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大魔王覚醒編
86.ミナトの決意
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「うむ……。それで話は以上か? 実はこの後に我は『ミナト』をこの町の冒険者ギルドに連れていかねばならないのだが」
そこまで言ってミナトが居ない事に、ようやく気付いたソフィはラルフたちを見る。
「ミナト殿でしたらソフィ様が起きられるまで、用事があるといって出ていかれましたが……」
そこでラルフは一度言葉をきって入口のドアのほうをみる。
つられて他の者もドアの方を見ると、ノックの音が聞こえてきた。
「誰かな?」
「何度も申し訳ありません。ソフィ様に会わせて欲しいと訪ねて来られたのですが、お通しさせて頂いても構いませんか?」
「うむ。すまないが宜しく頼む」
「かしこまりました」
扉の前から宿の人間の気配がなくなる。
どうやら待たせている来訪者を呼びに戻ったのだろう。
そして直ぐにまた扉をノックする音が聞こえてきた。
「僕です。ミナトです」
「むっ、入ってよいぞ」
ソフィから許可が出たために直ぐに扉が開かれた。
何やら荷物を抱えたミナトが、ソフィの顔を見るなり嬉しそうに笑みを向けてきた。
「ソフィさん、起きられたのですね」
笑顔を浮かべながら、入ってきたミナトはソフィの顔を見る。
「うむ、心配をかけてすまなかった。それでミナトよ、何があったのだ?」
「ソフィさん! これを受け取って下さい」
「む?」
金貨が大量に詰まった布袋をソフィに差し出すミナト。
「何だこれは……?」
「今回ソフィさん達に迷惑をかけてしまったお詫びと、そしてソフィさんたちへのお礼の気持ちです」
「前に皆さんと約束をした通り、僕はギルドに出頭します。出てくる時にはまた一から商人をやり直したいとそう思っています」
――これはミナトの決意の表れなのだろう。
「そうか……。お主がそう言うのであれば、これは我が預かっておく」
決意を表明したミナトにソフィは、色々と告げたい言葉もあった。
しかしその言葉を呑み込んで、一番ミナトがして欲しいであろう言葉を選んだのであった。
ミナトはソフィが布袋を胸元に収めるのを確認して、ほっとしたような表情を浮かべた後に頭を下げた。
「ありがとうございます!」
「ふっ、お前? なかなか男前な人間ではないか!」
一部始終を見ていた『エルザ』が、ニヤリと笑みを浮かべてそう言った。
「クックック! 安心するがよい。ギルドにはお前の事をしっかりと伝えておくのでな?」
ソフィが笑みを浮かべてそう言うと、ミナトは嬉しそうに再度頭を下げた。
「さて、伝える事は伝えたしな。私はここらでソフィ達が護衛の件を引き受けてくれた事を『レルバノン』様に伝えに戻らせてもらう」
そう言ってエルザは、宿の備えつけの椅子から立ち上がった。
「うむ。当分我はここにいるから、何かあればここに来るがよいぞ?」
エルザは頷いて部屋を出て行こうとして、何かを思い出したように振り返る。
「そうだ! どうせならばギルドに指名依頼として今回の事を通しておく。ギルドに依頼金を渡しておくから、そこで受け取ってくれるか?」
そこまで話すとエルザは今度こそ出ていった。
「依頼金? 別に我はそんなものは必要ないのだが」
ソフィが欲のない事を言ったので、リーネが溜息を吐いた。
「よいではないですか。依頼という形であれば、ギルドポイントを頂けるのでしょう?」
ラルフがそう告げたので、頷いておいたソフィだった。
「それではミナトよ、ギルドへお主を連れていくが準備はよいか?」
覚悟を決めていたのであろうが、ギルドに出頭すると言葉にされた事でミナトは、緊張を顔に出し始めた。
ソフィが口添えをしてくれるとは言ってくれたが、ミナトのした事をギルドマスターが許さないと口にしたならば、ミナトはもう商人としての復帰は出来ない事だろう。
冒険者ギルドを敵に回してしまえば直ぐに情報が出回ってしまい、いち商人でしかないミナトは、どこの町へ行っても商売がやり辛くなる。
だが、やってしまった事を後悔していても仕方がない――。
悪いのは自分だったのだからと、ミナトは顔をあげるのだった。
やがてコクリと頷いたミナトを見たソフィは、そのままミナトを連れて『ステンシア』の町の冒険者ギルドへ向かうのであった。
そこまで言ってミナトが居ない事に、ようやく気付いたソフィはラルフたちを見る。
「ミナト殿でしたらソフィ様が起きられるまで、用事があるといって出ていかれましたが……」
そこでラルフは一度言葉をきって入口のドアのほうをみる。
つられて他の者もドアの方を見ると、ノックの音が聞こえてきた。
「誰かな?」
「何度も申し訳ありません。ソフィ様に会わせて欲しいと訪ねて来られたのですが、お通しさせて頂いても構いませんか?」
「うむ。すまないが宜しく頼む」
「かしこまりました」
扉の前から宿の人間の気配がなくなる。
どうやら待たせている来訪者を呼びに戻ったのだろう。
そして直ぐにまた扉をノックする音が聞こえてきた。
「僕です。ミナトです」
「むっ、入ってよいぞ」
ソフィから許可が出たために直ぐに扉が開かれた。
何やら荷物を抱えたミナトが、ソフィの顔を見るなり嬉しそうに笑みを向けてきた。
「ソフィさん、起きられたのですね」
笑顔を浮かべながら、入ってきたミナトはソフィの顔を見る。
「うむ、心配をかけてすまなかった。それでミナトよ、何があったのだ?」
「ソフィさん! これを受け取って下さい」
「む?」
金貨が大量に詰まった布袋をソフィに差し出すミナト。
「何だこれは……?」
「今回ソフィさん達に迷惑をかけてしまったお詫びと、そしてソフィさんたちへのお礼の気持ちです」
「前に皆さんと約束をした通り、僕はギルドに出頭します。出てくる時にはまた一から商人をやり直したいとそう思っています」
――これはミナトの決意の表れなのだろう。
「そうか……。お主がそう言うのであれば、これは我が預かっておく」
決意を表明したミナトにソフィは、色々と告げたい言葉もあった。
しかしその言葉を呑み込んで、一番ミナトがして欲しいであろう言葉を選んだのであった。
ミナトはソフィが布袋を胸元に収めるのを確認して、ほっとしたような表情を浮かべた後に頭を下げた。
「ありがとうございます!」
「ふっ、お前? なかなか男前な人間ではないか!」
一部始終を見ていた『エルザ』が、ニヤリと笑みを浮かべてそう言った。
「クックック! 安心するがよい。ギルドにはお前の事をしっかりと伝えておくのでな?」
ソフィが笑みを浮かべてそう言うと、ミナトは嬉しそうに再度頭を下げた。
「さて、伝える事は伝えたしな。私はここらでソフィ達が護衛の件を引き受けてくれた事を『レルバノン』様に伝えに戻らせてもらう」
そう言ってエルザは、宿の備えつけの椅子から立ち上がった。
「うむ。当分我はここにいるから、何かあればここに来るがよいぞ?」
エルザは頷いて部屋を出て行こうとして、何かを思い出したように振り返る。
「そうだ! どうせならばギルドに指名依頼として今回の事を通しておく。ギルドに依頼金を渡しておくから、そこで受け取ってくれるか?」
そこまで話すとエルザは今度こそ出ていった。
「依頼金? 別に我はそんなものは必要ないのだが」
ソフィが欲のない事を言ったので、リーネが溜息を吐いた。
「よいではないですか。依頼という形であれば、ギルドポイントを頂けるのでしょう?」
ラルフがそう告げたので、頷いておいたソフィだった。
「それではミナトよ、ギルドへお主を連れていくが準備はよいか?」
覚悟を決めていたのであろうが、ギルドに出頭すると言葉にされた事でミナトは、緊張を顔に出し始めた。
ソフィが口添えをしてくれるとは言ってくれたが、ミナトのした事をギルドマスターが許さないと口にしたならば、ミナトはもう商人としての復帰は出来ない事だろう。
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だが、やってしまった事を後悔していても仕方がない――。
悪いのは自分だったのだからと、ミナトは顔をあげるのだった。
やがてコクリと頷いたミナトを見たソフィは、そのままミナトを連れて『ステンシア』の町の冒険者ギルドへ向かうのであった。
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