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第三章 一節 切り開かれた未来
3ー1ー5
しおりを挟む二人へと武器を持っていない半グレが殴り掛かるが、エリーは容赦なくハンドガンで近くの男の頭を撃ち抜いた。すると、まさか彼女の持っていた銃が本物だとは思っていなかったらしく二人を囲んでいた半グレたちにどよめきが走る。
「一人殺されただけで、何を驚いているのです?」
音もなくフクロウが男たちの目の前に迫ると、彼女の小太刀が男たちの首を搔き切っていく。
「この女ァッ!!」
金属バットを振りかざしてエリーへと立ち向かってくる一人の半グレ。そんな男にエリーは銃口を向けながら笑って言う。
「レディーには優しくしろって教わんなかったのかぁ?」
そう言いながら男の頭を撃ち抜く。力なく倒れた男へと向かってエリーはニヤリと笑う。
「ま、閻魔サマのとこまで今の言葉持ってきな。」
血気盛んな男たちが次々と二人にやられていく中、自分の命が惜しくなった輩が逃走を謀り始める。しかし、出口は内側からは開かなくなっており出られなくなっていた。
「残念ながら逃げ道はありません。人が通れそうなところはすべて塞ぎました。」
「仕事できんなぁアンタ。」
そんな軽口をたたきながらもあっという間に二人は半グレ集団を皆殺しにしてしまう。
すっかり静かになったこの場所に取り残されているのは先ほどまで複数の男とまぐわっていた女性たち。フクロウが彼女たちに近づくと、そのうちの一人がフクロウの腕を掴んで、焦点のあっていない目でフクロウのことを見つめながら言った。
「も、もっと……クスリが欲しいの。」
「…………。」
彼女たちはあの半グレたちに薬漬けにされ、すでに手遅れだった。それを察したフクロウは女性に白い錠剤を手渡した。
「これを。」
「クスリっ!!」
女性はそれを無我夢中で飲み込んだ。すると、すぐにまるで眠ったように横たわる。
その一連の流れを見てエリーはフクロウに言った。
「毒か?」
「えぇ、一族秘伝の毒薬です。情けをかけるときにのみ使う慈悲の毒。」
「人を殺す毒に慈悲もクソもあるかよ。」
そんなエリーの言葉を無視してフクロウはその場にいた女性全員にその毒薬を飲ませると、奥の部屋を指さした。
「先ほど片づけた半グレ集団の中にはリーダーがいませんでした。気配からしておそらくはあそこにいるでしょう。」
「あぁ、とっとと終わらせちまおう。」
二人がその部屋へと向かって歩みを進めていた最中、エリーがある違和感に気が付く。
「っ!!」
彼女はそれに気が付くと同時に横を歩いていたフクロウを突き飛ばす。
「なっ、なにを!?」
その次の瞬間、部屋の扉を貫通し銃弾が何発も放たれてきたのだ。
「ふぅ、悪いな咄嗟だったからよ突き飛ばしちまった。」
「い、いえ、感謝します。」
そしてボロボロになった扉を蹴破り、一人の男が出てきた。
「おぅおぅ、今のを躱すか。なかなか感がいいじゃねぇか。」
出てきた男の手には日本ではまず目にすることはない重機関銃が抱えられ、さらには体中に弾薬帯をぐるぐるに巻き付けていた。
そして男はエリーとフクロウの顔を交互に見ると愉快そうに笑う。
「がはははははっ!!たかが刀とハンドガン持った女二人にこんなにやられてんぜ。なぁ大将、随分あんたの組織ってのは脆いんだな。」
そう言って背後に目をやった男。その視線の先にはこの半グレを統率するリーダーらしき男がいた。
「こ、これでも喧嘩じゃ負けなしのやつらを集めたんだぞ!!」
「喧嘩と殺し合いってのは別もんだぁ。俺らみてぇな本職からすりゃあ喧嘩なんておままごとみてぇなもんだからな!」
すっかり油断している男にフクロウが音もなく接近すると、その首元に小太刀を突き立てる。
「おぅ、血気盛んな嬢ちゃんだぜ。」
「っ!!」
しかし、フクロウの小太刀は男の太い腕で受け止められると、硬い金属を叩いたかのような甲高い音ともに折れてしまった。
それを見てエリーはあることを思い出した。
「体に埋め込んだ金属、それにその特徴的な重機関銃……思い出したぜ。テメェマフィア御用達の用心棒ロックだな?」
「俺のこと知ってんのか!!嬉しいねぇ~。」
「テメェみたいな野郎がどうしてここにいやがる。」
「そんなのわかってるだろ?ビジネスだよ!!」
答えると同時手にしていた重機関銃が火を吹き、エリーとフクロウを襲う。
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