212 / 350
第6章 龍闘祭
第212話 龍昇華の本当の効果
しおりを挟む俺が優勝賞品だった龍昇華の果実を食べたあと、五龍会合は幕を閉じ、五老龍達は各々どこかへと飛び去っていった。
各々が飛び去っていくなか、最後まで残っていた俺とラピス。二人だけになるとラピスはため息混じりに口を開いた。
「全く、龍昇華の果実が賞品として出てきたのはよいが……まさかステータスの果実と変わらんものだったとはのぉ~。」
「俺が龍じゃなかったから本当の効果が発揮されなかったのかもしれないぞ?」
「それもあるやもしれんが……それにしてもだ。伝承にあるような強大な力、そして龍としてさらに進化するようなモノには我は見えなかったな。エルデの言っていた通り眉唾物だったか。伝承とは信じるだけ無駄だな。」
残念そうにラピスは呟くと龍の姿へと変身した。
「まぁ、此度の目的は達成した。我のカオルの優秀さをやつらに知らしめることができたからな!!さぁ、帰るぞカオル。」
「あぁ、そうだな。」
ラピスの背中にしがみつくと彼女は大きく翼を一つ羽ばたかせた。すると一気に遥か上空へと舞い上がる。
「さぁ行くぞ~!!」
「くれぐれも安全運転でな。」
「むはははっ!!善処する!!」
ラピスはそう言ったものの、彼女の機嫌が良かったせいか、最初にここに来たときよりもかなりスピードを出して飛んでいた。
そしてひたすらにラピスにしがみついていること数分で、あっという間に魔王城の城下町の近くに着陸した。
そこでラピスは人の姿へと姿を変える。
「うむ、昼飯前には着いたな。」
「どっかの誰かさんが飛ばしすぎたせいで、まだ昼ごはんまではかなり時間があるぞ。」
そうなると、城へと帰って俺を待っているのはスリーとナインによる戦闘訓練。五老龍の従者達を相手したあとにあれをやらされるのはなかなかキツいなぁ。
そんなことを思いながら城へと戻ると、以前見たことのある光景が俺を待っていた。
「「おかえりなさいませマスター。」」
「ただいま、ナイン、スリー。」
城へと帰って来た俺を待っていたのはナインとスリーだった。この光景は前にも見たことがある。ちょうどカナンとラースホエールを倒したあとと同じだ。
今回は戦闘訓練に連れていかれるのかな~と思っていると、いつの間にかフッと目の前から姿を消した二人に俺は両腕を拘束されていた。
「!?!?」
「マスター、帰って来て早速で申し訳ないのですが……メディカルチェックを受けていただきます。」
俺の右腕を拘束するスリーがそう言った。
「め、メディカルチェックって……前にやったじゃないか?それに今回はスキルを使いすぎた感じもしないし……必要か?」
「確かにスキルの過剰使用の傾向は無いようです。ですが、マスターのステータスが今朝と違っているのはどうしてでしょうか?」
「それは龍昇華の果実って果物を食べたからで……。」
そう説明すると、ナインとスリーは顔を合わせてコクリと頷く。
「やはりメディカルチェックが必要です。ついてきて頂きます。」
「あ、え?ちょ、ちょちょっ!?」
そしてズルズルと俺は二人に引き摺られ、城の中へと連れ込まれると、彼女達の部屋に連れ込まれベッドの上へと寝転がされた。
二人は以前と同じように俺の体にペタペタと何かの器具を取り付けていく。その最中スリーが口を開く。
「マスターは龍昇華というものが何なのかご存知でしょうか?」
「いや……詳しくは知らないけど、なんか龍が進化するのを促す?みたいな話は聞いたけど。」
「はい、龍昇華の果実は龍種を進化へと導き、力を大きく高めるものです。しかし、それはあくまでも食するのが龍しかいなかった故に広まった伝承です。龍昇華の果実にはもう一つ……ある効果があるのです。」
「へぇ、その効果ってのは?」
「龍昇華の果実を口にした龍種以外の種族の肉体を龍種へと近付けるという効果があるのです。」
「はいっ!?」
じゃああれを食べた俺は……人間から龍に変わり始めてるってことなのか!?
「ですからメディカルチェックが必要なのです。なにせ、龍種が食したという記録は多く残っているのですが、人間がそれを食した後の記録が少ないのです。」
それならもう甘んじてメディカルチェックは受けておこう。食べてしまった以上もう後戻りはできないし、自分の体に何が起こり始めているのか知っておかないと……な。
0
お気に入りに追加
88
あなたにおすすめの小説
転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?
N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、
生まれる世界が間違っていたって⁇
自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈
嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!!
そう意気込んで転生したものの、気がついたら………
大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い!
そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!!
ーーーーーーーーーーーーーー
※誤字・脱字多いかもしれません💦
(教えて頂けたらめっちゃ助かります…)
※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる