79 / 1,985
レルバノン編
75.ソフィVSエルザ
しおりを挟む
「御呼びですか? レルバノン様」
「ええ、どうやら彼は私たちの仲間にはなっていただけないようですので、いつものように処理しておいてください」
そう言ってレルバノンは、部屋から出ていこうとする。
「かしこまりました、レルバノン様」
そして、エルザは恭しく一礼をした後、ソフィを見る。
「やれやれ、まだ話は途中だったというのに。まぁ後はお主に聞けばよいか」
そう言ってソフィは、再度『紅いオーラ』を出し始めた。
「理解出来ないな。せっかくお前は我が主に選ばれたのだというのに」
ふぅっと可愛らしい溜息をついて、エルザは手の平を上に向けて両手をあげる。
「クックック、少し勧誘にしては強引すぎたと思うがな?」
「そこは否定しないが、組織に仲間入りしてしまえば主はとても優しいのだぞ?」
「ふむ、確かにお主のレルバノン殿を想う感情に嘘は感じないな」
エルザの様子からは操られていたり、強引な命令や力で押し付けられているようには見受けられなかった。
「当たり前よ、本心から私は主をお慕いしているのだから」
エルザは話をしながらも着々と手や足をブラブラさせて、戦闘を行う為の準備運動をしている。
「お主も我と戦うつもりか? 我は魔物を操っている男に会わせてもらえれば、それでいいのだが」
「残念だけど主の誘いを断った以上、貴様はここで死ぬしかなくなったわね」
そう告げたエルザは何もない空間から大きな剣を取り出した。
小柄な彼女が持つにしては、大きすぎる剣の存在にソフィは驚かされる。
「そんな大きな剣を扱えるのか?」
「そんな心配は無用だ! 剣の切れ味は貴方の体で体験させてやろう」
そしてエルザは剣を担ぐように大刀を両手で持ち、野球のバットのようにその場で振る。
恐ろしい風圧が衝撃波となって、ソフィを襲い掛かる。
「むっ!」
ソフィはその場で跳躍してエルザの風圧を躱す。
躱す事を予測していたのか、ソフィが前を見るとエルザが目前まで迫っていた。
「ウオオオッ!!」
エルザは手首のスナップだけではなく、その体全体を最大限に捻ってソフィを斬ろうとする。
まさに渾身というべき縦斬りがソフィに襲い掛かる。
「回避は……、間に合わぬ……っか!」
ソフィは咄嗟に身体をひねって躱そうかと思ったが、紅い目に光るエルザの縦斬りは中途半端な回避を許さない。
ソフィは左手を前に出して、紅いオーラを纏わせてガードする。
しかしソフィのオーラを纏った左手ごと、大刀は衝撃と共に吹き飛ばしていく。
「くっ……! 何という馬鹿力をしている」
ソフィは咄嗟に防御をしたことを後悔する。
「まだまだぁっ!」
今度はソフィの胴体を真っ二つにしようと、エルザは大刀を横に振り切る。
「チッ!」
ソフィは舌打ちをしながら、右手を前に出して魔法を発動させる。
――超越魔法、『終焉の炎』。
爆炎がソフィの右手から生まれて、エルザの大刀を防ぐ形で炎が巻き上がる。
「うおおおおっっ!!」
しかしエルザはソフィの魔法ごと真横に振り切った。
――衝撃波がソフィ目掛けて駆け抜ける。
「何と出鱈目なパワーなのだ!」
ソフィは空中で咄嗟に天井に向けて小さな風魔法を発動させた後、その風圧を利用して強引に体を床に戻す。
だが、エルザはお構いなしにソフィのいる場所に袈裟切りに振り下ろしながら落ちてくる。
「ハァァッ!!」
上位魔族の身体だからこそ為せる剣技というべき、強引な大刀の使い方をしながらソフィを襲う。
「このままでは……、勝てぬか」
ソフィの目が紅く光り、次の瞬間大きく大地が揺れる。
この形態のソフィの出せる最大戦力で、空から渾身の一撃をぶつけようと降ってくる『エルザ』を迎え撃とうとする。
【名前:ソフィ(第一形態)MAX 戦力値:520万】。
――超越魔法、『炎帝の爆炎』。
ソフィの前に炎の化身が現れて、数百発の火球が出現する。
「ウオオオオッ!!」
全体重を乗せたエルザの大刀の縦斬りがソフィと『魔法』で生み出された炎の化身を目掛けて振り下ろされる!
炎の化身の火球が次々とエルザに向かっていくが、その一発一発が恐ろしい程の火力を持つ。
次々とエルザの身体に火球が当たり、相当のダメージを負わせたと思われるが、彼女は全く気にせずに、そのまま振りかぶって大刀の縦斬りで振り下ろす。
どうやらここまでの戦いを見てきたソフィは、この大刀を完全に使いこなしているエルザを『上位魔族』の中でもピカイチなのだと確信する。
そして『魔法』で生み出された炎の化身が、ソフィを守ろうと盾になるがその炎帝の化身ごと、ソフィの左肩から胴体までを力任せにぶつ切りにする。
ソフィは紅いオーラで体を守るように纏っており、通常より遥かに硬い上に炎帝の守りがある為、そもそも傷つけるのが不可能に近いというのに、エルザの大刀はあっさりと斬って見せた。
「ぐぬっ……!」
魔族の中でも上位魔族とされる『紅い目』の体現者『エルザ』は、その強さに偽りなく、その剣技を以ってソフィに力を示して見せたのだった。
「ええ、どうやら彼は私たちの仲間にはなっていただけないようですので、いつものように処理しておいてください」
そう言ってレルバノンは、部屋から出ていこうとする。
「かしこまりました、レルバノン様」
そして、エルザは恭しく一礼をした後、ソフィを見る。
「やれやれ、まだ話は途中だったというのに。まぁ後はお主に聞けばよいか」
そう言ってソフィは、再度『紅いオーラ』を出し始めた。
「理解出来ないな。せっかくお前は我が主に選ばれたのだというのに」
ふぅっと可愛らしい溜息をついて、エルザは手の平を上に向けて両手をあげる。
「クックック、少し勧誘にしては強引すぎたと思うがな?」
「そこは否定しないが、組織に仲間入りしてしまえば主はとても優しいのだぞ?」
「ふむ、確かにお主のレルバノン殿を想う感情に嘘は感じないな」
エルザの様子からは操られていたり、強引な命令や力で押し付けられているようには見受けられなかった。
「当たり前よ、本心から私は主をお慕いしているのだから」
エルザは話をしながらも着々と手や足をブラブラさせて、戦闘を行う為の準備運動をしている。
「お主も我と戦うつもりか? 我は魔物を操っている男に会わせてもらえれば、それでいいのだが」
「残念だけど主の誘いを断った以上、貴様はここで死ぬしかなくなったわね」
そう告げたエルザは何もない空間から大きな剣を取り出した。
小柄な彼女が持つにしては、大きすぎる剣の存在にソフィは驚かされる。
「そんな大きな剣を扱えるのか?」
「そんな心配は無用だ! 剣の切れ味は貴方の体で体験させてやろう」
そしてエルザは剣を担ぐように大刀を両手で持ち、野球のバットのようにその場で振る。
恐ろしい風圧が衝撃波となって、ソフィを襲い掛かる。
「むっ!」
ソフィはその場で跳躍してエルザの風圧を躱す。
躱す事を予測していたのか、ソフィが前を見るとエルザが目前まで迫っていた。
「ウオオオッ!!」
エルザは手首のスナップだけではなく、その体全体を最大限に捻ってソフィを斬ろうとする。
まさに渾身というべき縦斬りがソフィに襲い掛かる。
「回避は……、間に合わぬ……っか!」
ソフィは咄嗟に身体をひねって躱そうかと思ったが、紅い目に光るエルザの縦斬りは中途半端な回避を許さない。
ソフィは左手を前に出して、紅いオーラを纏わせてガードする。
しかしソフィのオーラを纏った左手ごと、大刀は衝撃と共に吹き飛ばしていく。
「くっ……! 何という馬鹿力をしている」
ソフィは咄嗟に防御をしたことを後悔する。
「まだまだぁっ!」
今度はソフィの胴体を真っ二つにしようと、エルザは大刀を横に振り切る。
「チッ!」
ソフィは舌打ちをしながら、右手を前に出して魔法を発動させる。
――超越魔法、『終焉の炎』。
爆炎がソフィの右手から生まれて、エルザの大刀を防ぐ形で炎が巻き上がる。
「うおおおおっっ!!」
しかしエルザはソフィの魔法ごと真横に振り切った。
――衝撃波がソフィ目掛けて駆け抜ける。
「何と出鱈目なパワーなのだ!」
ソフィは空中で咄嗟に天井に向けて小さな風魔法を発動させた後、その風圧を利用して強引に体を床に戻す。
だが、エルザはお構いなしにソフィのいる場所に袈裟切りに振り下ろしながら落ちてくる。
「ハァァッ!!」
上位魔族の身体だからこそ為せる剣技というべき、強引な大刀の使い方をしながらソフィを襲う。
「このままでは……、勝てぬか」
ソフィの目が紅く光り、次の瞬間大きく大地が揺れる。
この形態のソフィの出せる最大戦力で、空から渾身の一撃をぶつけようと降ってくる『エルザ』を迎え撃とうとする。
【名前:ソフィ(第一形態)MAX 戦力値:520万】。
――超越魔法、『炎帝の爆炎』。
ソフィの前に炎の化身が現れて、数百発の火球が出現する。
「ウオオオオッ!!」
全体重を乗せたエルザの大刀の縦斬りがソフィと『魔法』で生み出された炎の化身を目掛けて振り下ろされる!
炎の化身の火球が次々とエルザに向かっていくが、その一発一発が恐ろしい程の火力を持つ。
次々とエルザの身体に火球が当たり、相当のダメージを負わせたと思われるが、彼女は全く気にせずに、そのまま振りかぶって大刀の縦斬りで振り下ろす。
どうやらここまでの戦いを見てきたソフィは、この大刀を完全に使いこなしているエルザを『上位魔族』の中でもピカイチなのだと確信する。
そして『魔法』で生み出された炎の化身が、ソフィを守ろうと盾になるがその炎帝の化身ごと、ソフィの左肩から胴体までを力任せにぶつ切りにする。
ソフィは紅いオーラで体を守るように纏っており、通常より遥かに硬い上に炎帝の守りがある為、そもそも傷つけるのが不可能に近いというのに、エルザの大刀はあっさりと斬って見せた。
「ぐぬっ……!」
魔族の中でも上位魔族とされる『紅い目』の体現者『エルザ』は、その強さに偽りなく、その剣技を以ってソフィに力を示して見せたのだった。
11
お気に入りに追加
440
あなたにおすすめの小説

異世界に飛ばされたら守護霊として八百万の神々も何故か付いてきた。
いけお
ファンタジー
仕事からの帰宅途中に突如足元に出来た穴に落ちて目が覚めるとそこは異世界でした。
元の世界に戻れないと言うので諦めて細々と身の丈に合った生活をして過ごそうと思っていたのに心配性な方々が守護霊として付いてきた所為で静かな暮らしになりそうもありません。
登場してくる神の性格などでツッコミや苦情等出るかと思いますが、こんな神様達が居たっていいじゃないかと大目に見てください。
追記 小説家になろう ツギクル でも投稿しております。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

家族で突然異世界転移!?パパは家族を守るのに必死です。
3匹の子猫
ファンタジー
社智也とその家族はある日気がつけば家ごと見知らぬ場所に転移されていた。
そこは俺の持ちうる知識からおそらく異世界だ!確かに若い頃は異世界転移や転生を願ったことはあったけど、それは守るべき家族を持った今ではない!!
こんな世界でまだ幼い子供たちを守りながら生き残るのは酷だろ…だが、俺は家族を必ず守り抜いてみせる!!
感想やご意見楽しみにしております!
尚、作中の登場人物、国名はあくまでもフィクションです。実在する国とは一切関係ありません。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

『転生したら「村」だった件 〜最強の移動要塞で世界を救います〜』
ソコニ
ファンタジー
29歳の過労死サラリーマン・御影要が目覚めたのは、なんと「村」として転生した姿だった。
誰もいない村の守護者となった要は、偶然迷い込んできた少年リオを最初の住民として迎え入れ、徐々に「村」としての力を開花させていく。【村レベル:1】【住民数:0】【スキル:基本生活機能】から始まった異世界生活。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる