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第5章 成長する2人

第154話 最強の魔物ハンター誕生?

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 魔法で身長が小さくなったカーラを愛でていると、「いい加減にしろ!!早くこいつを持ってきな!!」と言われ外に魔法で放り出されてしまった。

 あとで謝ろう、そう決意すると俺は城へと戻る。そしてアルマ様と遊んでいたカナンに声をかけた。

「カナン少しいいか?」

「あ、カオルさん。」

「カオルだ~、どうしたの?」

 こちらにとてとてとアルマ様が小さな歩幅で近づいてくる。

「アルマ様少々カナンにお話がありますので、少しお借りしてもよろしいですか?」

「う~?カナンと二人じゃなきゃダメな話なの~?」

「あ、いやそういうことじゃないんですけど……。」

 なぜかアルマ様はこちらにジト目で疑惑の目線を向けてくる。

「じゃあここでもいいよね~。」

「そ、そうですね……。」

 俺はカナンとアルマ様の間に座ると、カナンについ先程カーラに作ってもらった変装用の魔道具を手渡した。

「カナン、これを。」

「わっ!!マフラーですか?」

「…………。」

 カナンにそれを手渡した瞬間に、アルマ様の表情が更に険しくなる。

「こ、これはカーラさんに作ってもらった魔道具で……首に巻けば変装ができる……ぞ?」

「ふーん?カナン、首に巻いてみてよ。」

「あ、う、うん。」

 アルマ様に促されるがまま、カナンがマフラーを首に巻くと突如として彼女の顔が別人のものへと変わる。

「ど、どうかな?」

「すご~い!!別人だよカナン!!」

 突如として別人の顔に変わったカナンを見て、少し興奮気味のアルマ様。その様子をみて、俺は内心ホッと安堵の息を漏らす。

「ほらほら、鏡見てみて?」

 そしてアルマ様が持ってきた手鏡を受け取り、カナンは自分の顔を覗きこむと、口を大きく開いて驚いた表情を浮かべる。

「す、すごっ……自分じゃないみたい。これなら人前に出ても絶対大丈夫。」

 ぺたぺたと自分の顔を触りながら鏡を覗き込んでいるカナン。その隙にアルマ様が俺の方にじりじりと近づいてきていた。

「ねえ、カオル?」

「っ!!は、はい?」

「何でカナンにあんなの渡したの?」

「い、いやそれはですね……。」

 俺はカナンが魔物ハンターの仕事を手伝いたい……とお願いしてきたことを話した。

「なるほどね~、そういうことだったんだ。」

 一度は納得したように見えたアルマ様だったが、次に口を開いた時驚きの一言を口にする。

「じゃあアルマもそれ手伝うよ。」

「えぇっ!?」

 俺が驚きの声をあげている間に、アルマ様は指をパチンと鳴らすと、すぐにジャックがここまでやって来た。

「お呼びでしょうか魔王様。」

「ジャック、アルマ今日からカオルの魔物ハンターの仕事手伝うから。」

「な、なんですと!?」

 流石のジャックもアルマ様の発言には驚きを隠せなかったようだ。

「ダメなんて言わせないよ?」

「む、むぅ……で、ですが……。」

「心配しなくても大丈夫。カナンも一緒にやるし?魔王と勇者が揃ってて勝てない魔物なんていないでしょ?」

「それは間違いありませんが……。」

「じゃ!!決定ね!!」

 半ば強引に話を進めたアルマ様はニヤリと笑う。

 そして何かを諦めたジャックは俺に向かってあることをお願いしてきた。

「カオル様、何卒……アルマ様をよろしくお願い致します。」

「は、はいわかりました。」

 こいつは責任重大だ……。アルマ様は確かに順調に成長しているが、心はまだ幼い。魔物と戦って怪我されるのも心配だが、悪い輩に騙されるのが一番心配だ。俺が常に目を光らせておかないと……。

 そんなことを思っていると、俺は突然アルマ様に手を引かれた。

「っ!?」

「それじゃ~早速行こ?」

「え!?い、今からですか!?」

「うん!!カナンも行きたいよね?」

 アルマ様の問いかけにカナンもコクコクと頷く。

 チラリとジャックの方に視線を向けてみると、彼は何かを諦めたように一つ頷いた。

「わかりました……でも、今日は簡単な依頼を一つだけにしましょう。」

「え~?なんで~?」

「ご飯の時間に遅れるのは嫌ですよね?」

「う~……まぁ確かにそうだけど。」

「お腹ペコペコの状態で料理を待つのも嫌ですよね?」

「うん。」

 少し強引にアルマ様を納得させた俺は、二人を連れてギルドへと向かうのだった。

 果たして、魔王であるアルマ様と勇者であるカナンの二人が魔物ハンターになりたいとリルに言ったら、彼女はどんな表情を浮かべるだろう?

 大方想像できてしまうのがツラい。

 後で事の経緯については彼女にもしっかりと話しておかないといけないだろう。今後のためにも……な。

 そしていよいよギルドにてアルマ様とカナンのハンター登録をしたいと申し出た所、案の定リルは驚きのあまり気絶しかけていた。

 
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