転生料理人の異世界探求記(旧 転生料理人の異世界グルメ旅)

しゃむしぇる

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第五章

ミースからの依頼

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 ダンジョンから出ると、そこではミースがこちらを待っていた。

「あ、おかえりなさいヒイラギさん。お怪我はありませんか?」

「大丈夫、この通り無傷だ。ダンジョンの中も特に変わりなかったよ。」

「それなら良かったです。でもほんのりとお顔が赤いような……、」

「あぁ、これはちょっとダンジョンのボスと酒を飲んできたからな。」

「えぇ!?何やってるんですか!!」

 予想してもいなかったであろう、ダンジョンのボスと酒を飲み合ったという、その事実にミースは思わず驚いていた。

「はは、まぁこれはダンジョンのボスに会った人じゃないと分からないさ。」

「そこまで言うなら、今度私もダンジョンにご一緒させてください。私のこの目で、このダンジョンが一体どんなダンジョンなのかを確かめたいので。」

「もちろん構わないぞ。ただ、ボスを見て腰を抜かすんじゃないぞ?外見はめちゃくちゃ怖いからな。」

 バフォメットは友好的な奴だとはいえ、外見は筋骨隆々の羊の頭の化け物だ。ミースが見たら、外見の恐ろしさで腰を抜かしてしまうかもしれない。

「大丈夫ですよ~、これでも私元金級の冒険者なんですよ?怖い魔物なんて見慣れてますよ。」

「そうだと良いな。」

 今度ミースをバフォメットに会わせた時の反応を楽しみにしておこう。

「さて、今度は俺が冒険者でいられるために、適当な依頼をやらないといけないんだよな?」

「そうです!!今月中にヒイラギさんは何か依頼を完遂しないと、冒険者の資格を剥奪されちゃうんです。」

「適当な依頼で良いんだろ?」

「はい、でもヒイラギさんには是非とも受けてもらいたい依頼を、こちらでご用意しました。」

 満面の笑みでミースはそう言った。

「どんな内容の依頼なのか聞いても?」

「もちろん、良いですよ。」

 すると、ミースは一枚の紙を広げた。

「ヒイラギさんに受けてもらいたい依頼は~、こちらです!!」

「なになに……エミル樹林に引っ越してきたオークの一団の殲滅。」

 依頼書に書いてあった言葉をそのまま読み上げただけで、どんな依頼なのかを理解することができた。

「なるほどな。つまりオークを全部倒せばいいってわけだ。シンプルだな。」

「一つ気を付けてほしいんですけど、このオークの集団には、それを束ねるオークエリートっていう強い魔物がいるので、それにだけ気を付けてください。」

「わかった。それじゃあ行ってくるよ。」

 冒険者を続けるために、俺は依頼書にサインをしてエミル樹林へと向かうのだった。
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