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第五章

オークの集団

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 エミル樹林を進み、オーリオの木が生えている場所の近くまで来てみると、俺の知らない言語で何かを話している声が聞こえてきた。

「ん?声が聞こえる。」

 一度木陰に隠れて確認してみると、オーリオの木の下に何人かの人影が見えた。

「グレイス、あれがオークか?」

 胸ポケットに入って、ひょっこりと顔だけを出しているグレイスに問いかけてみると、グレイスは何度も頷いた。

「そうっす!!アレがオークっす。」

 俺たちの視線の先には、イノシシのような頭をした、太った二足歩行の魔物が太い棍棒を片手に何かを話していた。

「こういう時、メリッサがいれば何を話してるかわかるんだけどな。」

 俺の言語理解のスキルでは、魔物の言葉や動物の言葉を理解することはできない。だから、こういう時にオーク達が何を話しているのか、まったくわからない。

「ん?またオークが来たぞ。」

 オーリオの木の下で何匹かのオークが会話していると、そこにまた何匹かオークが合流し、十匹ほどの集団になった。

「ヒイラギさん、どうするっす?」

「できればあんまり気付かれたくないから、はぐれた奴から闇討ちしてく。」

 木陰から様子を伺っていると、集まっていたオーク達がバラバラに解散していった。

「よし、こっちに歩いてくるアイツを狙おうか。」

 単独でこちらに向かってくるオークを標的に定め、木陰に潜み、俺の真横を通るのをじっと待った。
 そしてオークが俺の横を通り過ぎようとした瞬間、オークの首に手を回し、こちらに引きずり込む。

「お前たちに恨みはないが、これも依頼なんだ。」

 俺の言葉を理解しているかは分からない。だが、一言これだけは言っておきたかった。それを告げた後で、オークの首を圧し折ってマジックバッグの中へ放り込んだ。

「これで一匹、依頼書によれば三十匹位の一団だって書いてあったよな。」

 軽い騒ぎを起こして、全員まとめて相手にしてもいいけど、下手に森を傷付けたくないから、このまま一匹ずつ確実に仕留めていこう。

「そういえば、ミースの言っていたオークエリートっていう強いオークはどんな風貌なんだろうな。できればそいつから仕留めたいが……。」

 するとグレイスが、オークエリートについて教えてくれた。

「オークエリートは、他のオークよりムキムキっす。それと装備もちゃんとしてるっすね。」

「情報助かる。じゃあそれを探しながらだな。」

 そして俺は、影移動等を駆使して一匹一匹……悟られないようにオーク達を仕留めていくのだった。


 
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