147 / 350
第4.5章 二人目の人造人間
第147話 リルの呼び出しは……
しおりを挟むリルに連れられて彼女の執務室へと連れられてきた俺はソファーに座らせられると、何やら何枚かの書類をもって前に座った。
「さ~てと、なんでキミがここに呼び出されたのか……思い当たる理由はあるかな?」
「いや~……特に悪いことはしてないと思うんですけど。」
「まぁ悪いことじゃないね。どちらかと言えば人助け的なことしなかった?」
彼女のその言葉で俺はようやく思い当たる節を思い出した。
「あの~、もしかしてダンジョンのこと……ですか?」
「や~っぱりキミか。調査隊の精鋭がぼっこぼこにされたゲートガーディアンをあっさり倒したっていうからさ。そんなに強い人ってまぁあんまりいないからキミかな~って思って声をかけたんだけど、ビンゴだね。」
「なんかまずいことしちゃいましたかね?」
「いや全然?むしろギルド側からしたらお手柄だよ。まぁそのダンジョンの詳細な情報は後回しにしといて、私が聞きたいのはもっと別なことなんだけど。」
「もっと別なこと……ですか?」
「うんうん、キミさダンジョン攻略を二人でやってたって報告書にあるんだけど。しかも一緒にいたのは女の人だったらしいじゃ~ん?ん?」
目を細めながらリルは俺に詰め寄ってくる。
「誰なのその女の人。もちろん答えないって選択肢は無いよ?これはギルドマスターである私からの調査目的の質問だからね。」
「あ、いやそんなリルさんが思っているような関係の人ではなくて、ただ魔王城でメイドとして働いてる女の人ですよ。」
「ふぅん?じゃあなんでメイドさんをダンジョンなんかに連れてったのかな?とてもじゃないけど戦力にはならないよね?」
「いやいや、それが俺よりも強いんですよ。しかも空間魔法みたいなのも使えるんで3ダンジョンの場所まで連れて行ってもらったんです。」
「キミよりも強いの!?そんなに強い人なら私の耳に入っててもおかしくないんだけどなぁ。」
「でも、リルさんは一回見たことありますよ?」
「え、嘘……どこで?」
「前にばるんフィッシュを釣るお祭りがあったじゃないですか、その時、リルさんが失くした釣り竿を届けに行ったときに俺と一緒にいた人ですよ。」
「あ、そういえばいたかも……。あの時はもう意気消沈してて周りを見れるような状態じゃなかったから。あんまり覚えてないんだけど。確かにキミの隣にメイドさんみたいな人がいた……かも?」
確かにまぁあの時のリルは気が気じゃなかっただろうからな。おぼろげにしか覚えていないのだろう。
「まぁ、キミと一緒にいた人はお城のメイドさんなんだ。ちょっと安心。」
「何を安心する要素があったんですか。」
「え?だって、女の人と二人でダンジョン攻略って、なんか恋仲の人達みたいじゃない?」
「必ずしもそうとは限らないと思いますけどね……。」
「長い間独り身の私達からしたら男と女が二人きりのシチュエーションってそういう風な捉え方になっちゃうよ。」
さらりとリルは自分で自虐するように言った。
「まぁまぁ、誤解も解けたところで早速本題に入ろっか。」
「今のが本題みたいなものじゃなかったんですか?」
「本題はダンジョン内容の調査報告だよ。まぁ前やったやつと同じ。ダンジョン内容の報告とゲートガーディアンがどんな魔物だったのか、何体出てきたかとか、後はボスがどんな奴だったか……この紙に記載してくれるかな?」
そう言ってリルはこちらに何枚かの紙を手渡してくる。
俺はそれの空欄の部分にダンジョンの中で目にしたことを記載していった。
「ひとまず俺がわかることはこのぐらいですね。」
「ん~、オッケーオッケー。これだけ書いてれば問題な~し。後はまたダンジョンの調査隊に売りつけとくよ。」
「それもしかして俺にもお金はいります?」
「残念だけど、ギルドからの公式な依頼じゃないから報酬金は出せないんだよね~。でもあっちからボーナスってことでいくらかもらえたらそれはキミに報酬として渡すよ。」
「期待しときます。」
これで臨時収入となればいいんだが。まぁ期待して待っておこう。
「さてと、一応これで私からの用事は終わり。もう帰ってもいいよ~。それとも、私ももうすぐ仕事終わるし~?一緒に飲んでく~?」
「いえ、まだアルマ様の料理を作らないといけないんで、また夜にでも来ますよ。」
「それはざんね~ん。まぁ魔王様に料理を作るのがキミのお仕事だしね。無理に誘ったら私がジャックに怒られちゃう。」
「それじゃあ俺はこれで、失礼します。」
「うんうんありがとね~。」
そして俺はギルドを後にして城へと戻るのだった。
0
お気に入りに追加
88
あなたにおすすめの小説
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
はぁ?とりあえず寝てていい?
夕凪
ファンタジー
嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。
※第二章は全体的に説明回が多いです。
<<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる