力を測ってこいとキーリちゃんに命じたのよぉ? 勘違いして、災厄の大魔法使いを襲ったみたいだけどねぇ」
再びレアは小馬鹿にするように、ケタケタと笑いながらそう言った。
しかし言われたソフィは面白くも何もない。
そして彼はキーリよりも目の前の幼女の方に、怒りの矛先が向き始めたのだった。
「確かに実行犯も悪いが命令したのがお主だというのなら、お主も許すわけにはいかぬな」
ソフィがそう言うと『魔王』レアはソフィを睨む。
「もうキーリちゃんは用済みねぇ? 契約通り大陸は戻しておいてあげるわねぇ」
レアがそう言うとキーリは虚ろな目をしながらも、同胞達の大陸が戻るという期待感が募ったのか彼女に意識が少しだけ戻ったようで小さく頷きを見せた。
「あ! それとねぇ、一つだけ伝えておくわね?」
――レアの目が眩く光始める。
「時代は常に進んでいる。いつまでも自分が最強のままだと勘違いするなよ? 『アレルバレル』の大魔王ソフィ」
「ぐっ……!!」
キーリは残された手で頭をおさえながら苦しみ始めるが、更に『魔王』レアが魔力を高め始める。一気に戦力値が跳ね上がった影響は、龍族達の始祖である『キーリ』でさえ耐えられなかった。
「クックック! では、我も一つだけ伝えておくとしよう」
そう言うとソフィの『金色の目』もまた光輝く。
「次に我の仲間に手を出せば、お主を魂ごと消滅させてやろう」
互いの『金色の目』がバチバチと音を立ててぶつかる。両者は視線を外さず、やがて『金色の目』は相殺して消えた。
「フルーフ様に手を出した事を後悔させてやる。お前は確実に殺すから覚えておけ『大魔王』ソフィ」
そう言うと『魔王』レアは最初からこの場に居なかったかの如く、そのまま音もなく消え去った。
「我の『漏出』でも追えぬか。どうやらこの世界から完全に消えたらしいな」
『概念跳躍』は別世界の存在が生み出した魔法である。
この世界やソフィの世界で生まれた魔法ではない故に、その『理』を理解せず使う事はソフィといえども出来ない。
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