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第五章
ドーナ、ラン魚への挑戦②
しおりを挟む苦戦している二人の前に立つと、早速メリッサにお願いしていたあるものを広げた。
「二人とも、これを見てほしい。」
「それって……。」
「魚の絵かい?」
「その通り、さっきメリッサにお願いして書いてもらったんだ。」
先程キッチンに入る前に、メリッサには図鑑にかいてある魚の構造について描かれた絵を、大きな紙に模写してもらっていたのだ。
「先ず二人が、今落とそうとしている部分がここ。頭の付け根だな。見てわかる通り、一番骨が太い。」
メリッサに書いてもらった絵を指さしながら、魚の骨の構造について説明していく。
「で、魚の関節っていうのは、こんな風に少し凹んでるところなんだ。包丁を骨に当てた時の感覚で、凹んでいるところを探して、包丁を入れてみてくれ。」
「わかったわ。」
「やってみるよ。」
そして二人は探り探りで包丁を動かすと、ハッと何かに気付く。
「「ここっ!!」」
確信を持って二人は包丁を深く入れると、あっさりとビーミーの頭が切り離された。
「二人とも掴んだみたいだな。」
「えぇ、関節にちゃんと包丁を入れると、こんなに簡単に切れるのね。」
「そうだ、今の感覚さえ覚えてればある程度の大きさの魚までなら包丁で頭を落とせる。」
化け物みたいにデカいやつはノコギリとか、ちょっと特殊な道具が必要だが……。
「さ、次は内臓を取り除くぞ。あ、内臓の中に緑色の丸い玉みたいなのがあるけど、それだけは潰さないようにな。」
「潰したら何かダメなのかい?」
「その緑色の玉は魚の胆嚢って臓器でな。中には緑色の苦い液体が詰まってるんだ。それを潰してしまうと、魚の身に苦いのが染み付いてしまうんだ。」
「なるほどねぇ、気をつけるよ。」
そして二人は、お腹を割って内臓を綺麗に取り除いていく。幸いにも、内臓を触ること見ることに二人は何の抵抗もないらしく、手際よく内臓の摘出を終えた。
「それじゃ次は中身を綺麗に水で洗おう。なるべく血を残さないようにな。」
血合いなどを綺麗に洗って、水気を取り……ようやく水洗いの工程が完了した。
「よし、これで三枚下ろしの下準備……水洗いは完了だ。」
「ここまでやってようやく準備が終わったのね……。」
「ここまででも、だいぶ時間がかかったよ。」
「ま、何事にも工程ってのは付き物だ。それに、こんなところで躓いてる時間はないぞ?三枚下ろしのほうがもっと難しいんだからな。」
乾いた笑みを浮かべる二人に、いよいよ三枚下ろしの手順を説明していく。……と言ってもこればっかりは、自分の手でやらないとわからないこともある。
だから、まずは数をこなしてもらおう。そのためにビーミーはたくさん買ってきたからな。
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