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第五章
集まる龍たち
しおりを挟む龍集会が行われるという当日……俺はドーナとラン、そしてレイとともに、獣人族とエルフの国境付近にある標高の滅茶苦茶高い山の頂上を訪れていた。
「50年ぶりの龍集会じゃ、主やドーナといった変わった面々に、他の龍はどんな反応をするかのぅ。」
「まぁ、あんまりいい顔はされないでしょ。一匹人間嫌いの奴がいるし。」
「主のことを悪く言うようならば、ワシが然るべき罰を下すまでじゃ。」
と、そんな話をしていると、俺たちのいる上空に巨大な水がふわふわと浮かんで移動してきた。
「あの独特な移動方法はあの子しかいないわね。」
そしてその水がバチャン!!と勢いよく目の前に落ちると、その中からウォータードラゴンが姿を現した。
「あ、みなさんこんにちはぁ~……ってどうしてクリスタルドラゴン様と一緒にいるんですかぁ?」
「久しぶりじゃな、ウォータードラゴンよ。ワシにもようやくツガイができた故、ラン達と共に居るのじゃ。」
そう言ってレイは、ぎゅっと俺の腕に抱きついてくる。
「ま、まま、まさか、ランのツガイの人間さんとツガイになったんですかぁ!?」
「そういうことじゃ。そういうわけで、これからワシの名はレイと呼べ。」
「は、はぁ……。」
ウォータードラゴンが呆気に取られていると、次々にこの場に龍が降り立ってきた。
「あらあらぁ~?な~んでこの龍しか集まれない集会に、人間が二匹も紛れ込んでるのかしらねぇ?」
毒々しい色の鱗を纏ったドラゴンが俺とドーナを見下ろして、そう問いかける。
「それをクリスタルドラゴン様が見過ごしているのも気になる点である。」
「ハッ、関係ねぇなぁ……蝿がいるなら潰すだけだろ!!」
血気盛んらしい、雷を体に纏ったドラゴンが俺とドーナのことを潰そうと迫ってくる。その前足を片手で受け止めながら、俺は集まったドラゴン達へと語りかける。
「人間の姿でいるのが不快なら……こうすれば良いか?」
「あぁん?」
そして俺は体を龍化させ、完全にカオスドラゴンへと姿を変える。すると、体格的には俺のほうが大きいらしく、雷のドラゴンを見下ろす形となった。
「これなら文句はないな?」
「なっ……!!か、カオスドラゴンだったのかよ。たが、それにしちゃあ随分丸くなったなぁ?以前のテメェなら問答無用で殺しに来てただろ?」
「生憎、俺はあんたらが知ってるカオスドラゴンじゃないもんでな。」
「あぁ?何言って……ゴベッ!?」
話している途中の雷のドラゴンの顔面に、レイの飛び蹴りが突き刺さり、激しく転倒した。
「この者たちの同席はワシが認めた。異論は許さん。」
レイがそう言うと、さっきまで俺とドーナヘ敵意むき出しだったドラゴン達も、大人しくなった。
開幕からなかなか激しいぶつかり合いはあったものの、いよいよ龍集会が始まろうとしていた。
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