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第9章 新たな生活
第307話 ナインとスリーとセブン
しおりを挟む三人に囲まれると、すぐにナインとセブンの二人が同時に床を蹴って急接近してきた。
「ふっ!!」
ナインの剣を弾き、後ろにバックステップするとその体勢に向かってセブンの槍が飛んでくる。真っすぐに向かってくるその槍を上から足で踏みつけ床にたたきつけた。
そして反撃しようとすると、そこにスリーの正確無比な弾丸が放たれた。
「さすがのコンビネーションだな。」
スリーの弾丸は跳弾までも計算されている弾丸だ。避ければ後ろの壁で跳ね返って軌道を変えて追撃してくる。
それを懸念して俺はその弾丸を全て剣で弾き落とす。
「これで良し。」
「マスター隙ありです。」
「うっ……。」
その弾丸を弾き落としている間にナインとスリーが間合いまで急接近していた。
さすがに対処のしようがないとガードの体勢に入ると声が響く。
『反撃します。』
「「っ!?」」
自動反撃の合図となるその声が響くと、俺の体は勝手に動き迫りくるナインとセブンの攻撃を龍化によって即座に生やした翼で宙に羽ばたき回避すると、上から飛閃を放ったのだ。
さらにその飛閃を武器で防いだ二人の懐に潜り込むと二人の武器を剣で弾き飛ばした。
「し、しまっ!!」
そして残るスリーも無力化するべく彼女へと近づくと、突然彼女はぺこりと頭を下げた。
「参りましたマスター。」
「へ?」
「非常に残念ですが、スリーたち三人では現状マスターの実力を測ることはできないようです。」
「でもみんな多分全力を出してないだろ?」
「これ以上出力を上げてしまうと模擬戦ではなくなってしまいますので。今はマスターの実力は計り知れないという結果が得られただけで十分です。」
そして三人は武器を収めた。
「それにしてもマスターの急激な成長には驚くばかりです。大幅な身体能力の上昇、そしてスキル。どれをとっても以前のマスターとは別人のようです。」
ナインはそう言った。
「そうは言ってもナインたちの全力を相手にしたわけじゃあないからな。ナインだってアリス流剣術全然使ってなかったろ?」
「否定はできませんね。出力を全開にしなければ参の太刀からは使えませんから。」
「そういうことか。」
できればそろそろ参の太刀を覚えたいと思っていたんだが、それはもう少し後回しになりそうだな。
「それではマスター、いまのところは計測は終了です。お疲れさまでした。」
「ん、わかった。」
そしてトレーニングルームを後にしようとしたが、俺はあることをナインに告げることを忘れていた。
「あ、そういえばナイン。」
「どうかしましたか?」
「使ってた剣なんだが、ぽっきり折れちゃったんだよ。」
「見せていただけますか?」
「もちろんだ。」
俺は折れた剣をナインに見せた。するとナインは剣を眺めて言った。
「なるほど、わずかな刃こぼれ……これを見る限り何かとてつもなく硬いものを切りましたか?」
「あぁ、オーガアレスって魔物を切ろうとしたら折れたんだ。」
「そうでしたか。まぁこちらの剣は前にも言ったように失敗作。いつかは折れる日が来るとは予想していました。」
そしてナインから折れた剣を受け取ろうとしたとき、アーティファクトがまた形を変えまるで液体のようになったかと思えば、折れた剣を丸ごと飲み込んだのだ。
「な、なんだ?」
まるで咀嚼するようにもぐもぐと動くと、突然床にペッと鉱石の塊のようなものを吐き出した。
「これは……。」
ナインはそれを拾い上げるとじっと眺める。
「これは魔力鉄の粒子の塊ですね。あの剣の中に含まれていた不純物の塊です。」
「なんでまたこのアーティファクトはいきなり剣を飲み込んだりそんなものを吐き出したりするんだ。」
「詳しくはわかりません。ですが、そのアーティファクトを調査すれば何かわかるかもしれませんね。」
「なら多分今日はもう使わないから、調べてくれないか?」
「承知しました。」
「それじゃよろしくな。」
そしてナインにアーティファクトの解析を依頼して俺は自室へと戻るのだった。
自室へと戻るなリ、今まで息をひそめていたナナシが声を上げた。
『ふむ、やはり主の体は完成へと着実に一歩一歩近づいているな。さっきの戦いで確信したぞ。』
「ってか前々から気になっていたんだが、俺が完成したらどうなるんだ?」
『無論主は完全に龍になり、龍の王として降臨するだろう。』
「龍の王って、完全に人じゃなくなるわけか。なんかそれもいやだなぁ。」
『ならばそのままメスの体で過ごすか?』
「それはもっと御免だよ。」
俺はそのままベッドに横になるとアルマ様のご飯の時間まで仮眠をとるのだった。
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