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第2話
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家の廊下を駆け抜け厨房に着いた私はお姫様抱っこをしていたニーナを転ばないように優しくおろした。
「お、お嬢様‥いったいいかがなされたのですか?」
「ちょっとアッシュお兄様と喧嘩しちゃって」
苦笑いしながら私は舌をペロッと出してニーナに言った。
「お嬢様?以前申し上げたようにお嬢様方の喧嘩は喧嘩の域を遥かに越えていらっしゃるんですから‥」
「だからゴメンって~」
「それに喧嘩の後アッシュ様がどのような行動をとるかお嬢様ももうお分かりですよね?」
「あぁ~それは多分もう大丈夫だと思うわ?」
「それは一体どういうことですか?」
「ふふっ♪だってさっきお兄様の未来をつぶしてきたもの?」
ニーナもどういうことかわかっていないらしい。
さっき私がアッシュお兄様のお腹に触れたとき睾丸に向けて魔力を流したのだ。
それでどうなるかというと‥
「お兄様は私の魔力でもう永遠に子種を作ることができなくなったから、これで少しは懲りるんじゃないかしら」
「あぁ‥なんということを‥」
「大丈夫よ、むしろあんな奴こうなって当然よ。」
私は後悔してないわ。
だってやらないとこっちが犯られるもの。
「そのことはアッシュお兄様はお気づきなのですか?」
「今はまだわかってないと思うけれど‥そのうちわかるんじゃないかしらね」
「どうなってもこのニーナはお役に立てませんよ?私目ではどう頑張ってもお兄様を止めることなどできませんので」
「大丈夫いざとなったら私がお兄様をこの手で‥ってまぁ今はそんなことどうでもいいわ。さっきお兄様に朝ごはん食べられなくされちゃったからお腹すいちゃったわ。」
そして目の前にあった厨房のドアを開ける。
「あ、アリシアお嬢様!!本日は大変申し訳ございませんでした!!アッシュ様にせがまれどうすることもできず‥」
「いいのよ料理長。その代わりちょっと厨房借りるわよ」
入った私を見つけるなりどたばたと駆け寄ってきて全力で自分の非礼を謝罪し始めた料理長‥
このやり取りも何回目だろうか。
何回も同じやり取りをしているから数えるのすら億劫だわ。
「今日は何を作ろうかしら‥」
この前は‥オムレツを作ったから~
ふと今日の献立を悩んでいると私の視界に真っ赤に完熟した大量のトマトが目にはいった。
「あら?これは?」
「それはお嬢様のお友達のミラさんからいただいた朝どりのトマトです。」
「ミラから?後でお礼しなくちゃね」
トマトがあるならトマトリゾットでも作ろうかしら。
普通のリゾットだとちょっと朝には重たいけど、トマトでさっぱりさせれば食べられそうね。
「さて‥それじゃパッパと作りますか。」
まずはお米をバターで炒めて~‥コンソメ、湯むきしたトマトを入れてアルデンテになるまでコトコト煮たら~蓋をして蒸して‥後は待つだけね。
ある程度蒸したらふたを開けてかき混ぜて、お皿に盛り付けたら完成ね。
「上からブラックペッパーとパセリを上から振りかけたら見た目もばっちりね!!」
「‥お嬢様少しよろしいですか?」
「何よ?あげないわよ?」
「い、いえ‥そういうことではなくてですね。以前からお嬢様のお料理の腕前を拝見していて思ったことなのですが、いったいどこでお料理のお勉強なんてなさったんですか?」
「ただでさえ自由な時間が少ないのに料理の勉強なんてできるわけないじゃない。」
これは紛れもなく本当のこと‥
剣術や勉学の時間が多すぎて、私に自由な時間なんてほとんどない。
その僅かな自由な時間も唯一の友達であるミラとの時間にあてているし‥
「で、ではなぜそんな本格的な料理が作れるんです?」
「ポンって急に頭の中に浮かんでくるのよ。後はそれをそのまま作ってるだけ」
こればかりは私も不思議なところがある。
やったことがないことなのに人並み以上にできたり‥
今回のように作ったことのない料理などのレシピが急に頭に思い浮かんできたりする。
幼いころからずっとこうなんだけれど、自分でもよくわかっていない。
「いやはや‥やはりお嬢様は天才なんですよ。ふつうそんなことできませんよ?」
「私なんかが天才だったらこの世界の人みんな天才以上になっちゃうわよ。まぁ、私のことが気になるのは分かるけれど今は先に食べさせてもらえないかしら?」
「あっ!!し、失礼しました!!どうぞごゆっくりお食べください。」
さてさて~冷める前に美味しくいただきましょ‥
「いただきま~す♪あ~むっ!!」
うーん‥美味しいわ!!
やっぱりトマトのさっぱりした酸味のおかげでとってもあっさり食べられるわ。
これも初めて作ったけど今回も成功ね。
「もっと味わって食べたかったところだけれど‥この後はミラに会いに行かないといけないし早く食べちゃいましょ」
今日は聖職の儀があるから剣術の稽古も勉学もない‥
こういう日は楽しむだけ楽しまなきゃね。
私は黙々とトマトリゾットを食べ進めた。
「はぁ‥美味しかった~ごちそうさまでした。」
食べ終わった後の口をナプキンで拭い食器を流しに片づける。
そのまま洗って片付けようとしていたところ料理長に止められてしまった。
「お嬢様‥そのような雑務は私の方でやりますので。」
「あら?いいの?じゃあお願いするわ。」
ここで私が無理やりやろうとしてしまうと料理長がいろいろと言ってくるからおとなしく任せることにする。
「さてとっ朝ごはんも食べたしそろそろミラのところへ行こうかしら」
「お着替えはなさいますか?」
「別に必要ないわ。」
「それではまた夕刻にお迎えに上がりますね?」
「別に来なくてもいいのよ?」
「そういうわけにもいきません、何せ今日はお嬢様にとって人生で一番大事な儀式なのですから。」
人生で一番大事ねぇ‥
その儀式でいったい何人が絶望するのかしら?
言い方を変えれば人生の成功者と敗北者を仕分ける儀式ね。
そんな儀式受けたくはないけれど、国の法律で決まっちゃってるから仕方がないわね。
「それじゃあちょっと行ってくるわね」
「お気をつけていってらっしゃいませ」
ニーナに見送られて私は家を出た。
あとはここから整備された道をまっすぐ進んでいけばミラの家が見えてくる。
ミラの家は農家だから大きな畑を持っている。
この辺では一番大きな畑だから行けばすぐにわかる。
「久しぶりに会うけれど元気にしてるかしら?」
ミラと会うのは半年ぶりぐらいかしら?
以前会ったときはミラの聖職の儀の時だったわね。
あの時ミラは最上級と行かないまでも上級職のマスターファーマーというジョブを授かっていた。
農家のミラにはぴったりのジョブだったわね。
マスターファーマーは豊穣の女神の加護を受けたジョブで、やせた土地を元気にしたりするスキルなどが使えるようになる。
「あの子頑張り屋さんだから無理して体を壊してないといいけれど‥」
ミラのことを心配しながらも、久しぶりの再会に胸を膨らませながら私はミラの住んでいる家を目指した。
「お、お嬢様‥いったいいかがなされたのですか?」
「ちょっとアッシュお兄様と喧嘩しちゃって」
苦笑いしながら私は舌をペロッと出してニーナに言った。
「お嬢様?以前申し上げたようにお嬢様方の喧嘩は喧嘩の域を遥かに越えていらっしゃるんですから‥」
「だからゴメンって~」
「それに喧嘩の後アッシュ様がどのような行動をとるかお嬢様ももうお分かりですよね?」
「あぁ~それは多分もう大丈夫だと思うわ?」
「それは一体どういうことですか?」
「ふふっ♪だってさっきお兄様の未来をつぶしてきたもの?」
ニーナもどういうことかわかっていないらしい。
さっき私がアッシュお兄様のお腹に触れたとき睾丸に向けて魔力を流したのだ。
それでどうなるかというと‥
「お兄様は私の魔力でもう永遠に子種を作ることができなくなったから、これで少しは懲りるんじゃないかしら」
「あぁ‥なんということを‥」
「大丈夫よ、むしろあんな奴こうなって当然よ。」
私は後悔してないわ。
だってやらないとこっちが犯られるもの。
「そのことはアッシュお兄様はお気づきなのですか?」
「今はまだわかってないと思うけれど‥そのうちわかるんじゃないかしらね」
「どうなってもこのニーナはお役に立てませんよ?私目ではどう頑張ってもお兄様を止めることなどできませんので」
「大丈夫いざとなったら私がお兄様をこの手で‥ってまぁ今はそんなことどうでもいいわ。さっきお兄様に朝ごはん食べられなくされちゃったからお腹すいちゃったわ。」
そして目の前にあった厨房のドアを開ける。
「あ、アリシアお嬢様!!本日は大変申し訳ございませんでした!!アッシュ様にせがまれどうすることもできず‥」
「いいのよ料理長。その代わりちょっと厨房借りるわよ」
入った私を見つけるなりどたばたと駆け寄ってきて全力で自分の非礼を謝罪し始めた料理長‥
このやり取りも何回目だろうか。
何回も同じやり取りをしているから数えるのすら億劫だわ。
「今日は何を作ろうかしら‥」
この前は‥オムレツを作ったから~
ふと今日の献立を悩んでいると私の視界に真っ赤に完熟した大量のトマトが目にはいった。
「あら?これは?」
「それはお嬢様のお友達のミラさんからいただいた朝どりのトマトです。」
「ミラから?後でお礼しなくちゃね」
トマトがあるならトマトリゾットでも作ろうかしら。
普通のリゾットだとちょっと朝には重たいけど、トマトでさっぱりさせれば食べられそうね。
「さて‥それじゃパッパと作りますか。」
まずはお米をバターで炒めて~‥コンソメ、湯むきしたトマトを入れてアルデンテになるまでコトコト煮たら~蓋をして蒸して‥後は待つだけね。
ある程度蒸したらふたを開けてかき混ぜて、お皿に盛り付けたら完成ね。
「上からブラックペッパーとパセリを上から振りかけたら見た目もばっちりね!!」
「‥お嬢様少しよろしいですか?」
「何よ?あげないわよ?」
「い、いえ‥そういうことではなくてですね。以前からお嬢様のお料理の腕前を拝見していて思ったことなのですが、いったいどこでお料理のお勉強なんてなさったんですか?」
「ただでさえ自由な時間が少ないのに料理の勉強なんてできるわけないじゃない。」
これは紛れもなく本当のこと‥
剣術や勉学の時間が多すぎて、私に自由な時間なんてほとんどない。
その僅かな自由な時間も唯一の友達であるミラとの時間にあてているし‥
「で、ではなぜそんな本格的な料理が作れるんです?」
「ポンって急に頭の中に浮かんでくるのよ。後はそれをそのまま作ってるだけ」
こればかりは私も不思議なところがある。
やったことがないことなのに人並み以上にできたり‥
今回のように作ったことのない料理などのレシピが急に頭に思い浮かんできたりする。
幼いころからずっとこうなんだけれど、自分でもよくわかっていない。
「いやはや‥やはりお嬢様は天才なんですよ。ふつうそんなことできませんよ?」
「私なんかが天才だったらこの世界の人みんな天才以上になっちゃうわよ。まぁ、私のことが気になるのは分かるけれど今は先に食べさせてもらえないかしら?」
「あっ!!し、失礼しました!!どうぞごゆっくりお食べください。」
さてさて~冷める前に美味しくいただきましょ‥
「いただきま~す♪あ~むっ!!」
うーん‥美味しいわ!!
やっぱりトマトのさっぱりした酸味のおかげでとってもあっさり食べられるわ。
これも初めて作ったけど今回も成功ね。
「もっと味わって食べたかったところだけれど‥この後はミラに会いに行かないといけないし早く食べちゃいましょ」
今日は聖職の儀があるから剣術の稽古も勉学もない‥
こういう日は楽しむだけ楽しまなきゃね。
私は黙々とトマトリゾットを食べ進めた。
「はぁ‥美味しかった~ごちそうさまでした。」
食べ終わった後の口をナプキンで拭い食器を流しに片づける。
そのまま洗って片付けようとしていたところ料理長に止められてしまった。
「お嬢様‥そのような雑務は私の方でやりますので。」
「あら?いいの?じゃあお願いするわ。」
ここで私が無理やりやろうとしてしまうと料理長がいろいろと言ってくるからおとなしく任せることにする。
「さてとっ朝ごはんも食べたしそろそろミラのところへ行こうかしら」
「お着替えはなさいますか?」
「別に必要ないわ。」
「それではまた夕刻にお迎えに上がりますね?」
「別に来なくてもいいのよ?」
「そういうわけにもいきません、何せ今日はお嬢様にとって人生で一番大事な儀式なのですから。」
人生で一番大事ねぇ‥
その儀式でいったい何人が絶望するのかしら?
言い方を変えれば人生の成功者と敗北者を仕分ける儀式ね。
そんな儀式受けたくはないけれど、国の法律で決まっちゃってるから仕方がないわね。
「それじゃあちょっと行ってくるわね」
「お気をつけていってらっしゃいませ」
ニーナに見送られて私は家を出た。
あとはここから整備された道をまっすぐ進んでいけばミラの家が見えてくる。
ミラの家は農家だから大きな畑を持っている。
この辺では一番大きな畑だから行けばすぐにわかる。
「久しぶりに会うけれど元気にしてるかしら?」
ミラと会うのは半年ぶりぐらいかしら?
以前会ったときはミラの聖職の儀の時だったわね。
あの時ミラは最上級と行かないまでも上級職のマスターファーマーというジョブを授かっていた。
農家のミラにはぴったりのジョブだったわね。
マスターファーマーは豊穣の女神の加護を受けたジョブで、やせた土地を元気にしたりするスキルなどが使えるようになる。
「あの子頑張り屋さんだから無理して体を壊してないといいけれど‥」
ミラのことを心配しながらも、久しぶりの再会に胸を膨らませながら私はミラの住んでいる家を目指した。
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