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第五章
ドーナ、ラン魚への挑戦③
しおりを挟むそれからどれぐらい時間が過ぎただろう……ドーナとランの二人は、何匹もビーミーを水洗いしては三枚下ろしにして……という作業を身に付くまでやっていた。
そういうこともあり、今日のみんなの夕食はドーナ達が三枚下ろしにしたビーミーを、みんなの前で俺がお刺身にしたり寿司にしたりしながら、その傍らでベロ貝をバター焼きにしていた。
「お魚美味し~っ!!お兄さん、お寿司おかわり!!」
「わたしも!」
「自分、貝がほしいっす!!」
「主っ、ワシにも貝をくれ!!」
「あいよ、ちょっと待ってな~。」
新しくまたビーミーの寿司を握り、ベロ貝のバター醤油焼きをシア達に提供する。
「はいお待たせ。」
シア達がおかわりのお寿司を頬張る傍らで、お刺身を食べていたフレイが、キッチンで頑張るドーナ達を見てポツリと呟く。
「ドーナさん達、頑張ってるなぁ。」
「フレイだってお菓子を上手く作れるようになる為に、たくさん練習しただろ?」
「そうだね、最初はいっぱい失敗しちゃったよ。でも、失敗したのも全部お姉様が食べてくれたんだ。」
「ふふん、フレイの作ったものなら例えどんなものだろうと、私が食べてみせるわ。」
誇らしそうに胸を張ったリリンに、ライラが苦言を呈した。
「お嬢様、妹様を想う気持ちは重々承知しておりますが、腹痛にはお気をつけください。流石に2日間厠に籠もられると、他の皆様にも迷惑がかかりますので。」
「うっ……そ、それは気をつけるわ。」
「大丈夫だよ!!ボクもう美味しいお菓子しか作れないから!!」
妹想いが災いして、自分に不幸が降り掛かったらしいな。だがそのおかげで、フレイが大きく成長できたのもまた事実だな。
フレイ達が話していると、イリスがあることを問いかけてきた。
「ヒイラギさんも、あんなふうにたくさんお魚をさばく練習をしたんですか?」
「もちろんだ。大変だったのを今でも覚えてるよ。」
最初はアジのような小さい魚から練習して……次に大きい魚をやってみたら、関節というものがわからなくて、なかなか頭が落とせず包丁を痛めてしまったり。
「でもあの二人は俺より覚えが良いから。きっと、すぐできるようになるさ。」
すでに感覚を掴みつつある二人を見て、俺はそう思った。
そして最後の最後に二人が満足して俺に見せてきた三枚おろしは誰がどう見ても完璧……と言わざるを得ない程に完璧な仕上がりだった。
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