上 下
920 / 1,008
第五章

強くなったボルトドラゴン

しおりを挟む

 いやらしい笑みを顔面に張り付けているボルトドラゴンに、わかりきっていることではあるが俺は問いかけた。

「わかりきってるが、念のため聞いておく何の用だ?」

「わかってんだろ?わざわざ殺しに来てやったんだよォッ!!」

 再び俺の体に雷が落ちてくる。

「ぐっ、ずいぶん威力が上がったじゃないか。特訓でもしたのか?」

「クヒヒヒ、オレ様もよぉ驚いたぜぇ?この前愚かにもオレ様に歯向かってきやがった魔物を食ったら、体の奥底から力が湧いてくんだ。」

「……!!その魔物、まさか血が黒くなかったか?」

「あぁ、黒くてクソ不味かったぜ。だが、一瞬不味い思いをしてもこんなに力が溢れてくんなら、悪くねぇ。」

 よくわかった。こいつは例の凶暴化した魔物を食うことによって、大きく力を増したらしい。ってことはこいつ自身ももう……。

「さぁて、じゃあそろそろ死んでくれよなァ!!」

 そして再び雷を落とそうと、翼を大きく横に広げたボルトドラゴン。奴に俺は一気に近づくと、首根っこを鷲掴みにした。

「ここじゃ街の人達が危ないだろ。場所を変えるぞ。」

「チッ、関係ねぇなァ!!」

 そのままボルトドラゴンは雷を落とし、自分ごと雷で貫いた。しかし、奴の方にダメージは無く俺だけが少しダメージを喰らってしまう。

「俺には関係あるんだよ。」

 しびれる手に力を込めて、逃げられないようにしてから、俺は一気に王都から離れて近くの荒野へと戦闘場所を移した。

「ほらここなら思いっ切り戦ってやる。」

 ブン…と勢いをつけてボルトドラゴンを放り投げると、奴は空中で体を翻して体勢を立て直して俺のことをぎろりと睨みつけてきた。

「ハッ、上等だこの野郎……特大の雷をぶつけてやる。」

 ボルトドラゴンが体から電気をバチバチと放出すると、あっという間に俺の上に黒い雲が立ち込め始めた。そして五本の大きな雷が落ちてくると、その雷からボルトドラゴンとそっくりな見た目のドラゴンが五体現れた。

「増えた?」

「「「オレ様の新しいスキルだ。こいつもあの魔物を食ってから使えるようになったんだぜ?」」」

 周りに現れたボルトドラゴンの分身体のようなものも同じく声を発している。ただの実体のない分身なら何も問題は無いが、この感じだと実体がありそうだな。

 警戒心を強めていると、本体のボルトドラゴンと同時に周りの分身もお同時にブレスの構えをとったのだ。

「「「お望み通り六体分のサンダーブレスをくれてやる。これで消し炭になりやがれぇっ!!」」」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた

甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。 降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。 森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。 その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。 協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

人間だった竜人の番は、生まれ変わってエルフになったので、大好きなお父さんと暮らします

吉野屋
ファンタジー
 竜人国の皇太子の番として預言者に予言され妃になるため城に入った人間のシロアナだが、皇太子は人間の番と言う事実が受け入れられず、超塩対応だった。シロアナはそれならば人間の国へ帰りたいと思っていたが、イラつく皇太子の不手際のせいであっさり死んでしまった(人は竜人に比べてとても脆い存在)。  魂に傷を負った娘は、エルフの娘に生まれ変わる。  次の身体の父親はエルフの最高位の大魔術師を退き、妻が命と引き換えに生んだ娘と森で暮らす事を選んだ男だった。 【完結したお話を現在改稿中です。改稿しだい順次お話しをUPして行きます】  

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

処理中です...