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第3話 補助魔法万歳
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さっきの魔物の記憶から得た情報通りに道を進んでいるとようやく木々を抜けた先に街が見えてきた。だがしかし、ここで新たな問題が発生する。
「はぁ‥はぁ‥つ、疲れたのじゃ。」
森の中を歩き続けていたせいで足がまるで鉛のように重く感じる。いつもは自分で歩くことなんてなかったからこんな経験は初めてだ。
「そういえば自分に補助魔法をかけるのを忘れておったの。」
今まで自分にかけていた魔法は劣化防止の魔法ぐらいだった。今までカールにかけていた補助魔法の中から使えそうなやつをいくつか自分にかけるとしようかのぉ‥
「まずはこれじゃの、無尽蔵 エネルギーストック。」
魔法を詠唱し終えると先ほどまで苦しかった息がすぐに楽になり、体も軽くなり始めた。この魔法は詠唱にもある通り無尽蔵に体にエネルギーを作り蓄える魔法だ。しかもそのエネルギーの供給源は空気中に漂っている魔素だから自身の魔力切れなどを心配する必要もない。
まぁ、魔力切れなんぞ儂とは無縁のものじゃがの。
「お次は‥‥」
そして使えそうな補助魔法をふんだんに自分に使い、ようやく街へ向けて出発する準備ができた。足も体も万全だし、日が沈む前には街につかねばならんの。
「よし、では行くかの。」
今度は軽い足取りで再び街への道のりを進み始めるのだった。
◇
補助魔法をかけてからは整備されていない森の道でも足軽に進み、気が付けばもう街が目と鼻の先に迫っていた。
「案外あっという間じゃったな。補助魔法様様じゃのぉ。」
カールとの長年の研究で出来上がった補助魔法に心底ほれぼれしながら歩いていると、街に入り口に着いてしまった。
ここから先はカールの遺言にあった通りギルドとやらに向かい、カールの旧友のエルフに会わねばいけない。
「さてさて、まだ日も高いゆっくり街でも見物しながらギルドに向かうとしよう。」
ギルドの場所はわからんがまぁ、歩いていればそれらしい建物もあることだろう。そして街に入り人通りの多い通りを歩いていると魔導書の時には見ることが叶わなかったいろいろな景色がそこにはあった。
「すんすん‥何やらいい匂いがするのぉ‥‥そういえばこの体は味覚を感じることはできるのかの?こうして嗅覚があるということは味覚もあってほしいがの。」
もし、この体に味覚があれば今まで叶わなかった食事というものを堪能できるかもしれない。今までカールが美味しそうに食べていた物を眺めていることしかできなかったが‥この体ならもしかすると‥‥
くふふ‥せっかく人間の体になったのじゃ、魔導書の体の時にはできなかったことをめいいっぱいやりたいのぉ。それがきっとカールの望みでもあるはずじゃ。
上機嫌でいろいろな建物を眺めながら歩いていると、ふとある看板が目に付いた。
「冒険者‥‥ギルド?もしやあそこがカールの遺言にあったところかの?」
その看板が掲げてある建物に近づくと中からゲラゲラと品のない耳障りな笑い声が聞こえてくる。なかなか、中に入り辛い雰囲気ではあるが‥‥儂には目的があるのでな。
意を決し中へと入ると、ゲラゲラと笑っていた男たちの視線が一気に降りかかる。それを無視して進んでいると目の前に顔を赤く染めた男が立ちはだかった。
「おいおい嬢ちゃん、ここはガキが気軽に来ていい場所じゃねぇぞ~?」
「む‥‥失礼な奴じゃ。儂はこう見えてお主より長い時を生きておるぞ。」
男の言葉にムッとし、少し強い口調で言い返すと目の前の男とその周りにいた男たちが一斉にゲラゲラと笑い始めた。
正直やかましくてかなわない。
「ぎゃははは!!そ~んなちんちくりんな体で言われても説得力がねぇなぁ?」
「‥‥ちんちくりんじゃと?言ってくれるのぉ小童ども。」
男の言葉に少々頭に来たので一つ仕置きをくれてやることにしよう。人差し指を唇に当てて小声で詠唱をする。
「沈黙 サイレント」
「「「「「~~~~~~っ!?」」」」」
詠唱を終えた直後、先ほどまでやかましい声で笑っていた男たちが一斉に口を押え、開かなくなった口にしどろもどろしている。
「口は禍の元じゃ。肝に銘じておくがよい小童ども。そもそも儂は、おぬしらに用はないのじゃ。」
男たちを無視し、建物の奥へと進みサイレントの効果を受けていない女子に声をかける。
「のぉ、主‥ここのギルドにエルフはおらんか?」
「ひっ!!え、エルフですか?それでしたら‥ぎ、ギルド長が‥」
「そんなに怯えずともよい。そ奴にこれを渡して来てはくれぬか?」
怯えている様子だったので落ち着くよう促した後、アイテムボックスからあのカールの名前が刻まれたカードを取り出し彼女に渡した。
「え、あ‥は、はいっ!!ただいまっ」
カードを受け取った彼女は慌てて二階へと駆けあがっていく。その様子を見守っていると儂の前に急に影ができた。
後ろを振り返るとサイレントで口を封じられた男たちがこちらを睨み付けながら立っている。どうやらまだ仕置きが足りないらしいの。
「くっふふ‥‥なんじゃお主ら、まだ仕置きが足りぬのか?」
煽るようにクスリと笑いながら問いかけると‥‥
「~~~~ッ!!」
面白いぐらい簡単に挑発に引っかかった男の一人がその太い腕を振りかぶり殴りかかってくる。幼い少女のような外見をしている儂だが、そんなことはもう関係ないらしいの。
男の拳が届く刹那ぽつりと囁くように詠唱をする。
「防壁 プロテクトフィールド」
男の拳はぐしゃりと生々しい音を立てて突如儂を覆うようにして現れた魔力の壁に阻まれてしまう。その男は自分の拳を押さえてその場にへたり込み呻こうとしているようだが、声が出ずそれもかなわない。
そして一人の男が攻撃したのを皮切りに剣や弓、槌など多種多様な武器を構えた男たちが魔力の壁に攻撃し始める。
絶対に攻撃がこの壁を貫通してこないのを確信していたのであくびをしながらエルフのことを待っているとようやく、そ奴が金色の長い髪を振り乱しながら二階から降りてきた。
「はぁ‥はぁ‥つ、疲れたのじゃ。」
森の中を歩き続けていたせいで足がまるで鉛のように重く感じる。いつもは自分で歩くことなんてなかったからこんな経験は初めてだ。
「そういえば自分に補助魔法をかけるのを忘れておったの。」
今まで自分にかけていた魔法は劣化防止の魔法ぐらいだった。今までカールにかけていた補助魔法の中から使えそうなやつをいくつか自分にかけるとしようかのぉ‥
「まずはこれじゃの、無尽蔵 エネルギーストック。」
魔法を詠唱し終えると先ほどまで苦しかった息がすぐに楽になり、体も軽くなり始めた。この魔法は詠唱にもある通り無尽蔵に体にエネルギーを作り蓄える魔法だ。しかもそのエネルギーの供給源は空気中に漂っている魔素だから自身の魔力切れなどを心配する必要もない。
まぁ、魔力切れなんぞ儂とは無縁のものじゃがの。
「お次は‥‥」
そして使えそうな補助魔法をふんだんに自分に使い、ようやく街へ向けて出発する準備ができた。足も体も万全だし、日が沈む前には街につかねばならんの。
「よし、では行くかの。」
今度は軽い足取りで再び街への道のりを進み始めるのだった。
◇
補助魔法をかけてからは整備されていない森の道でも足軽に進み、気が付けばもう街が目と鼻の先に迫っていた。
「案外あっという間じゃったな。補助魔法様様じゃのぉ。」
カールとの長年の研究で出来上がった補助魔法に心底ほれぼれしながら歩いていると、街に入り口に着いてしまった。
ここから先はカールの遺言にあった通りギルドとやらに向かい、カールの旧友のエルフに会わねばいけない。
「さてさて、まだ日も高いゆっくり街でも見物しながらギルドに向かうとしよう。」
ギルドの場所はわからんがまぁ、歩いていればそれらしい建物もあることだろう。そして街に入り人通りの多い通りを歩いていると魔導書の時には見ることが叶わなかったいろいろな景色がそこにはあった。
「すんすん‥何やらいい匂いがするのぉ‥‥そういえばこの体は味覚を感じることはできるのかの?こうして嗅覚があるということは味覚もあってほしいがの。」
もし、この体に味覚があれば今まで叶わなかった食事というものを堪能できるかもしれない。今までカールが美味しそうに食べていた物を眺めていることしかできなかったが‥この体ならもしかすると‥‥
くふふ‥せっかく人間の体になったのじゃ、魔導書の体の時にはできなかったことをめいいっぱいやりたいのぉ。それがきっとカールの望みでもあるはずじゃ。
上機嫌でいろいろな建物を眺めながら歩いていると、ふとある看板が目に付いた。
「冒険者‥‥ギルド?もしやあそこがカールの遺言にあったところかの?」
その看板が掲げてある建物に近づくと中からゲラゲラと品のない耳障りな笑い声が聞こえてくる。なかなか、中に入り辛い雰囲気ではあるが‥‥儂には目的があるのでな。
意を決し中へと入ると、ゲラゲラと笑っていた男たちの視線が一気に降りかかる。それを無視して進んでいると目の前に顔を赤く染めた男が立ちはだかった。
「おいおい嬢ちゃん、ここはガキが気軽に来ていい場所じゃねぇぞ~?」
「む‥‥失礼な奴じゃ。儂はこう見えてお主より長い時を生きておるぞ。」
男の言葉にムッとし、少し強い口調で言い返すと目の前の男とその周りにいた男たちが一斉にゲラゲラと笑い始めた。
正直やかましくてかなわない。
「ぎゃははは!!そ~んなちんちくりんな体で言われても説得力がねぇなぁ?」
「‥‥ちんちくりんじゃと?言ってくれるのぉ小童ども。」
男の言葉に少々頭に来たので一つ仕置きをくれてやることにしよう。人差し指を唇に当てて小声で詠唱をする。
「沈黙 サイレント」
「「「「「~~~~~~っ!?」」」」」
詠唱を終えた直後、先ほどまでやかましい声で笑っていた男たちが一斉に口を押え、開かなくなった口にしどろもどろしている。
「口は禍の元じゃ。肝に銘じておくがよい小童ども。そもそも儂は、おぬしらに用はないのじゃ。」
男たちを無視し、建物の奥へと進みサイレントの効果を受けていない女子に声をかける。
「のぉ、主‥ここのギルドにエルフはおらんか?」
「ひっ!!え、エルフですか?それでしたら‥ぎ、ギルド長が‥」
「そんなに怯えずともよい。そ奴にこれを渡して来てはくれぬか?」
怯えている様子だったので落ち着くよう促した後、アイテムボックスからあのカールの名前が刻まれたカードを取り出し彼女に渡した。
「え、あ‥は、はいっ!!ただいまっ」
カードを受け取った彼女は慌てて二階へと駆けあがっていく。その様子を見守っていると儂の前に急に影ができた。
後ろを振り返るとサイレントで口を封じられた男たちがこちらを睨み付けながら立っている。どうやらまだ仕置きが足りないらしいの。
「くっふふ‥‥なんじゃお主ら、まだ仕置きが足りぬのか?」
煽るようにクスリと笑いながら問いかけると‥‥
「~~~~ッ!!」
面白いぐらい簡単に挑発に引っかかった男の一人がその太い腕を振りかぶり殴りかかってくる。幼い少女のような外見をしている儂だが、そんなことはもう関係ないらしいの。
男の拳が届く刹那ぽつりと囁くように詠唱をする。
「防壁 プロテクトフィールド」
男の拳はぐしゃりと生々しい音を立てて突如儂を覆うようにして現れた魔力の壁に阻まれてしまう。その男は自分の拳を押さえてその場にへたり込み呻こうとしているようだが、声が出ずそれもかなわない。
そして一人の男が攻撃したのを皮切りに剣や弓、槌など多種多様な武器を構えた男たちが魔力の壁に攻撃し始める。
絶対に攻撃がこの壁を貫通してこないのを確信していたのであくびをしながらエルフのことを待っているとようやく、そ奴が金色の長い髪を振り乱しながら二階から降りてきた。
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