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第五章
カリンとフィースタの企み
しおりを挟む一通りの仕込みを終えた後、俺はカリンの屋敷を尋ねに行った。
「ごめんください。」
カリンの屋敷の扉をノックしながら声をかけると、ゆっくりと扉が開いて眠たそうにしているカリンが姿を現した。
「ふぁ……んん、社長か何用だ?」
「すみませんもしかしてお邪魔しちゃいました?」
「いや、構わんのだ。少々昼寝をしていただけ……それはそれとして、何か用か?」
「実は今日の夜ちょっとした宴会を開こうと思ってて、良かったら夕ご飯食べに来ませんか?」
「そういう誘いならば喜んで受けよう。場所は何処だ?」
「場所はまだ決めてないんですけど……。」
「ならば場所ぐらいは此方が用意しよう。宴会に相応しい広い場所を確保しておく。」
「助かります。じゃあまた夜に。」
「あぁ、楽しみにしておくぞ。」
そしてカリンと別れた後、今度はフィースタの屋敷に向かう。彼女の屋敷の前に辿り着くと、ちょうど洗濯物を干しているフィースタの姿が目に入った。
「あっ、ようこそおいでくださいました、あなた様。」
「やぁフィースタ。」
彼女は一度洗濯物を干す手を止めてこちらに歩み寄ってきた。
「何か御用でしょうか?」
「今日の夜ちょっとした宴会を開くんだけど一緒にどうかなって。」
「まぁ!!それは素敵な御誘いですね、ぜひともお願いします。」
「わかった。じゃあまた夜に。」
「はいっ。」
そしてヒイラギがその場を去った後、フィースタのもとをカリンが訪れる。
「話は聞いたなフィースタ。」
「はい。」
「これは此方らが社長を打ち負かす、またとない機会だ。わかっているな?」
「もちろんです。」
「よろしい。ではこれから調合室へと向かう。準備を整え、すぐについてくるのだ。」
「了解しました。」
そして洗濯物を干し終わったフィースタは、カリンの後に続いてエルフ達が薬の調合に使う、調合室へと入っていった。
調合室に入って、二人は白衣に着替えると色々な材料を調合台の上に並べていく。
「では、これより対社長専用の魔酒の調合を開始する。くれぐれも取り扱いには気をつけるように。」
「はい。」
こうしてヒイラギの知らないところで、カリンとフィースタの二人は、彼を打ち負かすための魔酒を作り始めたのだった。
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