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第五章
幽閉
しおりを挟むその後、師匠はエルフの国の世界樹の地下にある空間に、何重にも封印魔法と結界魔法を重ね掛けされた状態で幽閉されることとなった。
「死の女神との盟約の破壊方法が見つかるまでは、そこで大人しくしていてもらうぞ。」
「はは……口と目線以外どこも動かせないな。」
「それだけではないぞ、魔力を扱うこともできぬようにしている。」
「まぁ、そのぐらいしてもらわねば、私自身何をしでかしてしまうか分からないからな。これでちょうど良い。」
「うむ、わかっているのなら良い。」
カリンが頷いていると、師匠がある質問を投げかけた。
「ところで、私の食事はどうなるんだ?流石に食わなければ餓死してしまうんだが……。」
「それの心配はいらん。社長が朝、昼、夜と三食用意してくれる。」
「おぉ!!死の女神のところにいた時よりも、待遇が遥かに良くなったな。体の自由は制限されているが、その代わりに美味い食事がある。それだけで幸せだ。」
感極まった様子で、今にも泣きそうなほど喜んでいる師匠。
「あ、そうだ!!願わくば、デザートもあると更に嬉しいぞ?」
「……だそうだ社長。」
「わかりました。」
「話がわかるなぁ~柊♪流石は私の弟子だ。」
「もし断りでもしたら、枕元でずっと言われそうでしたから。」
「ひ、人を幽霊みたいに扱うな!!」
そうやって師匠が喚いていると、この空間にイリスが入ってきた。
「失礼します。」
「ん?イリスか。」
「どうしても、静葉さんとお話しておきたくて。」
そしてイリスは、師匠の近くまで歩み寄っていく。
「はじめまして……いえ、またお会いしましたね静波さん。」
「あぁ、あの時はそそくさと去ってしまってすまなかった。」
「お気になさらず。実は静葉さんに、どうしても聞いておきたいことがあるんです。」
「なにかな?」
「死の女神が静葉さんを依り代に選んだのには、決定的な理由があるはずなんです。それは恐らく、あなたの心のなかにある深い闇と負の感情に関係しているはず。人の身で、どうしてそんなに深い闇と負の感情を抱いてしまっているのか、教えてほしいんです。」
「…………わかった。」
目を閉じてそう答えた師匠は、ちらりと俺の方に視線を向けてくる。
「その代わり、柊には聞かせられん。だから、一度柊にはここを退出してほしい。」
「わかりました。じゃあ俺は一度外に出てます。」
「すまないな。」
俺には話せない内容の話か……正直めちゃくちゃ気になるけど、師匠が俺に聞かせられないと言うなら、それは仕方のないことだ。
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