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第五章
耳が早いカリン
しおりを挟むレアチーズケーキが出来上がるのを待っていると、カリンが訪ねてきた。
「なにやら面白いことをしていると、聞きつけてやってきたぞ社長。」
「耳が早いですね。」
「社長の行動は全て此方の耳に入ってくるからな!!特にこの国ではな。」
むふ~と大きくカリンは胸を張る。
「で、今回はどんな甘味を作っているのだ?」
「今回はレアチーズケーキってお菓子を作りました。」
「れあちーずけーき……また聞いたことのない名だ。どんなお菓子なのだ?」
不思議そうに彼女は首を傾げた。
「レアチーズケーキはね~、もうねっとり濃厚で……チーズの美味しさがすっごく際立つお菓子だよ!!」
そうフレイは熱弁するが、そもそもチーズという物自体がわかっていないカリンには、しっくりきていない様子だ。
「うむむ……食えばわかるか?」
「それが一番手っ取り早いかもしれませんね。」
食べ物を知るには、食べるのが一番手っ取り早い。百聞は一見にしかずという言葉があるようにな。
「多分そろそろ出来上がってるかな。」
冷蔵庫からレアチーズケーキを取り出すと、みんなの視線が一気に集中した。
「おぉ?これはまた随分不思議な物が出てきたな。」
「今切り分けますね。」
ナイフでレアチーズケーキを切り分けると、ネットリと濃厚なのが伝わってくる。断面には気泡も入ってないし、完璧に仕上がってる。
鼻を近づけて香りを嗅いでみると、爽やかなグリーンマドンナの香りが感じられた。
「美味しそ~。ヒイラギさん、早く食べよ!!」
「あぁ、そうしよう。」
フォークで切り分けられたレアチーズケーキを一口サイズに分け、口に運ぶ……すると先ず伝わってきたのはネットリと濃厚なクリームチーズの味。
それをさっぱりと食べさせてくれる、グリーンマドンナの酸味と香り……最高に美味しい物が出来上がったな。
「これ美味し~、すっごく濃厚。」
「うむ、濃厚ながらも柑橘の香りと酸味が食欲を掻き立てる。魅惑の甘味だ。」
リコとカリンが美味しく食べているところを眺めていると、フレイがこちらを見てニコリと笑った。
「えへへ、やっぱり美味しくなったね!!」
「あぁ、これならお店で出せる。一先ず普通のレアチーズケーキを出してみて……お客さんの反応を見ようかな。」
出来上がったレアチーズケーキを味わいながら、カリン達との談笑を楽しむのだった。
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