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第5章 成長する2人

第163話 ナインとメア

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 次なる目標が定まった俺は、早速アーティファクトのことを聞くためにナインにコンタクトをとることにした。名前を呼べばすぐに駆けつけてきてくれるが、彼女たちのメイドとしての仕事を邪魔することになるからな。わざわざ呼び出すことじゃあないし……。

 そうして城の中を歩いていると、窓の外で花壇の整備をしているナインの姿が目に入った。

「お?今は花壇の整備中か。」

 ナインを見つけた俺は早速城の外に出て城の庭園へと向かう。するとメアと一緒に花壇に水をやるナインの姿があった。

「あ!!パパ来た。」

「マスター?」

 俺の姿に気が付くと、メアはこっちに走ってきてぎゅっと腰に抱き着いてきた。そしてナインもいったん作業を止めてこちらに歩み寄ってきた。

「マスター、私に何か御用ですか?」

「あぁ、実はちょっとアーティファクトのことについて聞きたくてな。」

「アーティファクトですか?ナインの記憶領域データベースに記録されているものであればなんでもお答えしますよ。」

「水の中でも自由自在に動けたりするアーティファクトってないか?」

「少々お待ちください。」

 そしてナインは目をつぶる。少しすると再び彼女は目を開き口を開いた。

「マスターの要望に合ったアーティファクトが二つ見つかりました。」

「おっ?ホントか?」

「はい。まずはアーティファクト№.045番。こちらは水中での抵抗をなくし、地上にいる時と同じように動けるようになるというアーティファクトです。」

「ほぉ~……。」

 それがあれば海の中でも戦えそうだな。

「そしてもう一つ、アーティファクト№.046番。こちらは水の狩人と併用することで、水中で呼吸もできるようになります。」

「なるほど、じゃあその二つを探さないといけないな。」

 息継ぎの度に水面に上がっていたのではその度に隙が生まれることになる。その二つを合わせて使うのが理想的だろう。

「マスター、アーティファクトをお探しなのですか?」

「あぁ、ちょっと次にアルマ様が必要とする食材をとるのに必要でな。」

「それでしたらスリーを連れて行くのがよろしいかと。」

「ん?それはまたなんでだ?」

「スリーには記憶領域データベース登録されているアーティファクトの反応を感知して探すことのできるレーダーが搭載されていますので、探すのが楽になるかと。」

「なるほどな。」

 じゃあスリーの暇を見つけて手伝ってもらおうかな。

「移動に関しましてはナインがお手伝いいたしますので。」

「ありがたいけど大丈夫なのか?いつもの業務に支障が出たりとか……。」

「問題ありません。ナインかスリーどちらか一人がいれば滞りなく終わるものですので。」

「そ、そっか。」

 アーティファクトのことを聞きだしたところで、俺に抱き着いていたメアが突然俺の手を引いた。

「パパ、パパ?」

「ん?どうしたんだメア。」

「パパが植えたあの木、お花咲いたの!!」

「俺が植えた……あぁっ!!ステータスの木のことか。」

 そういえば人工栽培に成功したステータスの木の世話はナインたちに任せていた。その手伝いをメアもしていたようだ。

「うん、多分それ。メアが毎日お水あげてたらお花咲いたの、見に来て?」

「あぁ行こう。」

 メアに連れられて、以前俺がステータスの木の場所に行ってみると、そこには俺が最後に見た時よりも数倍大きくなり、メアほどの背丈まで成長した全種類のステータスの木があった。その木には実るステータスの果実に応じた花が咲いている。

「おぉ~、だいぶ大きくなったな。」

「お花見てお花!!」

「あぁ綺麗に咲いてるな。いつも水を上げてくれてありがとなメア。」

 メアの額に生えている角に気を付けながら彼女の頭を撫でてあげると、メアはとても嬉しそうな表情を浮かべた。

「花が咲いたってことは、次は実がなるはずだ。」

「この花が果物になるの?」

「そうだ、この花についてる花粉を虫が運んで、また別の花にくっつけると実が実るんだ。」

「虫さん嫌いだけど、虫さんも役割があるんだ。」

「そういうことだ。」

 まぁ植物とかを食い荒らす害虫っていう存在や、見た目が気持ち悪いからっていう理由や人に害を及ぼすってことで不快害虫って呼ばれてるような悪い虫もいるんだけどな。

「さて、それじゃあ俺はスリーのことを探しに行ってくるよ。」

「うん。私はナインと一緒にお花にお水あげるね。」

 最後にポンポンとメアの頭を撫でて俺は城の庭園を後にする。それにしても、まさかステータスの果実の木があんなに育って、花までつけているとは……またまた今後が楽しみになって来たな。

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