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第三章 終焉を呼ぶ七大天使

第171話 メタモルフォーゼの可能性

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 朝食を食べ終えてからルアは一人ロレットの城にある図書室へと向かった。そして図書室へと着いたルアは、数ある本棚の中からある本を探していた。

「えっと……図鑑、図鑑は~……どこだろ?」

 自分よりはるかに背丈の高い本棚の間をうろうろとルアは歩き回り目的の本を探す。彼が探しているのはこの世界に住んでいる魔物娘たちの図鑑。どうやら彼はそれをもとに今日は修業を行うようだ。

 そして図書室の中をうろうろすること数分……ようやく彼が探していた本が見つかった。

「あった!!あれだっ!!」

 しかし見つけたのも束の間、新たな問題が発生した。

「ど、どうやってあれとろうかな。」

 不幸にもルアの求めていた本は、高い本棚の一番上の段に納まっていた。爪先で立ってみたり、ピョンピョンと跳び跳ねてなんとか取ろうとするが、ルアの手が届く気配はない。

「だ、ダメだ届かないや。確かあっちの方に梯子があったはず……。」

 諦めて梯子を取りに向かおうとした時だった。

 ヌッ……とルアの背を飛び越え、彼が欲しかった本に手が伸びた。

「えっ……り、リリィ?」

「んっ。」

 ルアの背後に立っていたのはリリィだった。体から植物の根を生やし、体を持ち上げ、手の届かないところにあった本を易々と手に取った。

「ルア、これで……いい?」

「ありがとうリリィ。助かったよ。」

 ルアがリリィへとお礼を述べると彼女はスッと頭を差し出してくる。いつもの撫でて欲しいという表現だ。

 リリィの頭にルアはそっと手を乗せると、優しく彼女の頭を撫でた。するとリリィはいつものように嬉しそうな表情を浮かべた。

「リリィってホント撫でられるの好きだよね。」

「……ルアは撫でるの……嫌い?」

 ポツリと溢したルアの言葉に、思わずしゅんとした表情へと変わったリリィ。

「あ、違……そういうことじゃなくて、ホントにリリィはこれが好きなんだな~って思っただけで……。」

「ふふ♪なら……よかった。」

 安心したのか、リリィはホッと安らいだ笑顔を浮かべた。そしてルアに撫でられて満足した彼女は、ルアにあることを問いかける。

「そういえば……ルア、これどうするの?」

 リリィはルアが持っている図鑑を指差した。

「あぁ、これ?今からこれを見て、いろんなメタモルフォーゼを試そうかなって思ったんだ。」

 そう答えたルアの言葉にリリィは目を輝かせながら、彼に詰め寄った。

「面白そう……リリィも一緒に見てていい?」

「べ、べつにいいよ?」

「なら早くやろ?リリィ早く見たい。」

 少し興奮気味のリリィはルアのことをひょいと抱き上げると、彼をお姫様抱っこして図書室を飛び出した。

「わぁ!?り、リリィ落ち着いて!!」

「ダメ、リリィ早く見たい。」

 そしてリリィはルアをお姫様抱っこしたまま城の中を駆ける。その道中……トリトニーとすれ違い、ルアは彼女にバッチリお姫様抱っこをされている現場を目撃されてしまう。

「あらあら~、廊下は走っちゃダメですよ~?クスクス、でも面白いものが見れたので目は瞑っておきますね。」

 そんな現場を目撃してしまったトリトニーはクスリと笑いながら去っていった。

「り、リリィ!!お願いだから下ろして?」

「もう着いた。」

「え?」

 次にルアが地へと下ろされたのは、自室だった。ポカンと呆気にとられているルアを置いて、リリィは先ほど図書室から持ってきた本を開き、ルアへと突き出してくる。

「ルア、どれからやる?これとかも良さそう……でもこっちもいいかも……全部やろ?」

「わ、わ、ちょ……ちょっと落ち着こリリィ?」

 ルアはリリィを落ち着かせるために彼女の頭に手を置いた。すると、興奮していたリリィは途端に大人しくなり落ち着きを取り戻した。

「……落ち着いた?」

「うん……ごめんルア。」

 しょぼんと肩を落とすリリィの頭をルアは優しく撫でた。

「怒らない?」

「これぐらいで怒んないよ。そもそもボク怒るのそんなに得意じゃないし……。」

「そう……なんだ。ちょっと安心。」

 ルアの言葉にホッと胸を撫で下ろすリリィ。

「っと、それじゃあリリィも落ち着いたみたいだし……早速やってこっか。」

「うん!!」

 そしてルアは図鑑のページをパラパラと捲り始める。

「ふぇ~……魔物娘ってひとえに言っても、すっごくたくさんいるんだなぁ~。これを読むだけでも一日かかっちゃいそう。」

 予想外の種類の多さにルアは思わずそう溢した。

「とりあえず気になったやつからどんどんやっていこうかな。まずは~…………これっ!!メタモルフォーゼ。」

 ルアは図鑑に乗っている絵をもとに、その魔物娘を強く心で思い描くと、メタモルフォーゼと口にした。すると、彼の体が光に包まれていく。
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