110 / 1,982
ヴェルマー大陸編
105.ラルグ魔国VSトウジン魔国2
しおりを挟む
上位魔族同士とはいっても、国の特色が違えば動きが変わる。
ラルグ魔族の者達の攻撃は、一薙ぎで勝負を決めようとする者が多い中、トウジン魔国の兵達はまず相手の攻撃を防ぐ為に足を削ぐ。
自分がトドメを刺す必要はなく、味方の魔族が攻め落とせば同じ一体の魔族を倒せるのである。
つまり一体に対して、二体で確実に一匹を仕留めていくのだ。
その戦術は数で勝る『ラルグ』魔国相手に通用する手法には見えなかったが、蓋を開けて見れば戦場での効果は絶大であった。
強引に敵を殺そうとするラルグ魔国軍の攻撃を躱し防ぎそして守る。
そして背後にまわりトウジン魔国兵は、確実に急所を刺す。
数で劣るトウジン魔国ではあったが、こうして少しずつ戦局を支配していくのだった。
しかし『トウジン』魔国が戦争を優位に運んでいると思っていた矢先、ラルグ魔国軍はこれまでとは異なる動きを見せ始めるのだった。
「行け!」
そしてラルグ魔国軍の指揮官であるネスツの言葉に、待機していた次の部隊達が飛んでいく。
前線同士で戦う者達を迂回しながら両脇を攻め立てる如く動く。
――これこそが指揮官である『ネスツ』の狙いだった。
先発隊が強引に特攻していき、待機していた第二軍で挟撃する。
数の差があるラルグ魔国軍だからこそできる策略である。
初手こそトウジンが有利に動いていたモノの、戦局は徐々にラルグ魔国に変わりつつあった。
(一度退がらせるか? しかし最前線を下げると中央突破されるだろう)
シチョウの代わりにトウジンの指揮官を任せられた『レイリー』は、戦局を見極めながらぶつぶつと独り言つ。
序盤は確実にレイリーの采配がうまくハマってはいたモノのやはりこの数を覆すにはもう一つ何か材料が必要であった。
しかし魔族同士の戦いは時間との勝負である為に迷ってる暇はない――。
「後発隊を残して、全軍中央へ進め!」
レイリーの指揮に瞬時に頷いた兵士達は迅速に行動を開始する。
挟撃を恐れずにひたすら真っすぐ、真っすぐに進んでいく。
一秒また一秒と時が経つごとに、トウジン兵達はその命を刈り取られていくが、レイリーの作戦は上手く行っていると考えていいだろう。
無事に挟撃を抜けて中央にいるラルグ魔国軍を蹴散らす事に成功する。
一直線にトウジンの部隊は雪崩れ込んでいき、流石の数を誇るラルグ魔国軍であってもその勢いに中央が手薄になり始める。
そしてレイリーはここで間髪入れずに後発隊を動かす。
挟撃していた左右の部隊が前線の部隊につられて、背後から狙おうとしているところの更に背後から一気に攻め立てる。
「さぁ行け! 出し惜しみはなしだ! 背後から近づき、蛮族共の臓物を抉り出せぇっ!」
「「オオオオオ!!」」
そしてレイリーの紅く光った目と言葉で死を恐れぬ軍隊『トウジン』魔国軍は、敵を殺す為に一気に動くのであった。
……
……
……
「敵の指揮官は見ない顔だが、中々に素晴らしい采配を行うではないか」
『ラルグ』魔国軍の指揮官である『ネスツ』は『トウジン』魔国相手にここまで手こずるとは思っていなかった。
レイリーは純粋に戦略と策略を用いて、数で勝負が決まると言われている『上位魔族』同士の多く居る戦場でここまでの人数差を覆したのだ。
ネスツはこれまでの戦争の局面で上手く采配を行い、圧倒的差を感じさせずに対抗を行ってみせた『レイリー』という『トウジン』魔国軍の指揮官を認めるのだった。
――しかし認めてはいるが、当然『ラルグ』魔国軍の指揮官『ネスツ』の智謀はこれで終わりではない。
むしろ『レイリー』の上手い采配をもってして、ようやく二国間で『戦争』といえるモノに成り立ったに過ぎず、ここからが『ラルグ』魔国軍との本当の戦いが始まるといえるのだった――。
……
……
……
ラルグ魔族の者達の攻撃は、一薙ぎで勝負を決めようとする者が多い中、トウジン魔国の兵達はまず相手の攻撃を防ぐ為に足を削ぐ。
自分がトドメを刺す必要はなく、味方の魔族が攻め落とせば同じ一体の魔族を倒せるのである。
つまり一体に対して、二体で確実に一匹を仕留めていくのだ。
その戦術は数で勝る『ラルグ』魔国相手に通用する手法には見えなかったが、蓋を開けて見れば戦場での効果は絶大であった。
強引に敵を殺そうとするラルグ魔国軍の攻撃を躱し防ぎそして守る。
そして背後にまわりトウジン魔国兵は、確実に急所を刺す。
数で劣るトウジン魔国ではあったが、こうして少しずつ戦局を支配していくのだった。
しかし『トウジン』魔国が戦争を優位に運んでいると思っていた矢先、ラルグ魔国軍はこれまでとは異なる動きを見せ始めるのだった。
「行け!」
そしてラルグ魔国軍の指揮官であるネスツの言葉に、待機していた次の部隊達が飛んでいく。
前線同士で戦う者達を迂回しながら両脇を攻め立てる如く動く。
――これこそが指揮官である『ネスツ』の狙いだった。
先発隊が強引に特攻していき、待機していた第二軍で挟撃する。
数の差があるラルグ魔国軍だからこそできる策略である。
初手こそトウジンが有利に動いていたモノの、戦局は徐々にラルグ魔国に変わりつつあった。
(一度退がらせるか? しかし最前線を下げると中央突破されるだろう)
シチョウの代わりにトウジンの指揮官を任せられた『レイリー』は、戦局を見極めながらぶつぶつと独り言つ。
序盤は確実にレイリーの采配がうまくハマってはいたモノのやはりこの数を覆すにはもう一つ何か材料が必要であった。
しかし魔族同士の戦いは時間との勝負である為に迷ってる暇はない――。
「後発隊を残して、全軍中央へ進め!」
レイリーの指揮に瞬時に頷いた兵士達は迅速に行動を開始する。
挟撃を恐れずにひたすら真っすぐ、真っすぐに進んでいく。
一秒また一秒と時が経つごとに、トウジン兵達はその命を刈り取られていくが、レイリーの作戦は上手く行っていると考えていいだろう。
無事に挟撃を抜けて中央にいるラルグ魔国軍を蹴散らす事に成功する。
一直線にトウジンの部隊は雪崩れ込んでいき、流石の数を誇るラルグ魔国軍であってもその勢いに中央が手薄になり始める。
そしてレイリーはここで間髪入れずに後発隊を動かす。
挟撃していた左右の部隊が前線の部隊につられて、背後から狙おうとしているところの更に背後から一気に攻め立てる。
「さぁ行け! 出し惜しみはなしだ! 背後から近づき、蛮族共の臓物を抉り出せぇっ!」
「「オオオオオ!!」」
そしてレイリーの紅く光った目と言葉で死を恐れぬ軍隊『トウジン』魔国軍は、敵を殺す為に一気に動くのであった。
……
……
……
「敵の指揮官は見ない顔だが、中々に素晴らしい采配を行うではないか」
『ラルグ』魔国軍の指揮官である『ネスツ』は『トウジン』魔国相手にここまで手こずるとは思っていなかった。
レイリーは純粋に戦略と策略を用いて、数で勝負が決まると言われている『上位魔族』同士の多く居る戦場でここまでの人数差を覆したのだ。
ネスツはこれまでの戦争の局面で上手く采配を行い、圧倒的差を感じさせずに対抗を行ってみせた『レイリー』という『トウジン』魔国軍の指揮官を認めるのだった。
――しかし認めてはいるが、当然『ラルグ』魔国軍の指揮官『ネスツ』の智謀はこれで終わりではない。
むしろ『レイリー』の上手い采配をもってして、ようやく二国間で『戦争』といえるモノに成り立ったに過ぎず、ここからが『ラルグ』魔国軍との本当の戦いが始まるといえるのだった――。
……
……
……
10
お気に入りに追加
439
あなたにおすすめの小説

眠り姫な私は王女の地位を剥奪されました。実は眠りながらこの国を護っていたのですけれどね
たつき
ファンタジー
「おまえは王族に相応しくない!今日限りで追放する!」
「お父様!何故ですの!」
「分かり切ってるだろ!おまえがいつも寝ているからだ!」
「お兄様!それは!」
「もういい!今すぐ出て行け!王族の権威を傷つけるな!」
こうして私は王女の身分を剥奪されました。
眠りの世界でこの国を魔物とかから護っていただけですのに。

異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています
完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-
ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。
自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。
いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して!
この世界は無い物ばかり。
現代知識を使い生産チートを目指します。
※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!
アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。
->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました!
ーーーー
ヤンキーが勇者として召喚された。
社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。
巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。
そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。
ほのぼのライフを目指してます。
設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。
6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

家族で突然異世界転移!?パパは家族を守るのに必死です。
3匹の子猫
ファンタジー
社智也とその家族はある日気がつけば家ごと見知らぬ場所に転移されていた。
そこは俺の持ちうる知識からおそらく異世界だ!確かに若い頃は異世界転移や転生を願ったことはあったけど、それは守るべき家族を持った今ではない!!
こんな世界でまだ幼い子供たちを守りながら生き残るのは酷だろ…だが、俺は家族を必ず守り抜いてみせる!!
感想やご意見楽しみにしております!
尚、作中の登場人物、国名はあくまでもフィクションです。実在する国とは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる