248 / 350
第7章 動き出すヒュマノ
第248話 舞い込んだ依頼
しおりを挟むパラシミアが殺され、世界樹の果実が奪われたというクリスタの報告から数日後……。
今日も今日とて俺はナイン達と戦闘訓練に励んでいたのだが、そこへアルマ様達が突然やって来た。
「あ、カオルやっぱりここにいた~!!」
「アルマ様?」
今しがた戦っていたセブンと戦いの手を止めると、アルマ様はこちらにとことこと歩み寄ってきた。
「カオル、今日ねアルマ達また魔物討伐しに行くんだけど……なんかリルがラピスだけじゃダメって言うんだよ~。」
「ラピスだけじゃダメ?ですか?」
「うんうん、なんかカオルも一緒じゃなきゃダメな依頼らしいんだ~。」
「なるほど。」
リルがそこまで言うってことは相当難しい依頼なのか?もしもの時にラピスだけじゃ対応できない可能性がある……ってことだよな多分。
「因みにどんな魔物の討伐依頼なんですか?」
ふと気になった俺はアルマ様に問いかけてみた。
「えっと~……この魔物っ!!」
そう言ってアルマ様は一枚の依頼書を俺に手渡してきた。そこに書いてあったのは……。
「キメラの討伐?場所は……ヒュマノのとの国境付近!?」
キメラという魔物は聞いたことのない魔物だが、場所が兎に角悪いな……ヒュマノとの国境付近か。
依頼書を見ながらどうするかを悩んでいると、後ろからナインが耳打ちしてくれた。
「マスター、キメラは異なる魔物同士の交配で産まれた言わば奇形の魔物です。」
「ふむ。」
「キメラは二つの魔物の能力を引き継いでおり、強さ的にもかなり強い部類に入るかと。」
「なるほどな。」
キメラって魔物のことは大方理解した。だが、二つの魔物を足しただけで、この三人に勝てるとは思えない。
恐らく俺とラピスの仕事はこの三人にヒュマノの国境を踏み越えさせないようにする事か。
リルの意図を少しずつ汲み取っていると、再びナインが耳打ちしてくる。
「しかしですマスター、キメラというのは自然界ではまず産まれません。そうなると、何者かが人工的に魔物と魔物を交配させ産み出した可能性があるかと。」
「……。」
ま~たきな臭い話になってきたぞ~?それに場所がヒュマノの国境近く……偶然なのかなぁこれは。
「マスター、提案ですがセブンを連れていってはいかがでしょうか?」
「セブンを?」
「はい、過剰戦力かもしれませんが……少しでも懸念がある以上、連れていって損はないかと。」
「……そうだな。」
俺は読み終えた依頼書をアルマ様に返すと言った。
「わかりました、それじゃあ俺もラピスと一緒にいきます。それと、念のためセブンも一緒に。」
「うん!!ありがとーカオル!!」
「カオルさんありがとうございます。」
「パパ、ありがと。」
わいわいとはしゃぐアルマ様達の横で俺はセブンに声をかけた。
「セブン、今回はよろしくな。」
「お任せくださいマスター。」
そして皆でギルドへと赴くと、そこには既にリルとラピスの姿があった。
「あ、良かった~。キミも来てくれたんだね。」
「はい。」
「それと……そっちの娘は?」
「初めまして、セブンと申します。つい先日魔王城にてメイドとして雇われました。」
「またメイド!?ジャックのやつ……ハーレムかなんか作ろうとしてない!?」
「ははは、そんなことないと思いますよ。それにセブンは俺よりも強いので、期待していいと思います。」
「うへぇ……魔王城のメイドさんってどうなってるの?採用条件がキミより強いとか?」
「いえ、いたって普通ですよ?」
「それにしては強いのが集まってると思うけどなぁ。……ま、いっか。じゃあ今回の依頼について説明するね。」
そしてリルは今回発生したというキメラについての情報を話した後、俺とラピス、セブンの役割についても話し始めた。
「魔王様達はもちろんキメラに集中してもらっていいんだけど、国境は踏み越えないように。キミ達はしっかり周りを警戒しててね?」
「わかっておる。」
「わかりました。」
まぁつまりはヒュマノから何かしらちょっかいをかけてこないかしっかりと警戒していてほしいということだ。それと、間違ってもアルマ様達が国境を踏み越えないようにサポートするのが今回の仕事だな。
「それじゃあ頼んだよ?」
「任せてよ!!もうちゃっちゃと倒してくるから。ねっ?カナン、メア?」
「うん!!」
「早く終わらせてパパに褒めてもらう。」
そしてメアがトンと床を足で叩くと俺達の真下に魔法陣が現れ、光を放っていった。
0
お気に入りに追加
90
あなたにおすすめの小説

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。

転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
やっと買ったマイホームの半分だけ異世界に転移してしまった
ぽてゆき
ファンタジー
涼坂直樹は可愛い妻と2人の子供のため、頑張って働いた結果ついにマイホームを手に入れた。
しかし、まさかその半分が異世界に転移してしまうとは……。
リビングの窓を開けて外に飛び出せば、そこはもう魔法やダンジョンが存在するファンタジーな異世界。
現代のごくありふれた4人(+猫1匹)家族と、異世界の住人との交流を描いたハートフルアドベンチャー物語!
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる