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第五章
あるものを受け取りに…
しおりを挟むそれからシンとともに異常な行動をする魔物を討伐し、十分なサンプルが集まる頃には日が暮れてきてしまっていた。
「うむ、このぐらい倒せば研究には事足りるだろう。」
今運んでもらっている魔物の数は十匹程度。研究にはいろいろなパターンのサンプルがあったほうが良いと思ったので、すべての魔物を違う方法で仕留めてある。
「倒すよりも探すほうに時間がかかったな。」
「幸いなことに、まだこのような異常な魔物の数自体はそんなに多くは無いらしい。」
「でもこれから増えるかもって考えたら、それなりの対応が必要だな。」
「うむ、この件に関しては我の方で対策は進めておく。何かこの魔物について情報がわかり次第、エートリヒと、カリン殿にも共有しよう。」
「頼む。」
あとのことはシンに任せ、俺は一度エルフの国へと戻るのだった。そしてグレイスを連れて、人間の国のとある場所へと向かう。
「グレイス、この辺で降りてくれ。」
「了解っす!!」
グレイスに街の近くに降りてもらい、ここからは徒歩で向かう。
「この街に戻ってくるのも久しぶりな気がするな。」
俺達が降り立ってきたのは、エミルの街。俺がこの世界に来て最初に訪れた街だ。
「ヒイラギさん、ここでなにかするっす?」
「いや、何かするってわけじゃないが……。ある場所に寄っておきたくてな。一先ずはギルドに行こう。」
グレイスを抱いて、ギルドへと向かう。ギルドの扉を開けると、意外にもあんまり人気はなく、ミースと何人かの受付嬢が、一つのテーブルを囲んでお酒を飲んでいた。
「やぁミース。」
「あ!!ヒイラギさんじゃないですか~、今日はドーナさん達は一緒じゃないんですね?」
「あぁ、今日は俺とこの子だけだ。」
ヒョイとグレイスを持ち上げてミースに見せた。すると、グレイスはビシッと敬礼してみせる。
「う、動いた!?」
「あぁ、ミースはまだ知らなかったな。この子はグレイスって……一応ドラゴンなのか?まぁ、俺達の旅を助けてくれてる仲間なんだ。」
「て、てっきりぬいぐるみかと……。」
「ま、紹介はこんなところで、エートリヒからアレ届いてるだろ?」
「もちろん、ちゃんと預かってましたよ。ちょっと待っててくださいね。」
ミースはパタパタと二階へと駆け上がっていくと、すぐに小さな黒色の箱を携えて戻ってきた。
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