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第5章 成長する2人
第151話 カナンのお願い
しおりを挟むスリーとの厳しい戦闘訓練を行いながら日々アルマ様たちに料理を作り、ギルドで魔物討伐の依頼をこなすというようなサイクルの毎日を送っていた最中……。
今日も今日とてスリーとの戦闘訓練で疲れ果ててベッドに横になっていた俺のもとに突然カナンが訪ねてきた。
「あ、あの……カオルさん?」
「ん?カナンか、どうかしたのか?」
「ちょっとお話があって……今お時間大丈夫ですか?」
「あぁ、問題ない。」
ゆっくりとベッドから体を起こすと、隣に彼女が座る。そしてぽつぽつと話し始めた。
「実は、前にもお願いしたことなんですけど……そろそろボクがいなくなったってニュースが流れてだいぶ時間が経ったので魔物ハンターのお仕事を手伝わせてほしいんです。」
「あぁ、そういうことか。」
確かにカナンが失踪したというニュースが流れてだいぶ時間は経った。街でもその話題を話している人たちの姿も見かけなくなった。あの号外がばらまかれた当時はどこでもその話題でいっぱいだったんだがな。
だが…………万が一という場合があるんだ。万が一、カナンの顔を覚えている人がいたら……。問題になるのは必然だ。
どう答えるべきか迷っていると、カナンが瞳を潤ませながら必死にお願いしてくる。
「お願いですカオルさん!!」
「う~ん…………。」
ここまでお願いされると流石に無下にはできない。だが、今すぐに決めるのは少し危うい。
だから俺はカナンの頭に手をおいて言った。
「わかった。ちょっと時間をくれ。カナンが手伝えるようにこっちで手筈を整えるよ。」
「ありがとうございますカオルさん!!」
「いいんだよ。さて、それじゃ俺はちょっと外にに出てくるよ。」
カナンにそう告げて、俺は城の外へと駆り出した。
そして城下町の郊外へと向かうと、目的の場所にあった、何もない平地にポツンと佇むインターホンのようなボタンを押した。
すると……。
「今日はずいぶん来客が多いねぇ……ってなんだいカオルかい。」
突如として目の前に大きな家が現れたかと思うと、そこからカーラが姿を現した。
そう、俺がカナンのことで相談にのってもらおうと思って赴いたのは彼女の家だったのだ。
「こんにちはカーラさん。実はちょっとお願いがあって……。」
「あ~、そういう話なら中で聞くよ。入んな。」
「お邪魔します。」
そして彼女の家に招かれ、椅子に座ると目の前のテーブルの上にひとりでに淹れたての紅茶とお菓子が運ばれてきた。
もうこの光景も見慣れたものだ。最初こそ驚いたものの、今はもう驚きすらしない。
カーラも椅子に腰かけると、早速俺に用件を問いかけてきた。
「それで?今日は何の用だい?」
「カーラさんは、俺がヒュマノの勇者……カナンを養っているのを知ってますよね?」
「あぁ、もちろんだよ。最近顔を見てないけど、元気でやってるかい?」
彼女の言葉に俺は一つ頷き、本題を切り出した。
「それで、カナンが俺の魔物ハンターの仕事を手伝いたいって言ってきたんです。」
俺が本題をカーラに告げると、彼女は何かを察したように目を細めた。
「ははぁ……なるほどねぇ。大方ここに来た理由はわかったよ。つまり、魔道具でなんとか姿を隠せないか?って話だねぇ?」
「話が早くて助かります。その通りです。」
彼女の言葉に肯定すると、カーラはいくつかの魔道具らしきものを手にとって俺の前で広げて見せた。
「ま、顔を別人みたいに変える魔道具は以外と簡単に作れるものさ。例えばこれとかねぇ。」
そう言ってカーラはテーブルの上に広げた魔道具の一つの、白い無地の仮面のようなものを手に取ると自分の顔に着けた。すると、驚くことに彼女の顔が突然リルと同じ顔つきになったのだ。
「え!?そ、その顔は……。」
「見知った顔だろ?ちなみにこいつは違う顔にもできるんだよ。こんな感じでねぇ。」
そして彼女が自分の顔に手を当てると、今度はジャックの顔に変貌を遂げた。
「そんなにポンポン変えられるものなんですね。」
「まぁ、変装用に作った魔道具だからねぇ。このぐらいはできて当然さ。ただ、表情の特徴とかを知らない奴には変装はできない。」
そう説明しながらカーラは変装の仮面を取り外した。
「それに、こいつは常に変装する人物の顔を思い浮かべてないといけないから、一瞬でも違う誰かの顔を思い浮かべると、そいつの顔に変わっちまうんだ。」
「なるほど。」
「ま、そういうわけがあって、こいつはあくまでも試作品レベルのもんだね。」
そうして俺はカーラにいろいろな変装のための魔道具を見せてもらうのだった。
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