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第五章

新たな事実

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 カリンとエートリヒがマドゥについて情報共有をしていると、コンコンと部屋の扉がノックされた。

「どうやら確認が終わったようですね。」

「む、思ったよりも早かったな。」

 エートリヒは立ち上がって扉を開ける。そして向こう側の兵士から書類を受け取りながら、何やら話をしているが…そんな彼の表情はどこか険しさを感じられる。

「今しがた確認が終わったと報告を受けました。」

 険しい顔のままエートリヒは書類を手にしながら正面のソファーに腰掛ける。

「その表情を見るに、何やら問題があるようだな。」

「はい、頂いた情報通り…そのマドゥという少年の母親らしき女性は、確かにシュベールの冒険者たちによって保護されているようです。」

「うむ。」

「しかしですね、そこで一つ問題がおきまして……その女性、名前をニクスというらしいのですが、彼女には子供を産んだ記録がないんです。」

「……つまりどういうことだ?」

「おそらくは母親のニクスが、子供を産んだことを隠すため…もしくは産んだことを認知しないようにするために、産んだことを国に報告しなかったのかと思われます。」

 エートリヒからその報告を受けると、カリンは顔をしかめて舌打ちをした。

「チッ、あの女……どこまでも此方を怒らせるのが上手いな。」

 またふつふつと怒りが沸き上がってきているカリンの体から、真っ赤な魔力が溢れ出している。その様子にエートリヒは少し怯えているようだ。

「まぁまぁ、一回落ち着きましょう。話はまだあるんですよね?」

「あ、あぁ。」

 一度カリンのことを宥めてから、エートリヒに話の続きがあることを確認すると彼は一つ頷いた。

「そのマドゥという子供の戸籍がこの国にはないので、一応扱いとしてはという扱いになります。」

「自由民ということは、此方が認めればマドゥはエルフ国に戸籍を作ることもできるというわけだな?」

「そうですね。戸籍がない以上、養子にする手続きも進められないので……。カリンさんが引き取ってくださるというのであれば、お任せします。」

「ふむ、ならばその方向で進めよう。後は一度帰ってマドゥ本人にも確認をとらねばな。」

 するとカリンはスッと立ち上がった。

「邪魔をしてしまったなエートリヒ殿。此方等は一度帰るとしよう。」

「またいつでもいらしてください。マドゥという少年のことはどうかよろしくお願いします。」

「うむ、承った。では社長、一度帰るぞ。」

 パチンとカリンが指を鳴らすと俺と彼女の足元に魔法陣が現れ、まばゆい光を放ち始めた。
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