200 / 350
第5.5章 大きくなりたいメア
第200話 ラピスのお願い?
しおりを挟むアルマ様やカナン、そしてメアまでもが成長を遂げてから幾日か日が経ったある日……突然俺の部屋にラピスが訪ねてきた。
「カオル、ちと良いかの?」
「ん?ラピスか、改まってどうしたんだ?」
ラピスがこうして改まって訪ねてくることは珍しい。何があったのだろうか?
俺は彼女を部屋の中に招き入れると、一先ずお茶をだした。
「感謝する。」
「ほんで?何があったんだ?」
「うむ、今回おぬしを訪ねた用件なのだが……実は近々五龍会合があってな。」
「五龍会合?」
「我が五老龍が一角であることは知っているだろう?」
「あぁ。」
「10年に一度、我らが一堂に会する場があるのだ。それが明日開かれる。」
「ほぉん?んで、それに行くから留守にする……って事か?」
「いや、そうではないのだ。その会合に我の立会人としておぬしを連れていきたいのだ。」
「はい?」
「五老龍は我のような例外を除き、皆自分に付き従う龍の筆頭になっている。昔から会合には一人付き人をつけることが許可されているのだ。」
「つまり、今回ラピスは俺のことを付き人として連れていきたいってことか?」
「そういうことだの。」
「まぁ、別に行くだけなら構わないが……。」
特に明日予定があるわけでもないし、アルマ様達の料理は作り置いておけばいいしな。
「今まではラピスは一人で行ってたんだろ?」
「うむ。我は何者かを率いることは嫌いだったからな。」
「それがなんでまた、急に俺を連れていこうと?」
「よくぞ聞いてくれたな。我以外の五老龍どもはいつも自分の強さを誇示するために、自分の右腕を連れてくるのだ。カオル、おぬしならば実力も充分。」
「なるほどな。」
「だが、我の目的は別にある!!」
「ほぉ?」
「むっふふ、我は他の龍が羨む表情を見たいのだ。それで、カオルよ我に美味い弁当を作ってはくれまいか?」
「…………んん?それと他の龍が羨むことに何の関係があるんだ?」
「決まっている。我がやつらの前でおぬしの美味い飯をさぞかし美味そうに喰う……さすれば他の龍どももおぬしの飯が食いたくて仕方がなくなる。」
「そう上手くいくか?」
他の五老龍がラピスみたいに食欲に素直だとは思えないんだが。
「むっふふ問題ない。他の龍どもは我のように舌が肥えておらん。故に生の肉の味しか知らんのだ。」
「それなら……まぁたしかに上手くいくかもしれないが。」
「そして奴等が羨んでいるところで、我が喰っていた弁当と同じものを他の龍どもにも喰わせてやるのだ。二度とカオルが作った飯の味が忘れられなくなるように……な。」
くつくつとラピスは悪い笑みを浮かべる。なかなか考えていることはえげつない。
ちゃんとした料理というものを知らないやつに俺の作る料理を食べさせてやれば……普段食べている生の肉とかは食えなくなるだろう。
ラピスの言っていることを実現させるなら、脳の記憶に張り付いて離れなくなるような料理を考える必要がありそうだが、意外と……料理というものを知らないやつには単純で、美味しい物の方が記憶に残りやすい。
「で、ラピス狙いはわかったんだが……。そんなことをして何の意味がある?」
「無論意味はある。我がおぬしという戦闘力もあり、尚且つ優秀な者を従えているという証明になる。」
「……まぁわかった。やるだけやってみるよ。」
「うむ!!頼むぞ!!」
首を縦に振ると、彼女は嬉々とした表情を浮かべる。そして次に口を開いたときとんでもないことを口走る。
「あ、そういえば言い忘れておったが……その~明日の五龍会合では従者同士の仕合もあるからの。」
「はっ!?仕合!?」
「うむ。」
「ほかの龍の……連れてきた奴と戦うってことか!?」
「うむ!!」
「……………それを先に言ってくれ。」
「むははは、すまぬ。すっかり忘れておった。」
笑って済むことじゃないぞ……。龍と戦うことが決定してるじゃないか。
「ちなみに武器は?」
「無論使って構わぬ。殺しは無しだがな。」
なら剣を使っても構わないな。龍相手だし……素手だと少しばかり厳しいだろ。
こうして俺はラピスたち五老龍の会合に参加することになった。そしてラピスの右腕として他の五老龍の連れてきた従者達と仕合をすることになったのだった。
0
お気に入りに追加
88
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる