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第3章 魔王と勇者

第096話 結果発表

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 そしていよいよ、祭りに参加していた人々全ての集計が終わると、舞台の上にマイクを持った司会の人が立った。

「はい!!ただいま集計が終わりました~っ!!」

 彼女の声と共に、大きな声援が上がる。

「今年で第100回を迎えるこのお祭りっ!!なんとなんと、大波乱が起こっております!!今から番号を呼ばれた人は舞台に上がってきてくださーい!!」

「わ、アルマも呼ばれるかな?」

 アルマ達も期待に満ちた目で手渡された番号札を見つめていると、司会の女性が番号を呼び始めた。

「まず最初に……1864番の方っ!!」

「はいは~い!!私~っ!!」

 1864番の番号札を大きく掲げたのはリルだった。

「お~っと、二年連続優勝者のリルさん!!どうぞこちらへ!!」

「あははっ!!それじゃ、お先~。」

 アルマ達に手を振って、リルはスキップしながら舞台の上へと上がる。

「さぁ、まだ諦めちゃいけませんよ~?お次は~……2024番の方っ!!」

「あっ!!アルマだっ!!はいはいっ!!は~い!!」

「おおっとぉ!!ここでなんと我らが魔王様……アルマ様の登場です!!」

 司会の人がそう言った瞬間に、辺りから大きな声援が上がった。

「むぅ、我よりも先におぬしが呼ばれるとは……。」

『アルマちゃんすごい。』

「えへへ、それじゃ行ってくるね!!」

 アルマもカナンとラピス、そしてジャックに手を振って舞台の上へと上がっていった。

「うむむ……これはこれでなかなか緊張感があるな。」

『さっきまだ諦めちゃいけませんよって言ってたので、まだチャンスはあると思うんですけど……。』

「ホッホッホ、カナン様の言うとおりです。今はゆるりと番号が呼ばれるのを待つべきかと。」

「むぅ……。」

 不安がるラピスだったが、その不安もすぐに払拭されることになる。

「それではお次は~っ……2025番の方っ!!」

「おぉっ!!我だっ!!」

 自分の番号を呼ばれたラピスは喜びながら舞台の上へと上がっていく。すると、リルとアルマの二人に声をかけた。

「むっふふ、我もここに登り詰めてやったぞ。」

「あはっ、キミもたくさん釣ってたもんね~。」

「後はカナンだけだね。」

 そしてアルマはカナンのことをじっと見つめた。

「さぁ、残すは二人……四人目の番号を発表します!!四人目は~2026番の方っ!!」

「っ!!」

 カナンは呼ばれた数字と自分の持っていた番号札を照らし合わせ、それが自分であることを確信すると、番号札を掲げながらピョンピョンと跳ねてアピールした。

 そんな彼女を見つけた司会の女性は舞台に上がるようにに促した。

「さぁさぁ、あなたもこの舞台へどうぞっ!!」

 その言葉に引き寄せられるようにカナンはとてとてと歩いて舞台の上へと登った。

「おぬしも来たか。」

「カナンも呼ばれて、アルマ達はみんな呼ばれたねっ!!」

 二人の言葉にカナンはコクコクと頷いた。

 そして司会の女性はいよいよ最後の番号を読み上げる。

「さぁ、いよいよ最後です!!この舞台に上がることのできる最後の方は~…………2400番の方っ!!」

 彼女がそう大きな声で読み上げたのだが、会場に詰めかけている大量の人達は誰も手を挙げない。

「あ、あれ?2400番の方~?いらっしゃいませんか~?」

 再び呼び掛けるが、会場がざわめくだけで手を挙げる人物は一向に現れない。

「あれれれ……い、いらっしゃいませんかぁ。」

 呼んだ番号の人がいないことに少し司会の女性は頭を抱えるが、すぐに切り換えて進行を始めた。

「で、ではいらっしゃらないようなので、今回はここにいらっしゃる四方で順位発表を行いたいと思います!!」

 彼女の進行に再び大きな声援が上がった。

「それではまず、第4位から発表します!!釣ったバルンフィッシュの数はなんと65匹!!大会記録にあと一歩及びませんでした……。それでは今大会第4位は…………番号1864番!!前回王者リルさんです!!」

「あちゃ~……4位かぁ~。残念。」

 前回大会の王者であるリルが4位という結果になり、大波乱の予感を感じ取った観客達は大きくどよめいた。

「4位の方への景品はこちらで~す!!」

 そう言って司会の女性がリルに手渡したのは、一升瓶に入ったお酒だった。

「あれ、これ……お酒?」

「その通りです!!北の大地で作られた穀物を原料に作られた希少な発酵酒です!!」

「へぇ~、これは飲んだことないや。これが景品なら、なんだかんだ4位で良かったかも。」

 そう言ってリルは笑った。

「それではではでは~、第3位の発表に移ります!!映えある第3位は~……釣った数67匹!!大会記録と並ぶ釣果を見せた……2025番の方っ!!」

「くぁ~っ……我か。」

 3位という結果に少し残念そうにするラピス。

「3位の方への景品は~……こちらです!!」

 そして司会の女性が持ってきたのは何やら大きな緑色に澄んだ宝石がはめこまれているブレスレットだった。

「これはなんだ?」

「こちらは翡翠という宝石を加工して作ったブレスレットになります!!」

「ほぅ……宝石か。まぁ煌めくものは嫌いではない。これはこれで悪くはないな。」

 なんだかんだ嬉しそうな表情を浮かべるラピス。

 そしていよいよ、1位と2位の発表が……。

「さぁでは、いよいよ映えある大会優勝者、並びに準優勝者の発表に移ります!!」

 アルマとカナンは二人して両手で祈りを捧げるようにしてその瞬間を待ちわびていた。

 果たして優勝はどちらの手に渡るのだろうか?

 会場の熱気もクライマックスに近づく中、司会の女性はアルマとカナンの手を取った。

「今年の優勝は~……。」

 そして勢いよく司会の女性はアルマとカナン二人の手を上へと上げた。

「なんとお二人とも釣果70匹!!史上初の同率1位です!!」

 司会の女性のその言葉と共に二人に大きな拍手が送られる。一方、アルマとカナンはポカンとした表情を浮かべていた。

「え、え?アルマもカナンも優勝ってこと?」

『そう……みたい?』

 状況についていけずにいる二人に司会の女性はあることを告げた。

「まさかまさか、こんな事態は我々運営も予想していなかったので、優勝賞品は後程2つ揃えてお送りいたしま~す!!それではこれにて結果発表を終了します!!お集りの皆様、もう一度盛大な拍手をお願いしま~す!!」

 舞台の上に上った4人に再び大きな声援と拍手が送られ、今回のお祭りの幕は下りたのだった。









 そして結果発表も終わり、運営の人たちが後片付けに勤しんでいる最中、司会者だった女性がぽつりとつぶやいた。

「それにしても、あの2400番の人どこ行っちゃったんでしょうね?」

 そのつぶやきに、周りの人が答える。

「その2400番って、本当は優勝するはずだったんだろ?」

「うんうん、数えた限りだと120匹?とかだったみたいだよ。」

「120って、ぶっちぎりで優勝じゃねぇかよ。もったいねぇな。」

「まぁでもその人が来なかった代わりに魔王様が優勝したんだし、お祭りとしては成功だったんじゃない?」

「うん、そうだね!!終わり良ければ総て良しっ!!あの人にはまた来年期待しよっ!!」



 祭りが終わるころ、自室で仮眠をとっていたカオルのポケットからはらりと1枚の紙が床に落ちた。その紙には番号が書いてあり、2400と書いてあったのだった。

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