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始祖龍キーリ編
219.二色のオーラ
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「き、貴様が先程の膨大な『魔力』の持ち主か!」
「や、やめろ!」
部屋に入って来たゲバドンが、今にもソフィに襲い掛かろうとするのを必死で止めるレヴトンだった。
「こ、この方は魔王様だ……、決して手を出すな!」
「!!」
先程部屋に入ってきたゲバドンとその配下達は、突然のレヴトンの言葉に驚愕をしながらソフィを見る。
「話を進めてもよいかな?」
ソフィがそう言うと、慌てて首を縦に振るレヴトンであった。
……
……
……
キーリの『龍ノ息吹』を防いだ後、ユファはの身体から『淡く紅い』オーラと『淡く青い』オーラの二色が、絡み合いながら纏わっていく。
「綺麗……」
シスは二色のオーラを纏うユファを見て、自然に口から言葉が漏れた。
『淡く紅い』オーラは、力ある魔族が纏う事の出来る攻撃形態であり『淡く青い』オーラは、力ある魔王が纏う事の出来る攻撃形態である。
『真なる魔王』や『大魔王』と呼ばれる領域に到達した者達は『淡く紅い』オーラを使いながら戦う事はほとんどなくなる。
完全上位互換と呼ばれる『淡く青い』オーラは、それまでの技法のオーラとは比べ物にならない程の強さだからである。
しかし歴史上には、この二つのオーラを纏いながら戦う魔族が少なからず確かに存在した。
――魔族の歴史に名を連ねた者、それこそが真の魔族の姿『魔王』。
『淡く紅い』オーラで力の増幅をされた状態で更に『淡く青い』オーラで倍増させる。普段の身体とは比べ物にならない『力』の体現である。
しかしこの二つの力を同時に扱うのは非常に難しく、選ばれし天才だけが扱えるものである。
膨大な魔力と知識を持つ者が疑似的に使うことが出来るが、身体に掛かる負荷が激しく数分と持たずに意識を失ってしまうであろう。
そしてユファはかなり無理をしてこの『二色のオーラ』を纏っている。
更にいえば膨大な魔力の代わりに、生命力を注ぎながらである。
(私ではまだこのオーラを完全には扱えない。きっとこの勝負の結果がどうであれ私は死ぬでしょうね)
そこまで考えたユファは、それでも笑いを浮かべた。
(後悔はない。親愛なるソフィ様とシスのいる世界で死を遂げられるなら本望だ)
――どうかソフィ様、私に皆を守れる力を!
アレルバレルにて『大魔王』ソフィの配下として、契約を交わした九大魔王と呼ばれる『大魔王』。
『災厄の大魔法使い』である『ユファ』は最後の力を振り絞る。
【種族:魔族 名前:ユファ(大魔王化) 戦力値:7億6000万】。
ユファの目が金色になり、身体から二色のオーラを纏いながらキーリを睨みつける。
「ほう? これが貴様の本気というワケか? 大魔王『ユファ』とやら」
始祖龍キーリは目の前の『大魔王』が、自らの戦力値を上回ったのを自覚する。
しかしそれでもキーリは、少しも臆する事なく不敵に笑いながらユファを見据える。
「では、この俺様が貴様の力を確かめてやろう」
そういうとキーリは先程と同じく『龍ノ息吹』を放った。
――そして、ユファの口から凜とした声が発せられる。
『大魔王』ユファの詠唱――。
「『天空の意思、迸る大いなる雷光。さあ雷神よ、その力を愚者に知らしめよ』」。
――神域魔法、『天空の雷』。
それはまさに雷神の一撃――。
『大魔王』ユファが詠唱にのせて魔力の代わりに生命力を注ぎ込んだ天空の雷は、キーリの放った『龍ノ息吹』がユファ達に届く前に龍形態のキーリに直撃する。
「うぐ……! ぐおおお……っ!!」
流石のキーリも『大魔王』の決死の神域魔法の直撃に苦しみの声を漏らす。しかし神域魔法を放ったユファが先に地に膝をつき目が閉ざされようとしていた。
何故ならユファの全魔力やそして多くの生命力を注ぎ込んだ為に、立っていられなくなったのである。
「ヴェルッ!」
慌ててシスが駆け寄りユファを抱き寄せる。
「だ、大、丈夫……! ま、まだ私は死なない……っわよ!」
シスはほっと胸を撫でおろす。そして上空を見上げるユファを見てシスも空を見上げた。
そこでは天空の雷をその身に受けて、苦しみ続ける始祖の白龍の姿があった。
「う……っ! うおおおお!!」
一時的とはいえ、混合のオーラを纏い『契約の紋章』の効果を発揮した状態、更に詠唱有の神域魔法が直撃したのだ。
流石のキーリであっても耐えられないと、その場にいる誰もが感じた筈だった。
――しかし。
龍形態から人間の子供の姿に戻ったキーリは『淡く紅い』オーラと『淡く青い』オーラの二色のオーラを纏いながら、ユファの天空の雷を弾き返した。
「う、嘘でしょう!?」
シスに抱かれた状態でキーリの姿を見ていたユファが驚愕の声をあげた。そして弾かれた雷は大地に大穴を開けていった。
「予想以上だ。この俺にこの形態まで引っ張り出させるとは、やるな『大魔王』ユファ!」
その姿は先程までユファが疑似的に真似た混合オーラ、そのままの色をした二色のオーラだった。
「……終わり……ね」
キーリの纏う二色のオーラの意味を悟り、ユファは絶望に打ちひしがれた。
『災厄の大魔法使い』の二つ名を持つ『大魔王』ユファでさえ、到達していないオーラを始祖龍『キーリ』は纏っているのだった――。
それはすなわち始祖龍キーリは魔族でいえば、ソフィやヌーと同じ領域に立つ『真なる大魔王』階級だということである。
そしてこの姿こそが『魔王』レアの戦闘でさえ出さなかった奥の手。そして彼女の真の姿と言える。
【種族:龍族 名前:キーリ(始祖龍化) 戦力値:10億1400万】。
対するユファは現時点で出せる全てを出し切ってしまい、ガクンと彼女の戦力値は下がっている。
――万事休すといった状況であった。
……
……
……
「や、やめろ!」
部屋に入って来たゲバドンが、今にもソフィに襲い掛かろうとするのを必死で止めるレヴトンだった。
「こ、この方は魔王様だ……、決して手を出すな!」
「!!」
先程部屋に入ってきたゲバドンとその配下達は、突然のレヴトンの言葉に驚愕をしながらソフィを見る。
「話を進めてもよいかな?」
ソフィがそう言うと、慌てて首を縦に振るレヴトンであった。
……
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キーリの『龍ノ息吹』を防いだ後、ユファはの身体から『淡く紅い』オーラと『淡く青い』オーラの二色が、絡み合いながら纏わっていく。
「綺麗……」
シスは二色のオーラを纏うユファを見て、自然に口から言葉が漏れた。
『淡く紅い』オーラは、力ある魔族が纏う事の出来る攻撃形態であり『淡く青い』オーラは、力ある魔王が纏う事の出来る攻撃形態である。
『真なる魔王』や『大魔王』と呼ばれる領域に到達した者達は『淡く紅い』オーラを使いながら戦う事はほとんどなくなる。
完全上位互換と呼ばれる『淡く青い』オーラは、それまでの技法のオーラとは比べ物にならない程の強さだからである。
しかし歴史上には、この二つのオーラを纏いながら戦う魔族が少なからず確かに存在した。
――魔族の歴史に名を連ねた者、それこそが真の魔族の姿『魔王』。
『淡く紅い』オーラで力の増幅をされた状態で更に『淡く青い』オーラで倍増させる。普段の身体とは比べ物にならない『力』の体現である。
しかしこの二つの力を同時に扱うのは非常に難しく、選ばれし天才だけが扱えるものである。
膨大な魔力と知識を持つ者が疑似的に使うことが出来るが、身体に掛かる負荷が激しく数分と持たずに意識を失ってしまうであろう。
そしてユファはかなり無理をしてこの『二色のオーラ』を纏っている。
更にいえば膨大な魔力の代わりに、生命力を注ぎながらである。
(私ではまだこのオーラを完全には扱えない。きっとこの勝負の結果がどうであれ私は死ぬでしょうね)
そこまで考えたユファは、それでも笑いを浮かべた。
(後悔はない。親愛なるソフィ様とシスのいる世界で死を遂げられるなら本望だ)
――どうかソフィ様、私に皆を守れる力を!
アレルバレルにて『大魔王』ソフィの配下として、契約を交わした九大魔王と呼ばれる『大魔王』。
『災厄の大魔法使い』である『ユファ』は最後の力を振り絞る。
【種族:魔族 名前:ユファ(大魔王化) 戦力値:7億6000万】。
ユファの目が金色になり、身体から二色のオーラを纏いながらキーリを睨みつける。
「ほう? これが貴様の本気というワケか? 大魔王『ユファ』とやら」
始祖龍キーリは目の前の『大魔王』が、自らの戦力値を上回ったのを自覚する。
しかしそれでもキーリは、少しも臆する事なく不敵に笑いながらユファを見据える。
「では、この俺様が貴様の力を確かめてやろう」
そういうとキーリは先程と同じく『龍ノ息吹』を放った。
――そして、ユファの口から凜とした声が発せられる。
『大魔王』ユファの詠唱――。
「『天空の意思、迸る大いなる雷光。さあ雷神よ、その力を愚者に知らしめよ』」。
――神域魔法、『天空の雷』。
それはまさに雷神の一撃――。
『大魔王』ユファが詠唱にのせて魔力の代わりに生命力を注ぎ込んだ天空の雷は、キーリの放った『龍ノ息吹』がユファ達に届く前に龍形態のキーリに直撃する。
「うぐ……! ぐおおお……っ!!」
流石のキーリも『大魔王』の決死の神域魔法の直撃に苦しみの声を漏らす。しかし神域魔法を放ったユファが先に地に膝をつき目が閉ざされようとしていた。
何故ならユファの全魔力やそして多くの生命力を注ぎ込んだ為に、立っていられなくなったのである。
「ヴェルッ!」
慌ててシスが駆け寄りユファを抱き寄せる。
「だ、大、丈夫……! ま、まだ私は死なない……っわよ!」
シスはほっと胸を撫でおろす。そして上空を見上げるユファを見てシスも空を見上げた。
そこでは天空の雷をその身に受けて、苦しみ続ける始祖の白龍の姿があった。
「う……っ! うおおおお!!」
一時的とはいえ、混合のオーラを纏い『契約の紋章』の効果を発揮した状態、更に詠唱有の神域魔法が直撃したのだ。
流石のキーリであっても耐えられないと、その場にいる誰もが感じた筈だった。
――しかし。
龍形態から人間の子供の姿に戻ったキーリは『淡く紅い』オーラと『淡く青い』オーラの二色のオーラを纏いながら、ユファの天空の雷を弾き返した。
「う、嘘でしょう!?」
シスに抱かれた状態でキーリの姿を見ていたユファが驚愕の声をあげた。そして弾かれた雷は大地に大穴を開けていった。
「予想以上だ。この俺にこの形態まで引っ張り出させるとは、やるな『大魔王』ユファ!」
その姿は先程までユファが疑似的に真似た混合オーラ、そのままの色をした二色のオーラだった。
「……終わり……ね」
キーリの纏う二色のオーラの意味を悟り、ユファは絶望に打ちひしがれた。
『災厄の大魔法使い』の二つ名を持つ『大魔王』ユファでさえ、到達していないオーラを始祖龍『キーリ』は纏っているのだった――。
それはすなわち始祖龍キーリは魔族でいえば、ソフィやヌーと同じ領域に立つ『真なる大魔王』階級だということである。
そしてこの姿こそが『魔王』レアの戦闘でさえ出さなかった奥の手。そして彼女の真の姿と言える。
【種族:龍族 名前:キーリ(始祖龍化) 戦力値:10億1400万】。
対するユファは現時点で出せる全てを出し切ってしまい、ガクンと彼女の戦力値は下がっている。
――万事休すといった状況であった。
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