転生料理人の異世界探求記(旧 転生料理人の異世界グルメ旅)

しゃむしぇる

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第五章

魔中グリフォンの記録

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 しっかりと周りにオークがいないことを確認して、俺とグレイスはギルドへと戻った。

「あ、ヒイラギさんおかえりなさい。」

 ミースは二階のギルド長室ではなく、酒場のテーブルに書類を広げて、そこで仕事を進めていた。

「ただいまミース、オークはちゃんと討伐してきたぞ。」

「わ~、助かりましたぁ。あの依頼ヒイラギさんみたいに強い冒険者の人じゃないと受けれなくて……困ってたんですよ。」

「まぁ、ほとんどのオークはちょっと別な魔物に食べられちゃったんだけど……。」

「ほぇ?別な魔物……ですか?」

 頭に?マークを浮かべるミースに、俺はあのオーク達がグリフォンという魔物から逃げてきていたこと……そしてグリフォンは俺が討伐したことを伝えた。

「ま、魔獣グリフォン……そんな強力な魔物がオーク達を追っていたなんて。」

「ちなみにグリフォンって結構ヤバい魔物だったりするのか?」

「直近のグリフォンの目撃例は三十年前です。当時まだ存在していたとある村に現れて、その村にいた人と家畜を残らず食べてしまったんです。」

「その時討伐に動かなかったのか?」

「当時の記録によると、その時の白金級冒険者2名が討伐に向かったと、記述されてるんですけど……その2名は後々生首だけが見つかったらしいです。」

「おぉぅ……滅茶苦茶重い話だった。」

「それからグリフォンは目撃され次第、白金級冒険者3人以上……金級冒険者5人以上の分隊を組んでから討伐に向かうように…ってギルドの上層部が決定したんです。」

 ミースの話を聞いているだけで、あのグリフォンという魔物がどれだけヤバい魔物なのかがよくわかる。アイツのポテンシャルを全部引き出す前に、水に閉じ込めて窒息させてしまったからな。本当の強さがどんなものなのか知ることができなかった。

「ち、ちなみにその……グリフォンの死体を確認してもいいですか?」

「もちろん構わない。それと討伐したオークの死体も引き渡すよ。」

 この酒場で出すには少々グロいものもあるので、ミースにギルドの地下に案内されて、そこでグリフォンの死体とオークの死体をマジックバッグから出した。

「ほとんどのオークの頭が無い……それにグリフォンのクチバシの痕が残ってますね。」

「あぁ、俺が倒したのは10匹ぐらいだ。その他のやつは全部グリフォンに頭だけ食べられちゃったよ。」

「なるほど……。」

 オークをよく観察したあと、ミースはいよいよグリフォンを観察し始める。

「魔獣グリフォンに間違いないですね。特徴も全部一致してます。」

 サラサラと彼女は、紙にグリフォンの特徴などを書き込んでいく。

「あの、できれば討伐の証拠に、少しだけグリフォンの素材を頂きたいんですけど……ダメですか?」

「全然いいぞ、もともとコイツは獣人族の知り合いに解体して貰おうと思ってたし。アレだったら頭を剥製にしてもらって、後でまた持ってこようか?」

「い、いいんですか!?」

「あぁ、多分頭があったほうが良い証拠になるだろ?」

 そしてミースから報酬金を受け取ったあと、俺は一度みんながいるという、ミルタ商会の方へ向かうのだった。
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