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第五章
飛んで火に入る夏の虫
しおりを挟む爆音の鳴り響いた所へと向かうと、そこではランが一人の男を拘束していた。
「あ!!ヒイラギ、コイツ捕まえたわよ。」
「ぐぎぎ……こんの、馬鹿力がッ!!」
顔を確認してみると、この街に逃げ込んだという犯罪者の顔と完全に一致した。
「ラン、お手柄だ。落として良いぞ。」
「はいは~い。」
「くひゅっ……。」
そしてランはあっさりと男を絞め落とす。ぐったりと倒れ込んだ男を麻縄で完全に拘束していると、こちらにドーナ達もやってきた。
「おっ、手配書で見た顔じゃないかい。」
「何じゃ、ワシの方に現れれば優しくしてやったものを。よりによってランの所に現れるとはな。運のないやつじゃ。」
「これでこの街には一応あと一人、残ってる事になるな。」
「っと、こうしちゃいられないよ。そいつをとっとと兵士に突き出して、今からこの街の出入りを厳戒態勢にしてもらわないと。残った奴に逃げられちまうよ。」
急いで男を担いで関所へと向かい、この関所を通る人物を念入りに検査するようにお願いした。
その後、俺達は関所に用意されている一室で、男を椅子に縛り付けて尋問を始めることにした。
「こんな事なら、獣人の国の尋問専門の職人を一人借りてくるんだったな。」
「ま、やるだけやってみればいいのさ。」
そしてドーナは気絶している男の頬を思い切り抓った。
「ほら、起きな。」
「いぎぎぎぎっ!!ち、千切れる!!」
パッと彼女が手を離すと、みるみるうちに抓ったところが真っ赤に腫れ上がっていく。
「ぐぐ、こんなに拘束してオレをどうするつもりだよ!!」
「簡単な話だよ。アンタと一緒にこの街に入ったもう一人の犯罪者がどこに潜んでるのか、洗いざらい話しな。」
「ハッ、嫌だね。仲間は売らねぇ。」
「ま、そう言うと思ってたよ。最初から期待なんてしてないさ。」
やれやれとドーナはため息を吐くと、兵士が用意してくれた大きなニッパーのような器具を一つ手に取った。
「な、なんだよそれ。」
少し怯えた男の言葉を無視して、ドーナは男へと語りかける。
「残念だけど、ここにいる全員が尋問ってやつには慣れてなくてねぇ。」
ドーナその器具をわざとらしくガチン……と鳴らす。すると、男がその音に竦み上がった。
「これ、本当なら一発で指を切り落とせるらしいんだけど、さっきも言った通り慣れてないからさぁ……。」
そしてドーナは男の背後に回ると、その器具でちょん……と指をつつく。
「ひっ。」
「指……何回切れば切り落とせるかねぇ?とりあえず試しに一本いっとくかい?」
男の耳元でかなりドスの利いた声で脅しをかけると、思わず男は失禁してしまう。それがトドメとなったらしく、男は洗い浚い情報を吐いた。
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