882 / 1,052
第五章
魔中グリフォンの記録
しおりを挟むしっかりと周りにオークがいないことを確認して、俺とグレイスはギルドへと戻った。
「あ、ヒイラギさんおかえりなさい。」
ミースは二階のギルド長室ではなく、酒場のテーブルに書類を広げて、そこで仕事を進めていた。
「ただいまミース、オークはちゃんと討伐してきたぞ。」
「わ~、助かりましたぁ。あの依頼ヒイラギさんみたいに強い冒険者の人じゃないと受けれなくて……困ってたんですよ。」
「まぁ、ほとんどのオークはちょっと別な魔物に食べられちゃったんだけど……。」
「ほぇ?別な魔物……ですか?」
頭に?マークを浮かべるミースに、俺はあのオーク達がグリフォンという魔物から逃げてきていたこと……そしてグリフォンは俺が討伐したことを伝えた。
「ま、魔獣グリフォン……そんな強力な魔物がオーク達を追っていたなんて。」
「ちなみにグリフォンって結構ヤバい魔物だったりするのか?」
「直近のグリフォンの目撃例は三十年前です。当時まだ存在していたとある村に現れて、その村にいた人と家畜を残らず食べてしまったんです。」
「その時討伐に動かなかったのか?」
「当時の記録によると、その時の白金級冒険者2名が討伐に向かったと、記述されてるんですけど……その2名は後々生首だけが見つかったらしいです。」
「おぉぅ……滅茶苦茶重い話だった。」
「それからグリフォンは目撃され次第、白金級冒険者3人以上……金級冒険者5人以上の分隊を組んでから討伐に向かうように…ってギルドの上層部が決定したんです。」
ミースの話を聞いているだけで、あのグリフォンという魔物がどれだけヤバい魔物なのかがよくわかる。アイツのポテンシャルを全部引き出す前に、水に閉じ込めて窒息させてしまったからな。本当の強さがどんなものなのか知ることができなかった。
「ち、ちなみにその……グリフォンの死体を確認してもいいですか?」
「もちろん構わない。それと討伐したオークの死体も引き渡すよ。」
この酒場で出すには少々グロいものもあるので、ミースにギルドの地下に案内されて、そこでグリフォンの死体とオークの死体をマジックバッグから出した。
「ほとんどのオークの頭が無い……それにグリフォンのクチバシの痕が残ってますね。」
「あぁ、俺が倒したのは10匹ぐらいだ。その他のやつは全部グリフォンに頭だけ食べられちゃったよ。」
「なるほど……。」
オークをよく観察したあと、ミースはいよいよグリフォンを観察し始める。
「魔獣グリフォンに間違いないですね。特徴も全部一致してます。」
サラサラと彼女は、紙にグリフォンの特徴などを書き込んでいく。
「あの、できれば討伐の証拠に、少しだけグリフォンの素材を頂きたいんですけど……ダメですか?」
「全然いいぞ、もともとコイツは獣人族の知り合いに解体して貰おうと思ってたし。アレだったら頭を剥製にしてもらって、後でまた持ってこようか?」
「い、いいんですか!?」
「あぁ、多分頭があったほうが良い証拠になるだろ?」
そしてミースから報酬金を受け取ったあと、俺は一度みんながいるという、ミルタ商会の方へ向かうのだった。
12
お気に入りに追加
635
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
異世界で等価交換~文明の力で冒険者として生き抜く
りおまる
ファンタジー
交通事故で命を落とし、愛犬ルナと共に異世界に転生したタケル。神から授かった『等価交換』スキルで、現代のアイテムを異世界で取引し、商売人として成功を目指す。商業ギルドとの取引や店舗経営、そして冒険者としての活動を通じて仲間を増やしながら、タケルは異世界での新たな人生を切り開いていく。商売と冒険、二つの顔を持つ異世界ライフを描く、笑いあり、感動ありの成長ファンタジー!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~
冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。
俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。
そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・
「俺、死んでるじゃん・・・」
目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。
新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。
元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ! のんびり冒険者 (仮)
ひなた
ファンタジー
…どうやら私、神様のミスで死んだようです。
流行りの異世界転生?と内心(神様にモロバレしてたけど)わくわくしてたら案の定!
剣と魔法のファンタジー世界に転生することに。
せっかくだからと魔力多めにもらったら、多すぎた!?
オマケに最後の最後にまたもや神様がミス!
世界で自分しかいない特殊個体の猫獣人に
なっちゃって!?
規格外すぎて親に捨てられ早2年経ちました。
……路上生活、そろそろやめたいと思います。
異世界転生わくわくしてたけど
ちょっとだけ神様恨みそう。
脱路上生活!がしたかっただけなのに
なんで無双してるんだ私???
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
最凶と呼ばれる音声使いに転生したけど、戦いとか面倒だから厨房馬車(キッチンカー)で生計をたてます
わたなべ ゆたか
ファンタジー
高校一年の音無厚使は、夏休みに叔父の手伝いでキッチンカーのバイトをしていた。バイトで隠岐へと渡る途中、同級生の板林精香と出会う。隠岐まで同じ船に乗り合わせた二人だったが、突然に船が沈没し、暗い海の底へと沈んでしまう。
一七年後。異世界への転生を果たした厚使は、クラネス・カーターという名の青年として生きていた。《音声使い》の《力》を得ていたが、危険な仕事から遠ざかるように、ラオンという国で隊商を率いていた。自身も厨房馬車(キッチンカー)で屋台染みた商売をしていたが、とある村でアリオナという少女と出会う。クラネスは家族から蔑まれていたアリオナが、妙に気になってしまい――。異世界転生チート物、ボーイミーツガール風味でお届けします。よろしくお願い致します!
大賞が終わるまでは、後書きなしでアップします。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ
高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。
タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。
ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。
本編完結済み。
外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる