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第五章

子供の大好きな料理

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 着々と料理を進めていると、カリンの屋敷の玄関の扉が開いた音がした。

「た、ただいま……か、カリンママ。」

「「おじゃましま~す!!」」

「おぉ!!帰ったか!!」

 マドゥが帰って来るや否や、カリンはパタパタと出迎えに走った。その後をついていくと、マドゥのことを愛しそうにカリンがぎゅ~っと抱きしめていて、その光景をシアとメリッサが苦笑いしながら眺めていた。
 俺がひょっこりと顔をのぞかせると、シアとメリッサの視線が一気にこちらに向いた。

「あ!!お兄さんがいる!!」

「ぱぱ…はっけん!」

「お兄さん、どうしてマドゥ君のお家にいるの?」

「お昼ご飯を作ってって頼まれたんだよ。」

「お兄さんがご飯作ってくれたのっ!?」

「たのしみっ!」

 俺が作ったというだけで、シアとメリッサの二人は眼を輝かせる。最近、お昼は遊びに行っちゃってるから、カリンにお昼ご飯はご馳走してもらっていたんだよな。だから俺が作ったお昼ご飯を食べるのは……三日ぶりぐらいかな。

「今日のお昼ご飯なに~!?」

「今日は二人の大好きなものを作ったよ。」

 二人の大好きな料理はたくさんあるが、その中でもトップクラスに好んでくれている料理を今日は作った。多分マドゥも喜んでくれると思う。

「さ、お昼を食べる前に、しっかりと手を洗ってくるのだぞ。」

「「「はーい!!」」」

 カリンの抱擁から解放されたマドゥは、シア達と一緒に手を洗いに向かった。今のうちに料理を完成させてしまおう。

「それじゃあ仕上げてしまいますね。」

「うむ、頼んだぞ社長。」

 マジックバッグから、愛用している小さいサイズのフライパンを取り出して、炎の魔石の上で熱していく。そこにバターを馴染ませて、卵と生クリーム、粉チーズを混ぜた卵液を一気に流し込んだ。

「いよっと。」

 卵液が固まる前にフライパンを細かく前後に動かし、ゴムベラで卵液をかき混ぜる。そして半熟まで火を通したところで、フライパンの取っ手をトントンと叩いて形を整えていく。

 そんな調理工程を見て、カリンが目を丸くしていた。

「あとはくるっとひっくり返して卵のつなぎ目をくっつけて、さっき作ったチキンライスの上に乗せる。」

 そう、今日作ったお昼ごはんはオムライスだ。これはシアとメリッサの二人も大好きだし、何より子供受けが良い料理だ。

「お、おい社長その卵のやつはどうやったんだ!?魔法か何かを使ったのではないか?」

「違いますよ。これも技術です。」

「ぬぐぐぐ、も、もう一度作るよな?今度はゆっくり見せてくれ!!」

「そ、そう言われても、こればっかりはなかなか難しいものがあって……。」

「つべこべ申すな!!もう一度だっ!!」

 
 
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