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第一章 転生そして成長
第53話 ルアの本気?
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ふと、ルアの意識が戻ってくると、彼は自分の部屋にいた。当たりをキョロキョロと見渡してみると……。
「…………??…………!?」
「く~……く~……。」
「ん~むにゃ…………。」
ルアのベッドに由良とロレットの二人が横たわり、気持ちよさそうにぐっすりと眠っていた。
「お母さんに……ロレットさん?なんでこんなところで……。」
ふと、首をかしげていると、頭の上から声が聞こえた。
「そっとしておいてやってくれ、妾とさんざん手合わせをしたから疲れてしまったのだ。」
「東雲さんと手合わせを?」
「うむ、お前の体を借りてそこに寝ている二人の力を試していたのだ。」
ルアの頭の上に居座る東雲が、前足で二人のことを指し示した。
少し上を見上げると、ぷにぷにで柔らかそうな肉球が見える。
(触ってみたいな~。でもきっとだめって言われちゃうよね。)
そんなことを思っていると、東雲がするりと肩から降りてきてルアの耳元で話し始めた。
「おい、妾は腹が減ったぞ。お前何か料理は作れぬのか?」
「えっ?りょ、料理……ですか?ある程度のものなら作れますけど……。」
「ならば今すぐ作れ。妾はこう見えて大食らいだからな、大量に作って構わんぞ。」
「わ、わかりました。」
「……もしお前の作ったもので妾を満足させることができたのなら…………褒美として、先ほどから熱い視線を送ってきているこの肉球を触らせてやっても良いぞ?」
東雲は自分の手で自分の肉球をぷにぷにと触って見せて由良を誘惑するように言った。すると俄然やる気が出てきたのかルアは、それにこたえるように言った。
「言いましたね!?絶対に満足させて見せますからっ!!」
メラメラと炎を燃やし始めたルアは、東雲を連れて厨房へと向かうそして冷蔵庫を開けると大量の食材をもってきて、台の上にそれらを並べると、すさまじいスピードで野菜を切り肉を切り、あっという間に料理を作っていく。
「おぉ、なんという素晴らしい手際。」
ルアの手際のよさに思わず東雲はそう溢した。
ちなみにルアはこの城の冷蔵庫に入っている食材を全て使っても良いとロレットに言われているため、ふんだんに使うことができるのだ。
焼いたり揚げたり、蒸したり等々をしているうちに、あっという間に辺りに空腹をくすぐるよい香りが充満し始めた。
「んん~良い香りじゃ。なかなか食欲をそそられるではないか。」
そして、ルアは東雲の前に次々と出来上がった料理を並べ始める。数十種類もの料理が東雲の座る円卓の上に並べられ、最後の料理を配膳すると、ルアは大きく息を吐いた。
「ふぅ~……こ、これでどうですかっ!!」
「おぉ~!!これは凄い……いったい何品あるのだ?というか、これは何の料理なのだ?妾はこんなもの見たことがないぞ?」
「これは中国って国に伝わっている満漢全席っていうのを模した料理です。ホントは数百種類の料理を作るらしいんですけど……流石に食材が足りませんでした。」
満漢全席とは、中国の最も偉い人が、その職位に就いた際に何日もかけて食べられていたと言われる料理だ。
その料理の数は何百種類と言われていて、その中にはいわゆるゲテモノ料理と言われるものも多々あったという。例えば、今でこそ危険な病原菌が潜んでいて食べることが危険と言われている猿脳も、高級な珍味として食べられていたとか……。
「中国?満漢全席?ふむ、聞いたことがない。だが、この料理は……見ているだけでどんどん腹が減ってくるようだ。」
今にも東雲の口からは涎がポタリとテーブルに垂れそうになっている。
「さて、では冷める前に早速頂くとしようか。」
東雲はそう口にすると、ポン!!という音と共に体が煙で覆われ、次の瞬間には本来の仙狐の姿に化けていた。
そして箸で料理を掴もうとしたその時だった……。
「こちらから随分旨そうな匂いがするのじゃ~。」
「うむ、もう我の腹と背中がくっついてしまいそうだ。」
「むっ!?」
厨房の入り口から顔を出したのは由良とロレットだった。どうやら二人ともルアが作る料理の匂いに釣られて、ここに誘われてきてしまったらしい。
そして二人は、東雲の前に広がっている満漢全席を模した大量の料理を目にすると、思わず口元から涎を溢しそうになっていた。
そんな二人を見て、ポタリと一つ冷や汗が顔を伝った東雲は目の前に広がる料理を守るように立ちはだかった。
「お、お前たちこれは妾の料理だぞ!?」
「東雲様、独り占めはいけませんですのじゃ。」
「うむ、それにその料理に使われている食材はこの城の物。我にはそれを食す権利があるっ!!」
二人に詰め寄られた東雲は、ギリリと歯軋りをすると突然料理の方に向き直り、凄まじい勢いで食べ始めた。
「こうなれば、お前ら二人に食われる前に全部食いきってやるまでよっ!!」
「そうはさせませぬのじゃ!!」
「ルア!!我らの分の箸もくれっ!」
「は、はい~。」
由良とロレットが合流したことによって、再び忙しくなるルアだった。
「…………??…………!?」
「く~……く~……。」
「ん~むにゃ…………。」
ルアのベッドに由良とロレットの二人が横たわり、気持ちよさそうにぐっすりと眠っていた。
「お母さんに……ロレットさん?なんでこんなところで……。」
ふと、首をかしげていると、頭の上から声が聞こえた。
「そっとしておいてやってくれ、妾とさんざん手合わせをしたから疲れてしまったのだ。」
「東雲さんと手合わせを?」
「うむ、お前の体を借りてそこに寝ている二人の力を試していたのだ。」
ルアの頭の上に居座る東雲が、前足で二人のことを指し示した。
少し上を見上げると、ぷにぷにで柔らかそうな肉球が見える。
(触ってみたいな~。でもきっとだめって言われちゃうよね。)
そんなことを思っていると、東雲がするりと肩から降りてきてルアの耳元で話し始めた。
「おい、妾は腹が減ったぞ。お前何か料理は作れぬのか?」
「えっ?りょ、料理……ですか?ある程度のものなら作れますけど……。」
「ならば今すぐ作れ。妾はこう見えて大食らいだからな、大量に作って構わんぞ。」
「わ、わかりました。」
「……もしお前の作ったもので妾を満足させることができたのなら…………褒美として、先ほどから熱い視線を送ってきているこの肉球を触らせてやっても良いぞ?」
東雲は自分の手で自分の肉球をぷにぷにと触って見せて由良を誘惑するように言った。すると俄然やる気が出てきたのかルアは、それにこたえるように言った。
「言いましたね!?絶対に満足させて見せますからっ!!」
メラメラと炎を燃やし始めたルアは、東雲を連れて厨房へと向かうそして冷蔵庫を開けると大量の食材をもってきて、台の上にそれらを並べると、すさまじいスピードで野菜を切り肉を切り、あっという間に料理を作っていく。
「おぉ、なんという素晴らしい手際。」
ルアの手際のよさに思わず東雲はそう溢した。
ちなみにルアはこの城の冷蔵庫に入っている食材を全て使っても良いとロレットに言われているため、ふんだんに使うことができるのだ。
焼いたり揚げたり、蒸したり等々をしているうちに、あっという間に辺りに空腹をくすぐるよい香りが充満し始めた。
「んん~良い香りじゃ。なかなか食欲をそそられるではないか。」
そして、ルアは東雲の前に次々と出来上がった料理を並べ始める。数十種類もの料理が東雲の座る円卓の上に並べられ、最後の料理を配膳すると、ルアは大きく息を吐いた。
「ふぅ~……こ、これでどうですかっ!!」
「おぉ~!!これは凄い……いったい何品あるのだ?というか、これは何の料理なのだ?妾はこんなもの見たことがないぞ?」
「これは中国って国に伝わっている満漢全席っていうのを模した料理です。ホントは数百種類の料理を作るらしいんですけど……流石に食材が足りませんでした。」
満漢全席とは、中国の最も偉い人が、その職位に就いた際に何日もかけて食べられていたと言われる料理だ。
その料理の数は何百種類と言われていて、その中にはいわゆるゲテモノ料理と言われるものも多々あったという。例えば、今でこそ危険な病原菌が潜んでいて食べることが危険と言われている猿脳も、高級な珍味として食べられていたとか……。
「中国?満漢全席?ふむ、聞いたことがない。だが、この料理は……見ているだけでどんどん腹が減ってくるようだ。」
今にも東雲の口からは涎がポタリとテーブルに垂れそうになっている。
「さて、では冷める前に早速頂くとしようか。」
東雲はそう口にすると、ポン!!という音と共に体が煙で覆われ、次の瞬間には本来の仙狐の姿に化けていた。
そして箸で料理を掴もうとしたその時だった……。
「こちらから随分旨そうな匂いがするのじゃ~。」
「うむ、もう我の腹と背中がくっついてしまいそうだ。」
「むっ!?」
厨房の入り口から顔を出したのは由良とロレットだった。どうやら二人ともルアが作る料理の匂いに釣られて、ここに誘われてきてしまったらしい。
そして二人は、東雲の前に広がっている満漢全席を模した大量の料理を目にすると、思わず口元から涎を溢しそうになっていた。
そんな二人を見て、ポタリと一つ冷や汗が顔を伝った東雲は目の前に広がる料理を守るように立ちはだかった。
「お、お前たちこれは妾の料理だぞ!?」
「東雲様、独り占めはいけませんですのじゃ。」
「うむ、それにその料理に使われている食材はこの城の物。我にはそれを食す権利があるっ!!」
二人に詰め寄られた東雲は、ギリリと歯軋りをすると突然料理の方に向き直り、凄まじい勢いで食べ始めた。
「こうなれば、お前ら二人に食われる前に全部食いきってやるまでよっ!!」
「そうはさせませぬのじゃ!!」
「ルア!!我らの分の箸もくれっ!」
「は、はい~。」
由良とロレットが合流したことによって、再び忙しくなるルアだった。
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