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第五章
手作りうどん
しおりを挟むお昼時には屋敷に帰って、みんなのお昼を作り始める。
「さて……今朝作っておいた生地はどうなってるかな~。」
今朝作って、常温で寝かせておいた、ある料理に使う生地をぷにぷにと触って感触を確かめる。
「うん、良い感じだ。」
その生地を打ち粉をした台の上に乗せて、麺棒で円形に伸ばしていく。
「ここから麺棒に巻きつけながら生地を伸ばして……。」
ここで生地の厚さを3mmぐらいに均一にする。ここで厚さが均一じゃないと、茹で時間が変わってしまうから慎重に……。
「良し、後はしっかり打ち粉をもう一回して、折りたたんで……幅を均一に切る。」
あいにく麺を切る専用の包丁は持ってないから、普通の包丁で繋がらないように気を付けながら、幅を揃えて切っていく。
「最後に打ち粉をした分の粉をしっかりと払ってから、一人前ずつに分ける。」
軽い打ち粉をした木の板の上に、余分な粉を落とした麺を一人前ずつ並べていく。家には大食漢が約三名程いるから、量はかなり多くなってしまった。
「ふぅ、これでひとまずは手作りうどんの完成っと。」
今回お昼ごはんに採用したのは、うどんだ。以前きつねうどんを作った時に、手作りのうどんも作りたいと思っていたのだ。
「これは茹でる時まで冷やしておいて……その間にトッピングに使う天ぷらとか、そういうのを準備しよう。」
今日のうどんは、みんな各々で好みのうどんを自分で作ってもらうことにした。天ぷらうどんであったり、山かけうどんであったり、きつねうどんだったり、兎に角バリエーションはたくさん用意しよう。
「じゃあまずは天ぷらからだな。」
天ぷらには、定番の鶏天と海老天に加えて、キノコの天ぷら……後は野菜をきざんで、かき揚げにしよう。
そして俺は、天ぷらに使う食材を切り分けて、それらに衣をたっぷりと纏わせてから、熱した油で揚げていった。
その最中、後ろから視線を感じた。
「ん?」
ちらっと後ろを振り返ってみると、そこにはマドゥが立っていた。
「どうかしたかマドゥ。」
「あ、えっと……その。」
言葉に詰まっていると、マドゥのお腹から彼の言葉を代弁する音が聞こえてきた。
ぐぅぅぅ~……。
「あっ……。」
「ははは、なるほどな。」
今のお腹から聞こえた音で、マドゥが何を言いたいのか良くわかった。
俺は揚げたての鶏天にさっと塩を振って、マドゥのところに持っていく。
「ほら、味見してみるか?」
「い、いいの?」
「あぁ、その代わりシアたちには内緒だぞ?」
コクコクと何度も頷いたマドゥの口元に、少し冷ました鶏天を近づけると、彼は一言挨拶をしてから食べた。
「い、いただきます。はむ……あ、あふっ!!」
まだ熱かったらしくマドゥは、はふはふと口を忙しなく動かしながら食べていた。
「ご、ごめんな。ちょっと熱かったな。」
「ら、らいじょうぶ……れふ。」
そしてマドゥはゴクン……と鶏天を飲み込むと、幸せそうな表情を浮かべていた。
「お、美味しかったぁ……あ!!ご、ごちそうさまでした。」
「美味しかったなら結構だ。後はお昼ごはんの時にめいいっぱい食べると良い。」
ポンポンとマドゥの頭を撫でてから、俺はまた調理に戻るのだった。
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