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二節 開花
4-2-5
しおりを挟むさっそく、件のロシアンマフィアについて探りを入れ始めたエリー達。メイが探った情報を頼りにエリーが現地に赴いて動向を探っている。
本日麻薬の取引を行うという情報を得たエリーは、その現場に先入りし取引が始まるのを待っていた。
息を殺して物陰で様子をうかがうエリーの目線の先に一台の黒い車が停まった。
「メイ、車が来たぜ。」
『了解、それじゃあそのまま待機して様子をうかがって。』
「オーケー。」
そして待機していると、もう一台車がやってくる。すると、片方の車からは日本のヤクザ組織が現れ、もう片方の車からはロシアンマフィアたちが姿を現した。
「いやはや、遠路遥々ご苦労さまでした。今日はいい取引をしましょう。」
そう言って日本のヤクザの一人がロシアンマフィアのリーダーの男に手を差し出した。
「えぇ、そうですね。」
二人は軽い挨拶を交わすと、さっそく取引に移った。
「ではまず、こちらのモノをお預けしましょう。」
ロシアンマフィアは大きめのアタッシュケースを手渡した。それを受け取ったヤクザ組織の下っ端らしき男は中を開けて中身の確認をしている。
そして明らかにキマッた目をしながら報告する。
「間違いありません。上質なモンです。」
「あぁ、それではこちらをどうぞ。」
そしてヤクザ組織の男は、ロシアンマフィアに重そうなアタッシュケースを預ける。彼らがそれを開けると、中には煌めく金の延べ棒が何本も入っていた。
それを確認してロシアンマフィアはニヤリと笑う。
「確かに、受け取りました。」
「えぇ、どうぞ今後とも……。」
取引を終えて再び握手を求めたヤクザ組織の男に対して、代わりに差し出されたのは鉛玉だった。
一発の銃声が響くと同時に、ロシアンマフィアの目の前にいたヤクザの男が倒れ込む。
「て、テメェっ……がっ!!」
すぐに反撃に移ろうとした下っ端のヤクザ達だが、武器を抜く前に全員皆殺しにされてしまった。そしてロシアンマフィアたちは、自分たちが用意した麻薬を回収するとその場で葉巻を吸い始める。
「ふぅ~……間抜けな奴らだ。お互いを対等な立場と勘違いしていたようだな。」
「ボス、薬の回収完了しました。」
「あぁよくやった。で、例の件……調べはついたか?」
「はい、どうやらあの馬鹿どもはこの国のあるホテルをモノにしようとしていたようです。」
「ふむ、となるとロックはそのホテルの刺客にやられた、と考えるのが妥当か。」
「どうしますかボス。」
「そんなことは決まっている。一人殺されているんだ、皆殺しにしろ。念のためアイツも連れて行っていい。」
「はっ、了解しました。」
そして車に乗り込んだロシアンマフィア達。彼らが車の中に入ったのを確認して、エリーは物陰から顔を出すと、特殊な形状の銃を車へとむける。
「おらよ。こいつも持ってけ。」
その銃から発射されたのは、小型のGPS発信機。車の下部にそれは張り付いた。
ロシアンマフィア達はそれに気が付くことはなく走り去っていった。
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